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○○の家は秘密基地の場所から少し離れた場所にある。一人暮らしにしては少し広い旧邸でだった。もしかしたら○○の家はいい所の家柄なのかもしれない。
「ここにひとりで住んでいるのか」少し寂しいなと思った。
「うん、そうなの。少し寂しく見えるよね。夏目くん、名取さん。居づらくはありませんか?」
「俺は大丈夫だ。」
「私は少し息苦しさを感じる程度だ。でも問題ないよ。」
「…ここは妖の気配が強いな」とニャンコ先生は目を開いていった。そうなのか?と聞くと
「あぁ。この私もずっと住んでいる家だからな。夏目とやら、お前の知り合いの妖がもし居場所を失われたらここに住まわせるといい。我らが保護しよう。」
「ありがとう。アキナ。」とアキナの顔をそっと撫でた。
中へどうぞ、名取さんは私が守るので妖たちに敵意は見せないでください。と○○は念押をする。自分や君たちの身が危ない時には遠慮なく使わせてもらう、という理由で名取さんは了承した。
○○が中に入ると、中にはたくさんの妖たちが出迎えてくれた。
「「あるじー!!!!」」と後ろから駆け寄ってきていた妖もいる。
「昨日は帰らなくてごめんなさい。いい子にお留守番できた?」
○○は妖たちを撫でていた。その姿はお母さんのようで。暖かかった。あやかし達はえへへと誇らしげにしている。
「後ろのは人の子か、主のお客さんなんて珍しい」とみんなが受け入れてくれたようだった。
ホッとしていたが、次の瞬間、「お前、祓い屋か!!」と名取さんの正体に一人のあやかしが気づいた。その妖は名取さんに向かって牙を向けようとしてする。 その途端○○の妖力がより濃くなっていく。俺ですらふらっとしてしまうほどに。
「…今は私の客人です。あなたたちを傷つけることはないよ。大丈夫。大丈夫。」名取さんに牙を向けようとした妖を宥めるように言った。するとどんどんとその妖は正気に戻っていったようだった。
俺と名取さんは口を開けて今目の前で行われている光景を防寒する。前から思っていたが○○の力や雰囲気は何だか不思議だ。この妖力の気だったり、雰囲気だったりどこかで見たことがある気がする。○○は… と考えていると
気づいたか夏目。アキナは名取さんや○○に聞こえない念話で会話し始めた。アキナが喋ったのは衝撃の事実
「○○は──的場の家の子だ」という。彼女はそのことをまだ知らない。なんで俺にだけ教えるんですか、と聞くと。
「お前は信用できるからな。あそこの青二才は信用出来ん。お前もさっき、○○に術をかけた手で触ろうとしたのが感じただろう。…これから独り言を話す。何も言わずにただ聞いていろ。」そう言い、アキナは○○の出生について語り始めたのだ。
○○の母親は格式高い神様の一人で、人間である的場の分家の父に一目惚れし、母親は神のしきたりによって、人間と結ばれることは出来なかった。だから母親は神様の地位を天界に返上し、人間として結ばれ、子を成したのだという。その分寿命は短かったようだが、母親はとても幸せそうだった。
的場の分家の父ということもあり。この家には多くの祓い屋が意地の悪い事をしようとからかいに来たらしい。だが、元神様と分家でも祓い屋トップの的場家の血筋を引く○○は、幼くして強力な濃厚な妖力に祓い屋の大半は門前払いされた。○○家内には、妖力の強いものしか入ることが出来なかったという。○○の妖力を食おうとする妖が来たこともあった。しかし、○○の持ち前の妖を魅了する力と、膨大な妖力に毒毛を抜けさせてしまうのだ。
