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Rinka
677
#そのさの
うさぎ💗
1,070
ご本人様には一切関係ありません。
こちらはnmmn作品となっています。理解がない方、nmmnの意味が分からない方はブラウザバックをお願い致します。
一週間経ち次第相互フォロー限定にさせていただきます。
過去作の再掲です。
⚠️心中未遂 オーバードーズ表現
『全部、お見通し。』
「一緒に死んでよ、勇斗」
セックスの後、Tシャツ1枚でそんなことを言った。最中に引っ掻かれた背中が痛かった。
「いいよ、今死にたい?」
「うん」
こんなこと言ってても、俺は明日の朝も起きてまたアイドルに戻るつもりだ。死ぬなんてできるはずないよ。こいつを連れていけるほど偉い人間じゃないし。いつまで経っても俺だけのものには出来ない。分かってるよ。
「どうやって死ぬのがいい?」
「んー、今あんのだと睡眠薬かな」
そう言って勇斗の腕を抜けて薬を取りに向かう。まだあるはず。最近は割と眠れていたから。棚の奥を探していると、後ろに気怠げな声が聞こえる。
「置いてかないでよ」
「置いてった訳じゃないって。あ、あったあった。」
後ろから抱きしめられながら物を掻き分け、見つけたのはまだ半分くらい残った眠剤。
「ん、ちょーだい?」
「はいはい」
ざらりと瓶を傾ける。用量の倍。たった4錠。もちろん俺はこんな量じゃ死なないこと知ってる。いままでも沢山呑んできたんだから。俺はただこいつを試したいだけだ。
「これ飲むの?」
「うん、少ししたら眠くなってくるから、そのまま眠っちゃえば」
「思ってたより簡単に死ねんだね」
勇斗はそう言ってなんでもないように手に取って飲む。あまりに思い切りがよすぎてこちらがびっくりする。俺曰く死ぬんだぞ、これ飲んだら。
「どんくらいで効いてくるの」
「んー……大体30分くらいかな」
「ふーん、あと30分で死に始めんだ、俺たち」
「どんな日本語だよ」
いつものように軽いテンポの会話。でも、笑った勇斗の声が少し掠れていて。俺はこいつとセックスしたんだなって思い出した。
「ね、一緒に寝よ?」
「ベッド狭いけど」
「さっきまでそこでえっちなことしてたじゃん。俺のわがままも聞いてよ」
「……わかったよ」
シングルベッドに二人で寝転がる。もちろん狭い。この小さな空間が今日の俺たちの棺になるんだ。そう思うと少し寂しくて、胸にぎゅうっと勇斗を抱き込んだ。
「ちょ、仁人苦しい」
「こうしないと落ちる」
完全に言い訳だ。事実俺の後ろには半分くらいのスペースがある。それでも離れたくなくて、壁際に勇斗をしまい込んだ。勇斗の小さい頭を丁寧に抱いて、脇腹に足を乗せて。
「ちょっと、俺腰痛いんだけど!」
「俺も腰痛持ちだから」
「うぐ」
こう言えば勇斗は優しいから何も言えなくなる。それを知っててこんな言い方をする自分は狡いな。少しの罪悪感からおでこにキスする。暑いのか軽く濡れていて、汗の味がした。完璧に見えるこいつも人間なんだな、なんて再認識する。
それから薬が効くまで色んな話をしていた。「仕事どうしよう」とか、「家族に申し訳ない」とか、「葬儀はどうなるかな」とか。でも死ぬから関係ないか、って。それで、勇斗が笑って、俺も笑って。死の話をしている人間とは思えないくらいに明るい話し方だった。
勇斗の口数が少なくなってきた。俺も脳みそがぐるぐるして、気持ち悪い。もう効いてきたのか。
「勇斗、怖くない?」
「怖くないよ」
そんなに優しい声で笑うな。
「俺、おまえのこと、殺すんだよ」
「殺してないよ、俺がお前についていくだけ」
――ああ、ダメだ。勇斗は優しい。優しすぎる。連れていけるわけがない。こんな試し行動をして、もし本当に死んだらどうするんだ。少なくとも明日の仕事に影響があるかもしれない。
「……なァにないてるの、じんちゃん。怖くなっちゃった?死ぬのやめる?」
「え」
少し上目遣いの勇斗が俺のことを見ていた。いつの間にか涙を流していたらしい。へらりと片口角上げて「じんちゃんが泣いてんの久しぶりじゃない?」なんて言っている。ああそうだよ、久しぶりだよ。お前のことが大好きだからこうなってんだよ。あーもう、そんな愛おしそうに俺を見るな。俺はお前のこと試したんだよ。一緒に死んでくれるのかって。
「……だいじょーぶ、あの量じゃ死なねえよ。」
「分かってたんかい」
「流石にね? でも、俺の覚悟分かって欲しかったから」
なんだ、全部お見通しじゃん。知らないと思って試した俺が馬鹿みたいじゃん。こんな茶番に付き合わなくても良かったのに。
「大丈夫だよ仁人、俺はお前とならどこへでも行けるし、お前が居なきゃどこにも行けないんだよ」
「……そうですか」
まるでドラマみたいな台詞。それでも格好つくのは勇斗が本心から思ってるからなんだろうな。照れ隠しに、つむじに顔を擦り付けた。
――ありがと。
勇斗に聞こえないように、そんな言葉を落とした。
「じんとぉ」
「なに」
「ねむい」
「いいよ、寝ちゃいなさいな」
「んー……」
そう言ってぐりぐりと俺の胸に額を押し付ける。俺より歳上で、背も高くて、イケメンで、なんでもできる勇斗。でもたまにこんな風に小さな子どもみたいにものを言う。そんな勇斗が俺は大好きだ。
「じんとぉ、」
「なあに」
「ずうっと、いっしょだねぇ」
一瞬の沈黙の後、すうすうと寝息が聞こえ始める。最期に言うのがそれって。なんだ、こいつ俺のこと、大好きじゃん。ずうっといっしょ、ずうっとか。そっか、うん。
「……そうだといいな」
ふわふわする意識の中で、分かったのはゆるい心音と、左腕の重みだけだった。
コメント
5件
本当にありがとうございます😭 メッッッチャ大好きです、こういうの

黄色さんの俯瞰して冷静に判断してても行動をとめられない感じが、色々考え過ぎる繊細な性格という自分の中の黄色さん過ぎて…!悶えました! 傲慢な独占欲をさらけ出せる唯一の相手が桃色さんであって欲しいです。 ぜひ桃色さんの一人称verも見てみたいです。愛が深そうで悶えます!
うわあああ〜ッッ仁人と勇斗の距離感、エモすぎて泣いた😭💕「一緒に死んでよ」から始まるのに、ぜんぶお見通しで覚悟示す勇斗の優しさに胸がギュッてなったよ…「ずうっと一緒だねぇ」って眠り際に呟くのずるすぎん??二人の愛情がひしひし伝わってきて、続きが気になる! 道化さん、尊い作品をありがとうございます🌸