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#オリキャラ注意
🖤月影紫音🌙
19
パチンッと小さな電気が首を伝い、意識が現実世界へと戻る。メガネにはゲームのスタート画面が流れていて、さっきあった事がまるで普通であるかのような間抜けな画面に、僕は吐き気を催し勢いよくソレを外した。
「おらふくんお疲れ様〜、早かったね、まだ30分経ってないよ?」
ネコおじが、事務作業をしていた手を止めてこちらを見ている。
壁際の数台のモニターからは個人の精神グラフが糸を引いていて、明らかにぼんさん以外のそれは激しく波を打っている。
スタッフ達が、次々に壊す勢いでメガネや貼り付けられたコードを引き抜きながら起き上がるメンバーを慌てて止めていて、僕は虚ろな目で「ネコおじ…これ、本当にテストプレイしたん?」と呟いた
「え?うん、プレイしたけど?」
(うそだろ、これ…でなんでそんな平気な顔が出来るん?!)
身体が震える。
怖くて目を瞑っても脳内に流れるのは、あの事切れたぼんさんで…
ネコおじはガタガタと震える僕に駆け寄ってきて「なになに!?何かあったの!?」と焦りだしていて、僕は、そういえばぼんさんは!?と中央で眠るその人を見た。
他のメンバーも一斉に「ぼんさん!」と視線を寄越し、そしてホッとした。
「…すぅ……すぅー…」
ね、寝てる……なんて、図太いだこの人は!!
「ッ…はぁ…く、そ、マジで焦る…」
「本当に…もう、ごめん、俺これできない…」
MENとおんりーがふーっと息を深く吐いてドカッとベッドへ横になり顔を手で覆っている。
僕も、そんな2人の言葉と行動に釣られて安堵して横になる。
(まだ、心臓がドクドクいってる…)
怖かった…すごく。
でも、良かったゲームで…と煩く鳴り続ける心臓を押さえ、深呼吸をした時、
「…ぼんさん?」
ドズルさんがその人の名前を呼んだ。
スタッフ達も何故だかモニターとぼんさんを交互に見て騒然としていて…、
嫌な予感がした。
再度、ゆっくりと身体を起こして中央を見た。
寝ている、ぼんさんが微動だにせず、僕たちの呼び掛けに全く反応しない…
「ぼんさん?……ぼんさんッ!?」
ドズルさんがぼんさんの身体を揺するが起きない。
なんで?どうして?
「おかしい…」
「こんなはずでは…」
「精神グラフが動かなすぎる…」
「というか…止まっている?」
開発者達がモニターを凝視しブツブツと呟いていて…
「むしろ…これは…」
「まさか、でも、ありえない」
「こんな事が…」
ネコおじが「どうなっているんですか!?」と取り乱すメンバーを横目にスタッフへと詰め寄り問い質す。
「精神が…帰ってきていない、可能性がある」
大荒れだ。
そりゃ、そうでしょう。
メンバーは顔を真っ赤にしてあちら側の開発者へと詰め寄り、責任の在処を激しく問い詰めている。
ドズルさんも、腕を組み、止めもせずそれをぼんさんのベッドの端に腰を下ろしたまま眺めているだけで、ドズル社側のスタッフもバタバタと部屋を行き来し、開発社の最高責任者へと電話を繋ぎ、直ぐに顔を出せと半分脅す勢いで捲し立てている。
話が違う!
危険がないと説明された!
契約書にもそう書いてあった!
ぼんさんは一生目を覚まさないのか!
どう責任を取るんだ!
もし、このままぼんさんが目を覚まさなければ…、会社としての損益がデカすぎる。考えたくもない…程の赤字を出すかもしれない…と幹部の1人として経営を瞬時に考え眉間を押さえた。
きっと、ドズルさんも…沢山の部下の生活を抱えている社長として思う所があるのだろう。素直に感情を出して怒鳴り散らす事も出来ず、少し羨ましそうに他のメンバーを見てフゥ…と息を吐いていた。
「皆、ストップ……一旦落ち着いて話し合おう」
拳をギリっと握りしめ…言葉では優しく…だが、その眼光は確かに強い怒りを宿し…開発者を射抜いている。
「ネコおじ…ホワイトボードと、長テーブルを運んできて…あと、人の数を制限して…多すぎる」
「…はい」
俺は、小さく頷き、言われた通りに行動するしか無かった。
「まず、なぜぼんさんが目を覚まさないのか…僕達に分かるように説明をしてください。」
まるで圧迫面接だ。
長テーブルの上座に、ドズルさんが腰をおろし。その両脇におんりーと俺。おらふくんはぼんさんのすぐ側で手を握りしめて「ぼんさん…」と定期的に声を掛けている。
ネコおじはホワイトボードの前に立ちペンを片手に、纏める準備をしている。
こちら側のスタッフはMOD開発の責任者と副責任者の2人が少し離れた壁際の席に腰を下ろし、ボイスレコーダーを起動させている。
「…本当に、申し訳ございません。イレギュラーな事で…自分達も混乱、してまして…その、ハッキリとした事を言えません」