「○○は邪な妖が見えぬと言っただろう。母である木ノ葉様のご加護の一つ。私は木ノ葉様に仕えていた式だ。お前も悪意にまみれた妖と対峙することは辛かったろう。木ノ葉様はそれを見越して御加護をつけられたのだ。木ノ葉様に残された微々たる神力を○○に注ぎ込んだものだったが効果はあった。元々彼女の才能として脳がこれ以上見えぬようにと制限をかけているのかもしれない。私はあの子のそばに居ることで見える妖をより制限しているのだ───が、これは言い訳に過ぎんな。彼奴を赤子の時から見てきたがあれはコロコロと表情が変わり見ていて飽きぬ。あのお方の子供と言うだけで私はあの子から離れることもができぬのだ。木ノ葉様との解約の儀も終わっているというのに。」
アキナは○○の事を愛しているのか。 というと、
「あぁ、これは愛というのか。そうだ。彼女がとても愛しいのだ。人間を愛するなど、私も落ちてしまったものだな。」アキナはそう卑下して言っていたが、○○を見る目は優しく、宝物のように見るかのようだった。その姿はニャンコ先生が俺を見ていた目とも少し違う気がした。
わたしは、二人を居間に案内し、好きな場所に座るよう指示をして、お茶を入れ菓子を出すことにした。
するとニャンコ先生が足元に来て。なんの菓子だ?というと、七辻屋のお饅頭ですよ。というと、目を煌めかせて居間へと戻って行った。私の好きなお菓子も出してみようと思い、父の仕送りからお菓子を出した。ダンボールを毎月送ってくる父の気遣いに申し訳ないと思いながらも断る訳にも行かないので頂いている。
この中に入っている私の大好物 紅屋のくるみっ子だ。中のくるみのサクサク感。キャラメルが程よい甘さ。食べやすい大きさ。全てが完璧で、私はこのお菓子を楽しみに父の仕送りを待っているといっても過言ではない。父親は私がこれが好きだと知っているのか沢山送ってくる。
今に戻り茶菓子を出すと夏目くんもニャンコ先生も名取さんも大満足をしてくれた。ニャンコ先生はこのクルミのお菓子はなんだ!?といい、お店の名前と商品名を伝えると「なつめぇ!これ取り寄せるがいい」と言っていたが、私は塔子さんの負担になってしまうから私が持っていくか、ニャンコ先生がいらしてくださいな というと嬉しそうに気分が上がっていた。
夏目くんが申し訳なさそうにしているから父が何故か沢山送ってくるから大丈夫だということを伝えた。
「────あ、そういえば、毎月ダンボールが二つ送られてくるんです。ひとつは匿名で。」
ひとつのは父ので間違いないんですけど。父は一つしか送っていないと言うので、気になっていたんですよね。
夏目くんは何かピンと来たのか「そのダンボールはどこにある?」と訪ねてきて、場所を説明すると、夏目くんはニャンコ先生と共にはすぐダンボールのところに行き、しばらくした後、居間にもどってきた。
「なんかあったの…?」というと、なんでもなかったという。
いつ頃から2箱送られてきたんだ?中身は何が入ってた?と。名取さんが純粋に気になったのか質問をしてきた。
「5年半前ですかね。私が一人暮らしをしだした半年後くらいです。月に1、2回程度で中身は本当にお菓子だったり、どなたのかわからないので手はつけてませんが、お金だったり。誕生日月には誕生日おめでとうございます」との手紙だったり。
お返しをしたいのですが住所を書かれない方なので送りようがなくて。
そういうと夏目くんは考え込んでしまった。名取さんに手紙を見せて欲しいと言われたので棚の上においてある缶を取りだし、手紙を机上におくと、名取さんが何かに名取さんが手紙を見て一言言った。
「……○○さん。的場主催の会合に参加しないか?」
名取さん曰く、的場一門に近づくのには的場主催の会合二参加するのが一番早いと言うことを教えてくれた。夏目くんも賛成と意見だったので、私達は的場家主催の払い屋の会合とやらに参加することになるのだった──。
二週間後、私、名取さん、夏目くん、ニャンコ先生、それにアキナさんは的場家主催の《会合》とやらに参加することになったのだった。ニャンコ先生とアキナさんにはそのままだと目立つので人間に化けてもらい、名取さん以外は顔にお面をつけて参加をすることになった。何故か私はドレスのようなワンピースのようなものを着ている。
