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源次郎の部屋に向かう階段に革靴の音が響く。井浦の手には文房具店で買ってきた分度器が握られていた。それはよくドラマや映画で小学校の壁にぶら下がっているか、担任が算数の時間に脇に抱えて持って来るオレンジ色の大きな分度器だった。
「そのサイズの分度器なんて、何処で買って来たんですか」
「北安江の潰れた文房具屋のジジイを叩き起こして来た」
「迷惑な男ね」
リビングの壁には磔にされたような源次郎、分度器を握るのは井浦、佐々木咲は刃物に見立てた人参を両手に握っていた。
「よし、チワワ、殺れ!」
「ほい!」
部屋の端から人参を手にした佐々木咲が源次郎の下腹部目掛けて突進した。
「ぐ、ぐほっ!」
臍の辺りに人参の先がめり込んだ源次郎はその場にしゃがみ込んだ。佐々木咲と大野和恵の背格好は似ており何度かそれを試してみたが、刺せる範囲は胸、腹、臍下までで、陰茎や下腹部を床から上方に向い斜め45度で刺すことは不可能だった。
次に源次郎は床に横になり、同様に人参は下腹部にめり込んだが同じ角度で続け様に傷を付ける事は難しく、リビングテーブルの上に横になった源次郎はぶらりと脚を垂れ下げてみた。
「どれも無理だな」
井浦は人参と源次郎の股間に分度器を当てて角度を計測したがその度に口元がニヤケ、チワワにギャンギャンと噛み付かれた。
「さ、咲さん、こんな事続けたら勃たなくなりますよ」
「そりゃ大変だ!」「大変!」
「・・・・・・」
「なんであんたが大変なのよ」
「ウルセェ、チワワ」
源次郎はリビングテーブルから起き上がると下腹を押さえた。
「それに、山下五雄さんの傷には生活反応があったんですよね」
「そうだ」
「手首や足首、身体にロープなどで固定した痕はあったんですか」
「ない」
「あんな大きな男の人を大野和恵さんがその身体を固定もせずに、その角度で刺したり切り付けたり出来るでしょうか」
「難しいな」
フローリングの床に座り込んだ佐々木咲が人参を片手に、目の前に立ち上がった源次郎の両脚の付け根を見上げた。
「私がこれくらい小さかったら出来るのに」
何かを思い付いた井浦が床にしゃがみ込み、源次郎の股間から斜め45度辺りの床面からの高さを計測した。
「おい」
「はい、そうですね」
「背の低い人間なら斜め45度で上向きブスリ、出来るな」
「そうですね」
「背の低いって、子どもって事?」
「その可能性があるってこった、断定は出来ねぇ」
井浦は分度器を床に置き、トレンチコートを羽織った。
「ただ、チッせぇ子どもなら、この角度で山下五雄のチンポを滅多刺しに出来る」