テラーノベル
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あの日、あいつと眺めた空には。
沢山の星が浮かんでいた。
特に目立つわけでもない小さな星が2つ、寄り添い合うようにまたたいていた。
オレンジがかった赤色の星と、金色に光る星。
互いの存在を知らせるみたいに。
強く強くきらめいていた。
まるで…
まるで、若かりし頃の私達みたいに。
――あいつは、私らみたいだ、って。
私と自分を指さして笑った。
…遠い昔の出来事ほど、つい最近あった気がする。
誰も知らない2人の時間は、今も大切に胸の中にしまわれていて。
あいつの存在が、生きた証が、無かったことになってしまうのがたまらなく悲しかった。
自分しか知らないあいつの笑顔が消えてしまうのが、どうしようもなく嫌だった。
「行かないで」
「ここにいて」
呪いじみたその言葉は、あのとき飲み込んで以来ずっと私の中にある。
…どうして。
どうして先に行ってしまうの?
どうして、私を置いて行ってしまうんだ。
死に際に見せた金色の笑顔さえ。
この世の何より美しかった。
君が生涯をかけて歩んだ道は。
私の大事な道しるべになる。
君と眺めたこの世界は。
どうしようもないくらいに輝いていた!
一陣の風が吹いた。
ひゅう…と余韻が段々薄れて消える。
乱れる髪を払い、見上げた空には、ほんのささいな違いがあった。
沢山の星の中の一つが、闇に溶けてしまったように消えていて。
お前みたいだ―――
ふいに、いつかあいつの言った言葉が再生された。
そう言って恥ずかしそうに笑った顔は、私だけが知っている。
ガラにもないロマンティックなことを口走って赤くなった、初々しいあいつの隣は、これまでもこれからも、私だけのもので。
気づけば人混みの中にあいつを探し、誰かの背中にあいつを重ねる。
あいつの隣に居た過去が、あいつと肩を並べた記憶が、私自身を縛っていた。
それでも、いいと思っていた。
空に浮かぶ星々は、何事も無かったかのように輝き続ける。
あの星が消えたことなんて、意にも介していないみたいに。
私らの象徴だった星が一つ消えてしまっても、この広い宇宙はさらに広がり続け、地球は廻り続ける。
立ち止まっているのは私だけ。
残された2つの星の片割れは、弱々しくふるりと揺れた。
コメント
4件
え、好き まぢきゅきゅきゅきゅきゅん好きすぎてポォウ