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「これみて」
今日も優しい笑顔で彼女は微笑む
シロツメクサの花かんむりを
2つ持っている彼女
「これあげる」
銀髪のふわふわな髪が風に靡く
僕の頭の上にソッと
その花かんむりをのせ彼女は
ヘラっと笑い
「似合ってるよ」
そう言った
毎日が幸せだった
だがしかし
幸せは長く続かないものだ…
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深い森の奥
紅色の屋根と木のいい香りがするドア
窓から中を覗くと
全身真っ黒
顔には眼鏡を頭には深く帽子を被り
薄茶色のコートを羽織った男がいた
花のたくさん咲いた庭をたまに
眺めながら
椅子にゆったりと座り
読書に親しんでいる様子だ
サァーッと風が窓から入り込み
飛ばされそうに
なった帽子を慌てて捕まえる
そこで顔を上げると
木陰になにかが居るようだ
男は少し警戒しながらも
「何か用かな?」
と優しく問いかける
何者かは木から覗き込むように
半分、顔を見せ
何も言わずにこちらを見つめている
その姿はあまりにも美しかった
白いふわふわの髪。腰ぐらいまである
白く長いまつ毛のしたに隠れた瞳は
赤みがかった紫色に見える
とても気持ちの良さそうな生地の服
真っ白なワンピースだ
それに見とれる男はハッと我にかえり
「怖くないよ…こっちへおいで」
ニコッと笑ってみせる
つもりだが男の表情は分からない
「私は雨花(ウカ)という君はなんというんだい?」
雨花は自己紹介をすることで
少し警戒をとこうとしたのだが…
やはり彼女は動こうとしない
雨花が焦り始めると彼女は少しこわばった顔でゆっくりと木陰からでてきた
「シノ…名前…シノ…」
彼女はそう小さく呟く
雨花はそれに喜んだシノが
名前を教えてくれたから
「シノか…いい名前だ」
雨花は優しい声でそう言った
するとシノは「ほんとに…?名前可笑しくない…」
自信なさそうにそうシノは問いかけてきた
「あぁ。ちっとも。とても美しいよ」
雨花は迷わずそう言った
だが何故シノはそう思うのか?
少し気になったが
今聞くことでは無さそうだ
その後シノは急にここに住むと言い出す
帰る場所があるのではと問いかけたがそんなものは無いのだと…
シノの口癖は
「また遊ぼう」
掃除の途中でも「また遊ぼう」
森の中を散歩しても「また遊ぼう」
ご飯を食べている時も「また遊ぼう」
たった数日しか経っていないが口癖と分かるくらい言っている。
一日に50回ぐらいは
言っているだろうな
だが雨花はそれを嫌がらないようだ
むしろ嬉しいみたいだ
よく顔を見てみると笑っているようにみえるだろう?
三日月の夜シノを寝かしつけていると
シノは今日も
「また遊ぼう 」
そう呟いた
次にその言葉を聞くのはいつなのだろう