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別に、特に何かあったわけでもない。いじめられていたわけでも、毒親に虐げられていたわけでも、ましてや思いっきりフラレたなんてことも。特に何かあったわけでもないけど、それがさも当然だというように、私は飛び降りた。地面にぶつかる前に意識は飛んでいた。
特に痛みもなく楽に死ねた、あぁ、良かったなぁ、なんてことを考えて、自分の意識が戻っていることに気付いた。死んで地獄にでも落ちたのかな?目を開けると、そこにはぐちゃぐちゃになった私の死体。……と、私を見て悲鳴を上げる生徒、目を丸くする先生達。
私はしばらく自分の状態に気が付かなかった。幽霊になったのはなんとなくわかったんだけど、まさか周りの人間から見えているとは思わなかった。
うわ皆叫んでる。まあそりゃそうか。死体だし。にしてもぐっちゃぐちゃだな~気持ち悪……。幽霊ってゲボ吐けるのかな?幽霊に内臓は無いか……内臓は無いぞう、な~んて。
と、さんざん独り言を言ってからもう一度周囲を見渡す。皆死体ではなく、私を見ていた。そう。私を。ハッと気付いて、小さくこぼす。「え……聞かれてた?」
観衆はみんな同じ顔してうんうんと頷いた。今度は私が小さく悲鳴を上げることになった。
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