「そろそろ報酬をいただいてもよろしいですか?」
多少のざわめきが心地の良いタワマン内のレストラン。
カチャカチャと食器が触れ合う中で、俺、三途春千夜は向かいに座る濃いメイクが映える女に話しかける。
「え〜?どうしよっかな〜?♡」
その女は自分の座ってる傍らの銀色の四角い箱を撫でる。
今回の梵天の任務は、ある組織が依頼した殺し任務を遂行し、その後この組織ごと潰して依頼報酬の金も、組織の金も根こそぎ奪うということだ。
その依頼をし、組織のトップでもあるのがこの女。俺はあとこいつから金を貰うだけだ。
「あなたと最後の素敵な夜を明かしたいわ。今夜、どうかしら?♡」
距離を縮めるために使った色仕掛けが邪魔をする。
あーもうめんどくせぇな。あれ使っちゃうか。
「レディ」
「なに〜?♡」
手招きをして女の耳を寄せる。
「Give(寄越せ)」
囁くように小さな声で耳に吹き込んだ。
それくらい小さな声でも、そいつは言葉を詰まらせ、強ばったような顔をして、四角い箱を渡す。
あとはもう用済みだ。
「じゃ、ごちそーさん。」
席から立って、レストランをあとにする。
女のグラスに塗っておいた毒が効いてきたのか、後ろから悲鳴が聞こえてきた。
この世には、domという支配したいという欲求を本能的に持つ性、subという支配されたいという欲求をもつ性が存在する。
そしてdomはsubに特定のコマンドを使うとその言葉には逆らえない。
俺はdomであの女は隠していたけどsubだった。今回はそれを利用してやった。
マイキーに褒めて貰えっかなーとか考えていたら、マンションの外に人影が見えた。
「おっ!お疲れ〜♡金取ったか〜?」
「げっ」
そこに居たのは梵天の幹部、灰谷蘭だ。着ているスーツは血で湿っている。
おそらく組織を潰してきたあとだろう。
蘭は俺の迎えか、黒光りする車によしかかり、助手席のドアに手をかけた。
俺はそれを無視し、後ろの席に向かうが蘭の腕によって妨げられる。
仕方なく助手席に乗ったら、隣に座った蘭が話しかけてきた。
「今回はけっこう色仕掛けしてたみてぇだけど、どうやって金とったんだ?」
「あー………コマンド使った。」
一瞬コイツに言っても大丈夫かと考えたが、特に影響はなかったから目を伏せて小さく言った。
「ハハッ!さっすが春ちゃん♡えらいなぁ♡」
ゾクッ
…..?今一瞬、体がムズムズしたような気がする……
それを何と受け取ったのか、蘭は車のエンジンをかけて言った。
「とりあえず着替えたり報酬確認したりしねぇとだから、どっかのホテルいくかー♡」
「……7,8,9,10。よし、全部金あるぜ!さっさとマイキーのところに戻るぞ!」
シャワーを浴びて髪についた水滴を拭う蘭に叫んだ。
マイキーに会いたい気持ちもあるが、さっきから体がどこか変だ。ムズムズするというか、体全体を軽く攣ったような感覚がする。
早々と帰る準備を進める俺に、蘭が声をかける。
「春ちゃんってさ、domだよな?」
「は?何当たり前なこと言ってんだよ。」
とうとう頭が狂っちまったのか?今さっきsubの女にコマンド使ったって話したじゃねぇか。
急に蘭が黙る。その代わりに重い、強い圧がかかる。俺は怖くなって蘭を振り返る。
「蘭?」
すると、蘭が口を開いた。
「switch(スイッチ)」
ドクンッ
その言葉を聞いた途端、体のムズムズした感じが一気にかき消されるような感じがした。
体が火照る。動悸が激しくなっていく。
「あーやっぱ春ちゃん、subにもなれる性だったんだ♡♡体の調子変だったし♡」
蘭が俺に近づいてくる。
コイツ、何言ってんだ?subにもなれる性?そんなの聞いたことねぇ。
俺は震える声で蘭に聞く。
「お前、何した………?」
蘭はニヤリと笑って言った。
「Kneel(お座り)♡」
「ッッッッ!?////」
ペタン、と情けなく床に尻をつけた俺を、蘭は見つめる。
気持ち悪い。やだ。そう思っているはずなのに、脳が誤作動を起こし始める。
「Look(こっちを見ろ)」
俺は蘭の言葉に従っていく。
あぁ気持ち悪ぃ。早くやめろ。なんでこんな奴に構わなけりゃいけねぇんだ。
「フフっ♡」
「….?何笑ってんだよッ///」
突然笑みを浮かべた蘭に尋ねる。
「俺の事睨んでるくせに、絶対目ぇそらさないし顔真っ赤なんだもん♡かわいい♡」
「ッッ!それはお前がッ」
「なぁ春ちゃん?」
俺の言葉を蘭が遮る。
クイッと俺の顎を持ち上げ、全てを見透かされているような目で見つめられる。
「俺に、どうして欲しい?『Say(言え。)』」
頭がクラクラしてきた。もう全てどうでもいいような気がする。
ただ全部こいつに任せれば…。
「…….めちゃくちゃにして欲しい………///」
チュッ♡♡
いつの間にか仰向けになった俺は、太ももに唇を落とされる。
それだけで反応してしまう自分が恥ずかしい。
「ハッ♡可愛いなぁ♡じゃあ、はじめよっか♡」
「あ゙ぁ゙ッッッッッ♡♡♡やッッ♡♡イクッッ♡♡♡♡
ン゙ッッ♡♡♡ぁ゙ッあ゙ぁあ゙ぁッッッ♡♡♡」
パチュンッ♡パチュンッ♡パチュンッ♡
「んー?まだダメ。我慢して。」
これで何度目だ?相手への思いやりなど存在しない蘭は、コマンドじゃなくてもいうことを聞いてしまう俺を利用する。
あれから時間は結構な経っているはずなのに、俺は1回もイッてない。
「ッッッッッッ♡♡♡もッッ無理ッッ!!♡♡♡げんかいッッ♡これやだッッ♡♡♡むッりぃッ♡♡♡許してッッ♡♡やだぁッ♡♡」
「いっぱい我慢できて偉いねぇ♡もうちょっと頑張ろっか♡」
拷問かよッッ……!?もう無理っつってんだろうがぁッッ!!