「それでも構いません、少しでもある可能性は隠さず話してください。仮定でも、憶測でも、疑問でも、少しでも頭によぎった事は全てです…話してください。」
「ッ…は、い」
怖いだろうな。
隣に座ってる俺ですら怖ぇーし。
あちら側の開発者は現場責任者とサポートの3名…の計4名が残りまるで謝罪記者会見の様な縮こまり様だ。
「まず、ぼんじゅうるさんは…精神のみ戻ってこれていない…と、考えています」
「で?どうやったら戻るんですか?」
「強い衝撃をこちら側から与えれば、直ぐに…起きるとは思い、ます」
「……でも、それが出来ないんですよね?」
「は、い……脳に障害が残る可能性が高いです」
「…実況は続けられると思います?」
「障害が、残ったら…..むず、かしい、かと…医者では無いので…詳しくは分かりませんが…脳内へのダメージが大きく、最悪……喋れなくなったり、身体に麻痺が残る可能性が…」
そこまで聞いて、我慢ができなかったのか「ふざけるなよ!」と壁際に座っていたこちら側のスタッフが声を荒らげた、
「ゲーム実況者にとって、命なんだぞ!!それは、っ、ぼんさんが1番大事にしてて、……それを壊せって言うのか!!」
「そうだ!そんな乱暴な事出来るか!!」
ぜぇーはぁーと肩を揺らし、睨みつける2人をドズルさんは首を振り「落ち着いてください…」と抑え込む。
「無理矢理は却下です。少しでも安全な方法を出してください」
「ぼんじゅうるさんの今の精神グラフから考えられるのは…現実世界への拒絶…があるのかもしれません」
「………拒絶?」
ドズルさんがテーブルの上に乗せていた手をピクリと動かした。
俺はそれを横目に相手方を見ながら「踏まなくていい尾をわざわざ踏むのか…」と背もたれに身体を預け小さく舌打ちをした。
「もし、もしものお話で……ゲームの世界が心地よくて、現実世界を強く拒絶しているとします…そうすると精神は無意識にゲームの中へと留まろうと…こちらのVRプログラムに根付き、正規の方法での帰還が出来ない…とも考えられます」
「…その他は?」
「と、言いますと?」
「………ぼんさんと僕達は、長い長い付き合いなんです…それも濃ゆい位の……なので、ここからは僕の見解ですが…………拒絶?僕達がいるのに?この世界が嫌だと?」
ゆらりと右手で拳を作り小さく振り上げゴンッとテーブルを叩く…その音にビクリと目の前の男達は身体を震わせ発言の過ちに気付く。
こちら側のスタッフは腕を組み、静かに、しかしドズルさんに同調するように開発者達を強く睨みつけていた。
「そんな事ある訳ないでしょ?…ふざけるなって話です」
ビリビリと部屋の空気が振動する。
ホワイトボードの前に立っているネコおじの耳が無意識に後ろへと倒れ瞳孔が開いている。ドズルさんから出る殺気に充てられたのか……それか、まるで自分達のせいではない、ぼんさんがこの世を嫌ってて立て篭もっているせいだ…と遠回しにぼんさんのせいだと言った開発者のその言葉に怒ったのか…
おんりーもレンズの奥の瞳をギラギラと揺らし、慣れない怒りの感情を必死に抑えつけている。
かく言う俺も、さっきから喉の奥で威嚇音が鳴り響いているが。
「先程の発言が、どの程度考えて出たそれなのか…聞き出したい所ですが、今はその時間すら惜しい…ので、他の理由を出して下さい」
「ッ…もう、し訳ございません」
「謝罪は解決してからで結構です、で?他は?」
「………単純に、プログラムミス…です」
「そうですか……例えば?どこら辺がミスですか?」
現に俺たちは帰って来れている。
こめかみの帰還スイッチも正常に稼働していた。
まぁ、ゲーム内のバグは多かったが…
そんな事を考えていると、そのままドズルさんは俺と同じ事を開発者へと投げかけた、が、あちら側は首を傾げて「おかしいです」と呟いた。
「…おかしい?バグの多さ、ですか?」
「いや、…そんなバグ無いんですよ……チェストが軽い?廃村ではなく町?」
開発者達がそのコードは触っていないからバグるはずがないと呟き、MOD開発を担当したこちら側のスタッフへと視線をよこすが「俺達も知りません、そもそも、僕達は元々リリースしてあるリアルMODを入れ込んだり、攻略本を入れ込んだけで、その他のはほぼ触っていません」と首を振った。
「待ってください、…ネコおじ」
「はい?」
ドズルさんは、少し目を見開き眉間を親指でグリグリと解すと、ネコおじへと声を掛けた。
「ネコおじ……ネコおじのテストプレイは?どんな感じだったの?」
「えっと、一応、視点録画があるので…見ます?」
ネコおじが1時間程プレイした動画は、マイクラそのものだった。
村人もいて、村はいつものそれで…チェストも開ける時も閉める時も重そうにしてて、持ち上げる事など不可能のように床に鎮座しいる。
