車を運転しての移動なのもあり、平日の午前中という時間帯も良かったのか、誰にも気づかれることなく買い物を楽しめた。
途中、気になってた映画を見つけたので大型ショッピングモール内にある映画館へ吸い込まれてみたり。
ちょっとドキドキしたりワクワクしたり、楽しい時間だった。
昼頃にスマホを確認したら、1人の先輩から少し遅い昼飯OKの連絡が来ていた。
あえて踏み込んで友達と言わせてもらってるのだけど、 子供の頃に観てたテレビの向こう側の人。
本来恐れ多い相手に、なんでタメ口なんだろう?
自分やっぱりどこかおかしいのかもしれない。
「おー、元気?」
「忙しい合間にありがとうございます。で、どこ行く?」
気さくに声をかけてくれた相手へ、最初こそ礼儀正しく挨拶をしつつも。
笑いながら友達として切り返す。
そんな自分へ普段通り、あそこ気になってんだよね~とのんびり返してくれるから心地良さを感じる人だ。
個室のあるイタリアンへ連れて行ってくれたので、気兼ねなく美味しいパスタを頬ばっていると、えっと呟く相手へ視線を向ける。
「もしかして午前中あちこち行ってた?大変なことになってるぞ~」
「へ?」
今時SNSの情報の速さは恐ろしい。
タグ付きの呟きだけでも、かなりの量だった。
○○で似てる人見かけたんだけど!
ここでも似てる人とすれ違いました!!
…………
「あれ?バレてないと思ったんだけどな。声かけられなかったし」
「最近テレビでよく見るからねぇ、その眼鏡姿。まあ日本だと気遣いだったり半信半疑で声かける人少ないから。ラッキーだったね」
僕のあまりに無頓着な様子を笑う相手に、あちゃーと返しつつ。
いつか後ろから刺されないかと頭の片隅で思ってしまってる事がよぎったけれど。
ここは芸能人がよく来てるらしい店の個室だし、車移動だから問題無いだろう。
うん、と頷きながら冷静に判断すると目の前のパスタをまた頬ばった。
「そういう、何ていうか…自分のことになると雑というか。危なっかしいんだよねぇ…」
少し心配そうな眼差しで見てくる相手へ、大丈夫よと言わんばかりに。
ニカッと笑って見せた。
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