こんなこと思ってても俺の体は素直に受け入れてしまう。
「ン゙ぅ゙ッッッ♡♡♡あ゙ッッぁ゙ッ ン゙ぁ゙ッッあ゙゙ッ♡♡♡♡がッッまんんッッッ♡♡がまッッン゙ッ♡♡」
「そー。我慢我慢。頑張れ♡」
なんか我慢するのも気持ちよくなってきたな、と思ってきた。が、それさえも蘭は見透かす。
「Cum(イけ)♡♡」
耳元で脳内に直接囁き込まれる。
「ぅ゙ッッッッッッ!?!?♡♡♡♡♡♡ン゙あ゙ぁあ゙゙ッッッッ♡♡♡♡♡♡」
腰を思いっきり仰け反って俺は絶頂に達する。
ビュクッビュクッとほぼ全てを吐き出してしまった俺は、ヨダレやら何やらが体を垂れ、情けない姿になっているだろう。
そんな俺もお構い無しに、蘭は俺の疲れて動く気配のない腰をさすって言った。
「Up(上げろ)」
腰をさすって言ったんだから腰を上げろという意味だろう。
「ン゙ぅ゙ッッッッ♡♡♡♡」
さっきまで力をなくしていた腰は、何とか力を振り絞って蘭のお望みの場所までもっていく。
そこでちょっと休憩、なんてできるわけもなく。
バチュンッ♡♡♡
「ッッッッッッ!?!?!?♡♡♡♡♡♡♡」
いきなり奥とか声がでねぇ!
蘭は止めるはずもなく、どんどん動きが激しくなっていく。
バチュンッッ♡♡バチュンッッ♡バチュンッ♡♡バチュンッ♡♡バチュンッッ♡♡バチュンッッ♡♡バチュンッッ♡♡
「あ゙ッッぁあ゙゙ッッぁあ゙ッッ♡♡♡♡ふかッッい♡♡うごくのッッッはやいッッてぇッッッ♡♡♡あ゙゙ぅッッ♡♡♡ン゙ッッぁ♡♡♡♡あ゙ッッ♡♡♡♡」
奥を突かれるたびに声が漏れる。
喘ぎすぎて喉が枯れて痛い。きっとそれも蘭は気づいているが、一向にやめる気配はない。
「あぁ〜♡可愛い♡春ちゃん可愛いよ♡」
蘭が俺の体を上から下までスーっとなぞっていく。
それだけ俺はでもビクッと体を震わせて反応してしまう。
「あぅ゙ッッ♡♡♡やらぁッッ♡♡♡とめッッでッッ♡♡♡ンぁ゙ッッぁ゙あ゙ぁあ゙ッッ♡♡♡♡」
俺の腰を掴む蘭の腕を握り、抗議する。
「はいはい、頑張って〜♡」
コマンドと蘭のテクで俺の体はもう限界だ。
目の端にチカッと星が見える。
「ン゙ンンン♡♡♡♡ぅあ゙゙ッッ♡♡♡ぁあ゙ぁあ゙゙ンンぁあ゙♡♡♡♡ぁッッッ♡♡♡あ゙ン゙ッッ♡♡♡」
「春ちゃん、出すよ?♡」
蘭が顔をグッと近づけて言う。
そんな言葉も届かないほどに俺の体はヘトヘトだ。
ビュルルルル♡♡♡
そんな幻聴とともに俺の腹に熱いものが流れ込んでくる。
「ン゙ぅ゙ぅぅぅッッッッッッ♡♡♡あつッッッ♡♡♡♡ぁあ゙ッッぁあ゙ぁあ゙ぅ゙ッッッ♡♡♡♡」
同時に俺も絶頂に達する。
さっきので全て出し切ってしまったから、体を痙攣させて気持ちよさに浸る。
蘭は俺の奥の奥にグリグリと、最後の一滴まで押し付ける。
「ン゙ン゙ン゙ッッッッッッッ♡♡♡♡♡♡♡」
既に枯れ果ててる喉から限界の声をだし、ボスっとベットに沈み込む俺。
そんな俺の耳に、今まで聞いたことのない甘い声で蘭が囁いた。
「Good BOY(よく出来ました)。」
「ッ♡♡」
褒められた…….?
もっと褒めて欲しい、指示して欲しい。
そんな思いが腹の底から吹き上がってくるが、今は眠気が俺を引きずっていく。
「よく頑張ったなぁ?♡寝ていーよ♡」
蘭は俺の頭を乱暴に撫で回してから、俺のまぶたに触れた。
あったけぇ……。蘭の大きな手の安心感に包まれ、俺は暗闇の中に落ちていった。
その後、帰りが遅いとココに締められる2人であった。
end
コメント
7件
WOW…大好きです…!(?)
なんか、これにめちゃ似てるやつあるんだが
ひぇ、書き方が美しすぎる😖💞 フォロー失礼します🙇🏻♀️🙇🏻♀️🙇🏻♀️