パートナー

慌てて渡辺の家に向かう。

こちらにも、渡辺の姿はなく、でも1度帰って来た形跡がある。

今の精神状態でどこに行ったのか？

目黒はすぐ岩本に電話した。

目黒ー岩本くん？翔太くんがどこにもいない。

岩本ー自分の家は？

目黒ー今、翔太くんの家からかけてる。

岩本ーどこか思い当たるところは？

目黒ー今、考えてる。

岩本ー俺達も、友達に聞いたり探してみる。

目黒ーごめんね。

岩本ーうちの大事なメンバーだからな。

目黒は渡辺の携帯に電話した。

意外にも渡辺は電話に出た。

目黒ー翔太くん！今どこ？

渡辺ー捨ててくれって言っただろ？

目黒ー何言ってんの！

渡辺ーグループも抜ける。俺なんかいない方がいい。

目黒ーみんな探してるよ？どこにいるの？

渡辺ーもう会わない。

電話が切れた。

目黒はソファに座り込んで頭を抱えた。

目黒は渡辺の家で途方にくれていた。

きっと2人の思い出の場所にいると確信して動き出すまで時間がかかった。

渡辺の家をぐるりと見渡す。

物が何もない部屋。

ふと、小さな写真立てを見つける。

今年は行けなかったが昨年富士山の見える場所まで車で出かけた。

側には新幹線も走ってた。

きっとここにいると思い、目黒の自宅に帰っていく。

車に乗ってあの場所へ。

新幹線であの場所の近くまで。

普通電車に乗ってでないと行けない。

今頃どこにいるのか？

さっきの電話を思い出す。

新幹線の車内だと思いたい。

車の方が早く着くかもしれない。

目黒はちょっとスピードあげて目的地まで急ぐ。

１時間くらい待った。

よく知るシルエットの人物が歩いてくる。

目黒ー翔太くん。

渡辺ーよく分かったな。

目黒ー2人だけの思い出の場所だもん。

渡辺ー帰って。

目黒ー一緒に帰ろう？

渡辺ー俺は・・。

目黒ー井頭なら辞めたよ。

渡辺ーあの人の言ったことは事実だから。

目黒ー全然違う！

渡辺ー頼むから俺を捨てて。

目黒ーじゃあ捨てる。

渡辺ーありがと。