私が3歳の頃。
ずっと自分に残る記憶が誰のものかふと分かった。
生まれたときからその記憶があるせいか、あまり混乱はしなかったけれど。
私は「前世」を覚えているのではない。
《意図的》に組み込まれたプログラムのような記憶が私の中に断片的に入っていた。
必要のない情報だけは抜き取られて。
「小説」を実現化させた世界に潜り込んでいた。
いわゆる神の遊戯。
「幸せになりなさい」と神に呪縛をかけられた。
私の大好きな人を殺して。
恵まれなさいと。
私には幼馴染がいた。
面倒見がよくて、ぶっきらぼうで。
誰よりも優しい人。
私が口をチョコで汚したとき。
「しょうがねぇなぁ」とそう言って。
私の口を拭ってくれる人。
彼は小説の中で、私のせいで殺される。
私のトラウマを作るために。
ストーリーに殺された。
彼が生きてくれるなら。
私はそれでいい。
彼が生きてくれるなら、私はいつだって死んでやる。
それでも神は私を死なせてくれずに。
小6の初夏。
私の幼馴染は背中を刺された。
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