スケルトンだって、白色で…赤く、無かった。
ぼんさんが見たと言っていた人影らしいモノも無く、只々楽しそうにゲーム世界を堪能するプレイ動画だった。
「…モブも土へとしっかり変換されてる」
「攻撃を受けても…血が出てない…」
そう、ぼんさんの胸を貫き赤く染めたそれは無い。
視界が少し赤みがかる程度で、あんなに激しいものでは無かった…。
「……おかしい、俺達のプレイした動画…再生して下さい!」
おんりーが、自身が寝ていたベッド脇の装置からメモリーチップを抜き出すと、ネコおじへと手渡す。
俺も、席を立ち無言でそれを渡す。
「俺のは…かなり、ハードかも……なので、気を付けて見て下さい」
脳内にフラッシュバックする、血を吐くぼんさん…。
首を振り気を取り直した所で、おんりーとドズルさんの録画が同時に2つのモニターから流れ出した。
村に到着して、物資を集め、中央へ再集結した所でいきなりノイズが走る。なにかの電波に妨害されているように音と映像が飛び飛びになり、それがパツンと暗転する…3秒後に画面が戻った時にはログアウトし終わったメインメニュー画面だった。
「なんだろう、今の……」
「まるで黒いベールみたいな…そんなノイズだったね」
ドズルさんとネコおじが首を傾げる。
「次は…おらふくんのを流しますね」
お願いしますとネコおじへと返事をして、おらふくん視点の映像が流れる。
楽しそうに平原を走り、近くの動物に触れたりしていて、あの食べれるか聞いてきた卵を画面に捉え掴みあげる…
みんなに聞こっ!とワクワクした声でメンバーの背後から声を掛け…そのまま廃村へと到着する。俺と見つけたバグに、ふへへへっと揃った笑い声を発し、動き出す。
それから、少し後に例の集合を知らせる鐘の音が響き渡る。
が、それは…………
「な、んだよこの音!!」
「こんな音やなかったよ!?さっきのドズルさんとおんりーのはしっかりゲームの鐘の音やったのに!」
俺とおらふくんが聞いた音と明らかに違う。
不協和音だった。
カーンカーンッと響いたはずのそれは、まるで何かが迫ってくるような低く下っ腹に響くような恐怖を孕んでいて…
ゴー、ーンッ…ゴ…ーー、ンッ…と寺の鐘をボロボロにしたような…擦り付けて鳴らすような…とてもじゃないが綺麗とは言えるものではなかった。
画面は俺たちが外を走っているところでビクビクと止まっていて…その音は暫く続き、壊れたレコードの様に同じ箇所を何度も何度も再生しているようで…じわじわと背後から迫ってくる恐怖におんりーが耳を塞ぎ「もう消して!」と叫ぶまで流れた。
「おんりーとドズルさんのは後半部分はノイズでクラッシュ…おらふくんのは映像がフリーズ…」
これじゃあ、めんのも無理そうだなぁとネコおじがため息を着く。
「……ごめん、皆怖いけどさっきのおらふくん視点、もう一度最初だけ流せない?」
「え、ぇ」
おんりーが何で?と恐怖で震える身体で問いかける。
「卵を拾い上げる少し前……緑の鶏…が居たように見えて…」
「…………緑の鶏???」
何を言っているんだ?とそれを確認すると…確かに数秒後に卵が出現するであろう場所に緑の鶏が居た…それは直ぐにサラッと灰になり消えて…卵のみがドロップしている。
おらふくん視点の画面枠ギリギリで映った数秒の出来事…
「一応これもバグだ……ネコおじメモしてて、このバグが発生した時間と内容をしっかり残してて」
「分かりました!」
ネコおじは次々と異常を書き残す。
ノイズ、暗転、音、緑の鶏、ぼんさんが見たであろう人影、
そして、俺の映像が流れ出す。
後半部分はできたら見たくない…だけどぼんさんの手がかりになるなら残ってて欲しい…そんなふたつの感情がぐるぐると脳内で渦をまく。
「……………めん…辛い思いをさせた…これは…本当に、ッ酷すぎる」
ドズルさんとネコおじが声を震わせ目を背ける中、おんりーとおらふくんは耳まで塞ぎ俯いていた。
開発者達は口を抑え、1人は部屋から勢いよく出ていき1人は部屋のゴミ箱へと吐き戻している。
『っぁ、あ”……め”ぇ、ん…たす…ッ』
画面の中のぼんさんは、何度も赤を口からこぼす。
とどめのように向きを変える凶器を、歪んだ顔で見つめ、唸り、そして崩れる…。
俺の悲痛な叫びと、事切れるぼんさん…
命が抜け落ちる瞬間のあの瞳…
映像は、綺麗に残っていた。
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コメント
2件

🍆さんだけなぜ戻って来れないのか…そして何故🍆さんだけがリアルのようなダメージが入ったのか…気になりますね

🍆さんがこんな状況だからメンバーの不安な気持ちでいっぱいですね♪🍆さんを取り戻すようにお願いします🙏続きのメンバーがどうなるのか楽しみにしております❤️\(//∇//)\❤️