夏目くんとアキナさんは連れていかれた妖の気配を追い。名取さんは私に「あなたのすきに行動をすればいい」と言ったあと、他の祓い屋さんへ挨拶をしに行った。私はニャンコ先生が用意されたお酒を全部飲まないよう面倒を見ているがこれから何をどうしたらいいか分からない。
しばらくして、入口側が騒がしくなった。的場の人が来たのだろうか。ニャンコ先生はお酒を飲みすぎたせいなのか、酔いつぶれてしまう。私が「先生、しっかりしてください」とか介抱しようとする。
その時だった。
私の後ろで誰かのどこか懐かしい匂いが私の鼻を刺激した。
体が反射的にその人の手を思わず掴む。周りの人が発した声や雑音は何も頭に入ってこない。何もきこえてなこないのだ。
「どうかしましたか?」というこの人の声色は高圧的で魅力的。この声を私はどこかで聞いたことがある。
「○○。お前は私が──────。」
あぁ、思い出した。
「せ、静司さんですよね。」と声をかけた途端、今まで強くなかった窓から急風が吹き出す。私の布がペラっとめくれると、彼の顔が見えた。男の右目は重い髪の毛で隠されていたが、やはり静司さんだった。私が何か発しようとした瞬間。静司さんは私の膝を抱え、肩を抱きしめ、まるでどこにも逃げていかぬように───。
すると彼と私は会場からそそくさと移動してしまうのだった。
誰もいない廊下「重いですから、歩きますから」じたばたと抵抗してみても彼は抱え方をやめなかった。誰もいない部屋へと移動し、電気も付けないまま過ごす。「せ、静司さん…?」と声をかけると「はい。」と、単調的な声で言った。私はお面を外して静司さんのことを見る、電気ではっきりとは見えないが、顔を触って見るとやっぱり静司さんだと分かった。以前と違うのは右目のほうに包帯を巻き付けていることだ。
「静司さんだ。やっと会えた。急にいなくなられて、私、ずっと心配していたんです、あなたのこ…と…」私が言い終わる前に彼は私の肩に片腕を回し、片手で私の頭をおさえ静司さんは私を胸に押し付けて抱きしめる。私は瞬間的にあのダンボールのことが気になった。
「…あの、もしかして静司さんですか。私に毎月仕送りしてくれてたの。誕生日の月には、お誕生日おめでとうございますって文字入れてくれたの。」彼は無言を貫いている。
静司さん、苦しいです。と言うと彼は少し緩めてくれたが、ハグをやめてはくれない。「そっ、かそうなんだ、、…またお会いできて嬉しいです、静司さん」私の肩が少し濡れている感覚があった。涙を流しているのだろうか。「泣いてらっしゃるんですか?」といい、彼の肩を押して少し離れようとするも「見ようとしないでください。」と彼の腕の力はまた強くなってしまう。私は面白くてわらってしまう。
「的場静司さん─ですね。私は的場家の分家で、挨拶で家に来てくださったんだ。私に毎年会ってくださいました。急に居なくなったと思ったら当主になられたからなんですね。」と笑って言う。
「静司さん。今日はお願いがあってきたんです」本題を忘れてはいけない。今夜は夏目くん、名取さんがいる。いつまでもあの人たちをここに縛っては行けない彼は無言を貫いているが私はお構い無しに深呼吸して言う。
「私の友人の妖が三体、静司さんの部下に連れていかれました。私の大切な家族なんです。返してください。」
「…奴らはもういないですよ。妖怪に食わせちゃいました。」静司さんはそう言う。だが、私は知っている。
「私の友人が生きていることを確認してます。なんで嘘つくんですか。」と笑って言うと、
いないのならば、あなたはずっと居るだろう。静司さんの言葉に私は動揺してしまう。「ま、まるで私を慕ってるみたいじゃないですか 。あはは」と冗談めかして言うと、
「えぇ、慕ってますとも。できることなら貴女を部屋に閉じ込めて、私だけのあなたになって欲しいとさえ思います。」と言われてしまう。
「…静司さんは、婚約者が…いるのでは──」的場家は名家だ。当主に婚約者がいてもおかしくはない。
