テラーノベル
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咲は夜空に広がる光を見上げながら、繋がれた手の感触に意識を奪われていた。
(……いつもみたいに“妹ちゃん”って呼ばれてるだけなのに。
でも、こうして隣にいると……特別に感じてしまう)
もう一度大きな音が響き、夜空に赤い花火が弾けた。
その光に照らされた悠真の横顔は、どこか切なく見える。
「……悠真さんは」
思わず、声に出してしまいそうになる。
(悠真さんは、今なにを思ってるんだろう。私を、ただ“妹”だと思ってるだけ?)
咲は胸の奥がぎゅっと痛くなり、繋いだ手をほんの少しだけ握りしめた。
その小さな変化に気づいたように、悠真がちらりと視線を落とす。
けれど何も言わず、ただその手を離さなかった。
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