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#🌈🕒
# . 天 使
20
あーー
10
朝、事務所で委員長とすれ違った。
(なんでこんな時間に…?)
まあそういうこともあるか、と挨拶をして通り過ぎようとすると、いきなり手を掴まれた。
「!? え、ちょ、」
突然の事に反応が遅れた。委員長は僕の手を掴んだままこう言った。
『ちょっと外に出ませんか?』
「……え、??」
(なんでっ!?)
『ほら、私が出たいので、行きましょう。』
僕の手を引っ張ってスタスタ歩いていく委員長。
(なに??なに!??)
「 ぅ、え、ぅ、えぇ……?!!」
◇◇◇◇
『ほら、これ持ってください、早く』
「…………。」
渡されたのは水鉄砲だ。手に取ってみると少しズッシリしていて、中から ちゃぷ、という音が聞こえた。
『中には水が入ってます。ほら、私に当ててみてくださいよ。』
色々ツッコミたいことはあるが、委員長がいつも通りだったから、僕もいつも通りに接することにした。
「委員長マゾになったの?急に?」
『そんなことはいいですから、ほらぁ。』
委員長は大の字のように大きく体を広げる。当てろ、ということだろう。
「……。」
『私撃っちゃいますよ!早く早く!!』
委員長がその体制のまま横移動を始めた。急に呼び出して水鉄砲渡して当てろってどういう事だよ、と思いながらもノってやることにした。
「…後悔すんなよ!おらあっ!!」
どうせそんな威力はないだろうと期待してカチッ、と引き金を引くと意外とスピードが強くてびっくりした。
(最近のおもちゃすげーー…。)
『あははッ、やりましたね〜!』
すると委員長はどこから取り出してきたのかもう一個の水鉄砲を僕に撃つ。
「うわあ!濡れたあ!」
『ざまあみろですよーっ。』
まあ、お遊びはここまでで。
「……で、何で呼び出したの?」
『まあこれでは誤魔化せませんか。』
『単刀直入に聞きます。剣持さん、貴方、ちゃんと休めてますか?』
(休み……、)
確かに最近、どころか2、3年前から有難いことに忙しい日々を送っている。たまにしんどい時もあるけど、そういう時は周りの大人が気づいてくれて休憩時間をくれたりする。
それに、もう忙しい日々には慣れている。たまに甘いものを食べてちゃんと自己管理もできているから心配無用だ。
(委員長、優しいから。)
自分のことを心配してくれているんだろう。僕は少し考えてから無難な答えを選んだ。
「忙しいけど、別に休みが取れてないわけじゃないよ。」
『……そうですか。では、他の方に私のように聞かれたことは?』
立て続けに質問をされる。
(僕、体調悪く見えるのかな。)
最近している行動を思い返すが、特に異常はないと思う。まあ元気、というか普通だけど。
「…いや、ないけど。どうしたんですか?」
『……剣持さん、今から……、
海に行きましょう!!!!』
……突然何を言うかと思ったら、海…。
確かに今ぐらいの季節がちょうどいいだろう。そういえば僕のクラスメイトも海に行く――
(いや……、うみ、うみ……!?!?!??)
「……え、ええぇぇぇぇ!??」
(いやなんで、なんで今ァ?!?)
「ちょ、いくらなんでも急すぎません?!そりゃ行きたい気持ちは山々ですけど、!」
「その、水着とか、着替えとかどうするんです!!」
行きたくないわけではない、絶対にそんなわけではないのだが、本当になんで今??と思ってしまって喋る口が止まらない。
そんな僕の様子に委員長は
『そう言えてる時点で、行くことは決定してますよね?』
と悪い笑顔を浮かべながら言った。
僕は失言に気づいた。
「あ…。」
委員長は続けて言う。
『つべこべ言わず行くんですよ!!』
『1期生の私と2期生の貴方が少し休んだくらいで、事務所は何も言いませんよ。何かあれば楓ちゃんに言えばいいし!!』
「ええぇぇ………。」
(本当に、なんでこんなことを突然言ってくるんだ。このひとは。)
(困る、困りすぎる。)
…なのに、なんで。
――なんで僕は好奇心を持ってるんだろう。――
(違う、僕はこれから学校に行くつもりだった。事務所に折りたたみ傘を忘れたから取りに帰るだけだったのに。……ああ、でも今から行ってもホームルームは終わってるだろうな。)
もういっそのことサボってやろうか。
いや、違う。柄に合わない。
少しサボる日があってもいいんじゃないだろうか。
親に迷惑をかける。
そうやって格闘を続ける。委員長は耐えきれなくなったのか、口を開いて――
『行かないんですか?意気地なし。』
と悪戯っぽく笑った。