「お見合いのお話でしたらよく来ます。ですが、私は昔結婚を約束した方がいて。その方は、残念ながらそのことを忘れていたみたいだ。
──今、私の目の前にいる人なんですが。」
…もしかして、私が幼少の頃にいった「静司さんと結婚する」という言葉を彼は待ち続けて下さったのでしょうか。
─貴方の身分なら十分に私の婚約者にできます。
その言葉がなんだか嬉しくて、私は溢れ出たことを彼に問いかける
「今までなにしてたんですか」「醜い妖怪を退治してたんです。祓い屋ですから。」「なんで会いに来てくださらなかったのですか」「貴方の家には妖怪が住み着きすぎていて、見ていたら祓いたくなってしまって。」「私の友人の妖を連れていったのはわざとですか」「さぁ。なんの事だか。」「小さい頃、私に子守唄を歌ってくれたのはあなたですか」「さぁ。」彼は肯定のとき、黙るかはぐらかすのをわたしは知っている。
…あぁ、この人だったのか。心がどんどんと満たされた気分になっていく。「…私はまんまとあなたの掌の上で転がされていたわけですね」「……」彼は私の肩に頭をぐりぐりと押し付けてくる。分かりやすい人。あなたは私にまた出会うこの日までどんなことを経験してきたのだろう。気になって仕方がない。必要最低限しか喋らないこの人を、名家である的場の当主というプレッシャーを、だれが理解してあげられるだろう。
「静司さん、私まだ成人していないんです。お酒も呑めません。」「はは、それはそれは…困りましたね。20歳まであと3年もある。」長いなぁ、と静司さんは感情のない笑い声を発しながら言う。
私は手を的場さんの頬に添えて、的場さんの唇と唇をそっと合わせる。「でも、結婚*はできます。」と彼に向かって言うと
「貴女はずるい人ですね。」お互い様だと言うと、それもそうだと彼は笑った。電気もつけないこの暗い部屋、あるのは窓からさす月光のみ。顔は見えないけれども、静司さんの声色がどこか嬉しそうだった。
「今夜は──とても、月が綺麗ですよ。○○。」
「静司さん、私にとってずっと月は綺麗なものです。」
*補足
2022年4月1日以降─法改正により18歳で結婚可能。
それより前は親の同意があれば結婚することが可能です。
教えてq+o先生!
Q.(成人と未成年だけど)キスってしていいの?
A.キス自体に問題ありません。キス以上のことをする場合はあれば結婚しなくてはいけません。
Q.なんで的場さんは夢主に会いに行かなかったの?
A.私の中で彼は「妖には躊躇なく行けるけど、大切な人には臆病で、本心で接したいと思って行動をする人」という解釈をしています。
彼は夢主に会うことで「関係が壊れる」ことを恐れました。だからこそ、仕送りは毎月送るけれども“匿名”でしたり、でも夢主のどこか片隅にあり続けるようにしたりしていました。
Q.何故夢主は的場さんや家のことの記憶をなくしていたの?
A.彼女は交通事故が原因で一時的な記憶喪失となっていました。認知症に近い感じです。「思い出せないけど、大切なものはわかる」そんな感覚です。的場さんに出会ったことがきっかけで記憶を取り戻した という形になります。
Q.何故夢主の家に妖が住み着いているの?
A.以前にもお話しましたが、彼らは「祓い屋によって家族を殺されたもの」です。彼らの多くは祓い屋に襲われたあと夢主の妖力が膨大だったから…と、妖力を頂こうと寄ってきた妖たちです。夢主と関わっている間に彼らは「夢主と話すのが楽しい」「夢主の傍が心地よい」となったからです。恐るべし夢主。
Q.何故妖たちは夢主を襲わないの?
A.説明は難しいですが、夢主は人間 というより、神に近い匂いを感じたからだと思います。慈愛に溢れている夢主だから。
Q.悪い妖との規準はどこなのか
A.悪い妖との基準は「人間への殺意」です。今までに何度も「人間への殺意」を抱いたことがあるか、という基準で働いています。柊に関しては祈祷師への殺意を思いすぎたが諦めて今の形になった という風に私は認識しているため、夢主には見えておりません。