「か、神の子だ…」
第1話 神の子
時は1200年代。
あたしは神の子らしい。普通とは違うんだって。
「いいか琴乃。お前は我が神社の大切な神だ。消してその身を汚してはならぬ。」
「…承知致しました。父上。」
「それと、この神社の外には決して出てはならぬ。この世は貪欲で汚れている。お前のその神聖な身を晒してはならぬ。」
「かしこまりました。」
あたしは神。神はこの身を汚してはならない。どうしてか?…分からない。だって神だから。
「よし。それでは行ってくるぞ。神学でも学ぶといい。」
「はい。」
ガチャ
「聖書ってこんなに鮮明に書かれているのか…」
ガラガラ…
(…?参拝客…?でも何故こんな時間に…)
窓から外を覗くと、そこにはルビーのように輝く瞳を持った狐がいた。
「狐…?なんだ…」
(…?あれ?じゃあさっきの音は……え?)
よく見るとその狐には九つの尾が生えていた。
「え?…えっ?!き、きつ…ッ!なんで…?!」
「お主から神聖な感覚を覚えるぞ。」
狐が話したのだ。
「え?!待ってこれ夢?」
「そう驚くでない。…お主、神…だろ」
「!…」
「その様子じゃ、外に出て居られないのか。」
「え…?な、なんで…?」
図星だ。父上に外は汚れていて、危険だと、小さい頃から口酸っぱく言われてきた。
「あ、あなた何者なの…?」
「…外に出てみたいと思わないか?」
(…シカトされた…)
「そりゃ出てみたいよ。でも駄目なんだ。」
「ほう。何故だ」
「…分かんない」
「分からないだと?」
「…うん。」
「でも出たいのだろう?」
「そ、そう言ってるじゃん」
「なら出ればいいでは無いか」
「……え?」
「お前は某プリンセスの様に高い塔に監禁されてはいない。ただの窓だ。」
確かに…す、少しくらい…
あたしはこの日。窓を飛び出た
「ふん…やればできるでないか。」
「神だしね!」
「…そうだな。」
この日から、この狐(?)との旅が始まった。
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