episode 8「精一杯で叶えたい。」
なろさん視点
自分の意思と相反する言葉が出る。それほど辛いことがあるのだろうか。
「ねえ、あんなに酷いことしといてその顔?
謝る気ないの?
もしかして教員の素質ないかもしれないねw
この後一緒に退職届でも出そうよ、どうせ君のこと好きな生徒なんていないだろうけどね」
レイナは、ついこの間まで純粋なルビー色をしていた目を酷く濁らせて、頷きながら話を聞いている。
僕だってこうしたいわけじゃないのに。本当にごめんね。
翔くん視点
___今日はおそらく嗅覚。花の匂いもしなくなった。
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーー?
ーーーーーー?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーw
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…」
遠くからなろくんの声が聞こえる。
レイナは、何か言われているのだろうか。
居ても立っても居られない。
かろうじて胴体だけは動かせるから、なんとか車椅子に乗って声のする部屋へと向かった。
「んー! ん!」
全く言語は話せない。
「あれ? 翔くん?」
「しょ…うく…ん?」
「な……んそ…いじょ………めて!」
「なんて言ってるんだろう?」
これが精一杯だから、伝わらなくてもおかしくはない。
でも、こんな状況、
一刻も早く終わらせたい。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!