テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
461
#死ネタ注意
k@
1,404
1,912
さき
2
いつから意識してたかなんてもう覚えてない。
隣に座れば嬉しくて、名前を呼ばれればそれだけでいつもより頑張れる。
気付けば好きになっていた。
気持ちが溢れ出しそうになった事も一度や二度じゃない。
でも同じグループのメンバーとしてずっと隣に立っていたいから。
好きだと伝えるつもりはない。
だからこの気持ちを誰にも聴かせることの無い歌にした。
個人の仕事が終わり、携帯を見るとチャットアプリに勇斗から連絡が入っていた。
『仕事終わったら連絡ほしい』
勇斗が具体的な内容を書かないのは珍しく、不思議に思いながら『仕事おわったよ。どうした?』と打ち返す。
すぐに既読がつき『この後オフ?仁人の家行っていいかな?歌合わせたい』と返事があり、少し動揺する。
確かに俺の家にはギターもあり合わせるには丁度いいかもしれない。
「でもなぁ…」
できれば2人きりになりたくない。
ましてや自分の家となると、気が緩みそうで隠し通せるだろうか。
でも最近はお互い忙しいため、時間を合わせる事は難しい。ここは一度2人で合わせておきたい。
『いいよ、もう帰るから家向かってて』
『りょーかい!じゃあ準備して向かうわ!』
返信を見て急いで着替え家へ向かった。
家に着き、しばらくするとオートロックのインターホンが鳴った。
画面を見ると黒ずくめの大男。
『どうぞー』とオートロックを開けると『さんきゅー』と自動ドアを抜けていく。
まもなく玄関のインターホンが鳴りドアを開けると勇斗がお邪魔しまーすと入ってきた。
勇斗の香水がフワッと玄関に広がり、いつもの香りなのに変に意識してしまう。
気持ちを切り替えて、早速部屋へ案内し新曲を合わせる。
一通り合わせ、仁人が少し休憩を取ろうと空のボトルを掴みリビングへ飲み物を取りに向かった。
勇斗は開かれていた仁人のノートパソコンを何となく眺め、仁人が個人で出している曲などが並ぶ、仮歌というフォルダの中から『未完成』という曲をクリックした。
静かなギターのイントロから仁人の歌声が響く。
切ないバラード曲で歌詞からは相手への想いがとめどなく溢れていた。
勇斗は歌詞の一部に自分と仁人しか知らない出来事が記されていることに気付いた。
そして『いつか君が誰かを選ぶなら、せめてその日までは好きでいさせて…』と言う歌詞と共に途中で曲が終わっていた。
「えっ…これ、俺のこと?」
急いでフォルダを閉じた。
驚いた。
でもそれ以上に嬉しかった。
しかしリビングから戻った仁人には何も聞けなかった。
それから数日後、収録があり楽屋にはメンバー5人が集まっていた。
ソファには仁人が座っており、勇斗はその隣にドカッと腰を降ろした。
わざと肩が触れる距離に座り、仁人が勇斗の方に顔を向ける。
「ねぇ、近くない?」
「そう?」
「そうだよ」
「おれは気にならないけど」
そう言って笑うと、仁人は少し困った様な顔をして目を逸らした。
「仁人」
「何?」
「俺のこと好き?」
仁人にしか聞こえない程度の声で囁くと、一瞬表情が固まった。
しかしすぐにいつもの飄々とした顔に戻り
「何、急に…」
「いや、聞いてみただけ」
「好きだよ」
思わぬ返答に今度は勇斗の表情が固まる。
「メンバーとしてね。大事だし。」
付け足された言葉に勇斗は何だか少し物足りなさを感じた。
「なになにー仁ちゃん愛のコクハクー?!」
どこから聞いていたのか舜太がちょっかいをかけてきた。
「違うわ!」
と笑いながら仁人が答えた。
その後番組の収録を終えて楽屋へ戻るも、仁人はいつものソファには座らず1人掛けの椅子へ腰を下ろした。
そして、いつもなら最後の方に出ていく楽屋も、そそくさと帰り支度をして「じゃ、おつかれー」と1番に出て行ってしまった。
「仁ちゃん今日めっちゃ早くない?」
「何か用事でもあるんじゃない?」
「じゃあ、俺も帰るわー!」
とメンバー達が話しているのを聞き流しながら勇斗は何故自分の気持ちがこんなにモヤモヤしているのか疑問に感じていた。
コメント
2件
ありがとうございます!!!😭 2人のやり取りがとても鮮明に目に浮かび、ドキドキしました!! 続きも非常に楽しみです!!
わあ〜〜〜さきさん新作第1話読んだよ!!😭💕 もう冒頭から"隣に座れば嬉しくて"って一文で心掴まれた…! 仁人の切ない片想い、歌にしちゃうところがエモすぎるし、 勇斗にバレた瞬間の「えっ…これ、俺のこと?」でこっちまでドキドキしたよ!! ラストの楽屋の距離感と仁人の早退、めっちゃ気になる展開すぎる…続き待ってる!!📖✨