(こいつ…、)
「…、わかり、ましたよ!!」
そのまま学校に向かうはずだったカバンを背負った。
「委員長がその気なら僕も本気で楽しみますからね!」
委員長は笑う。
『かかってこいですよ!!』
◇◇◇◇
それからかなり歩いた。途中でコンビニに寄ったり、最近のことを話しながら。
二人ともある程度体力があるから、話しながら歩き続けても大丈夫。それがすごく嬉しかった。
それどころか委員長と話すのが楽しくて、ついてきてよかった、って不覚にも思ってしまった。
そうやって話続けているといつの間に田舎にいることに気づいた。視界には一面の田んぼと緑。さらに遠くには山。
「…すごい、田舎だ。」
『もう少し歩きますが、いけそうですか?』
「うん。任せて。」
◇◇◇◇
委員長はある駅の前で止まった。
『…剣持さん、電車、乗りましょう!』
「電車!こんな時間に!?」
『こんな時間だからいいんですよぉ。ほらほら、今来てるので急ぎますよ!これ逃したら後2時間はここで待つことになるので!』
「ひええー…。」
田舎ってすごい。
◇◇◇◇
無事電車に乗れた。周りを見渡すが人はほぼ見当たらない。
『特別感あるでしょう?』
「確かに…、新鮮ですね。」
(やばい、思ってたより楽しいかもしれない。)
どこを見ても緑が広がっていて、見たことない名前のスーパーがいくつもあった。ここに住んでいる人からしたら当然だろうけど、都会暮らしの僕にはどれもが新鮮だった。
「委員長、ありがとう。」
委員長は目を見開いてから『いいってことよ。』とでも言うように笑った。
それから揺さぶられること一時間。携帯を触るのにも飽きて、うとうとし始めた頃。
隣で声が聞こえた。
『……なんか今更ですけど、よく私についてきましたね?剣持さん。』
まるで独り言のように放った一言を僕は取りこぼさない。
「え、なに?もしかしてなんか怖いこと考えてる?」
なんていつものように言ってみる。委員長は首を横に振った。
『そういうことじゃなくて、絶対についてきてくれないと思ってたから。』
(なんだ、そんなことか。)
「別に、何かあっても携帯があるし、委員長となら大丈夫だと思ったからついてきただけですよ。」
ぼんやりとした頭で答える。すると委員長は一瞬僕の方を見てから視線を逸らした。
『……そう、ですか。』
その動作に驚いて委員長を見るが、微かに頬が赤い気がする。
「…照れてる?」
『うっさいですねぇ。』
(あ、照れてるなぁ。)
そんな委員長を見て、ドキドキするというよりかは親のようになでなでしたくなる気持ちになった。
(僕らしくないけど、今は委員長だけだし。)
そんなことを考えてしまう自分に、いつの間にこんな心を許せる関係になったんだと実感する。
「んふふw、まあそういうことにしときましょう。」
◇◇◇◇
『そろそろ降りましょうか。』
「ん。」
『剣持さん、ここまで来てしまえばあとは…
楽しむだけですよ!!!!!』
「やったぜぇ!!!!!」
◇◇◇◇
無事水着を買って、各々の更衣室で着替え、合流することができた。
『ちっちゃい子と大人の方が何人かいますが、私達ぐらいの年齢の人達はいませんね。』
「ほんとだ。」
もし僕が大人だったら、こんな時間に制服姿の高校生二人でいれば心中でもしに来たのかと不安になりそうだ。
…それにしても、
『「…撮影したくなるな。」』
「え」
『剣持さんも?!w』
「職業病だww」
『ほんと、仕事しすぎですね、私達。』
地面に寝転びながら二人で笑う。
(…こんな日も悪くないな。)
◇◇◇◇
『剣持さん、海は満喫しましたか?』
「もちろん!」
『私もです!
…さて、名残惜しいですけど、帰りましょうか。』
「そうしましょう。」
◇◇◇◇
「ねえ委員長」
『はい。』
「もし今度があるなら、どこに行きたいですか?」
『…そうですね、それは剣持さんが連れて行ってくれるんですよね?』
「はい。」
『そしたら、水族館に行きたいです。』
「珍しいですね?」
『お好きでしょう?』
「…っ、そうですけど。」
『あははッ、じゃあ、決まりですね。』
『必ず連れて行ってくださいよ。』
「…ふふw 任せてくださいよ。」
コメント
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**美月ゆめか🌸の感想** 委員長の「ちゃんと休めてますか?」からの水鉄砲バトル、めっちゃ良かった…!!😭💕 急すぎる海行きに戸惑いながらもノってく主人公との距離感、なんだか尊すぎてやばい。最後の水族館の約束、絶対叶えてほしい〜!✨ #エモすぎ #続き気になる