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〜4/24 10:40 ロモンの自宅〜
「う〜ん。」
ロモンは今日、ホギー芸術学園の高等バレエ団顧問からの作曲の依頼があった。しかし、近代クラシック印象派風という、作曲法としては高難易度かつ専門外の曲の依頼だったので、なかなか手が進まないままであった。
「仕方ない。一度師匠に会って、アドバイスを貰おう。」
ロモンはすぐに出かける準備を行った。
「ロモン、どこへ行くの?」
玄関に向かうロモンを見たリイムは、玄関までついてきた。
「ちょっと知り合いのところに行ってくる。すぐ帰ってくるから留守番お願い。」
そう言ってロモンは家を出た。
「しょうがないわね。」
リイムは玄関を離れ、リビングへ向かおうとした。その時、いつもは閉まっているロモンの作業部屋が開いてることに気づいた。ロモンからは「入っちゃダメだよ。」と言われてるが、リイムにとってはどんなことをしているのか知りたくてたまらなかったのであった。
「……入っちゃおっ。」
中を見てみると、たくさんのくしゃくしゃの紙が散らばっていて、真ん中の長机にはピアノロールとパソコン、コピー機、メモ用紙が置いてあった。
リイムは散らばっているくしゃくしゃの紙を器用に避けながら、長机に上がった。
「何これ?初めて見たわ。」
リイムは置かれたピアノロールを触った。
♪!
「きゃあ!」
音に驚いてリイムは跳び上がり、長机から落ちた。再び長机に上がったリイムは、もう一度ピアノロールを触った。
♯♪!
(何これ面白い!…でもさっきと音が違う。 )
(もしかして…!)
リイムは両方の前足で別々のところを触った。
♭♪!
♯♪!
(やっぱり!押すところによって音が変わるんだ。音程も左が低くて右が高い。)
♬♪♬♪♬🎶♪!
「これ楽しい!」
しばらく遊んだ後、リイムは置いてあるパソコンに目をつけた。
「これ、故郷の宇宙民がつかってたのと一緒だわ。……ちょっと見た目違うけど。」
リイムはパソコンのキーボードを適当に叩いた。しかし、マウスカーソルに表示されている記号が変わる以外に変化は起きなかった。結局最後に一発キーボードを叩いた後、今度は近くのメモ用紙を覗き始めた。
,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,
「依頼メモ」(P=ポイント)
「P1.近代クラシック印象派風 」
「P2.地球にはない、浮遊感と宇宙感」
「P3.己の感じる心の中の景色を添えて」
ステップの指示は、渡された曲の雰囲気に応じて俺と議論した上で決めます。
”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“’
「P1は…分からないけど…。」
リイムは視線をP2とP3に向けた。
「地球にはない、浮遊感と宇宙感?地球って多分この星のことっぽいけど…。…?」
「…己の感じる心の中の景色…。……!」
「……私の見る景色は……。」
(リイムの回想)
リイムが現地を逃げ出す、およそ半年前の出来事。
「あなたまた迷子になったの?。」
リイムは見た目こそ地球ではただの触角と角の生えた長毛の猫っぽい生き物だが、遠い銀河では、むしろこのかわいい姿のほうが珍しく、滅多に遭遇しない生き物である。
しかし、狙ってるのかってくらい高頻度で迷子になる1人の宇宙民の男子がいた。
「うん。」
「仕方ないわね〜。ついてきて。」
そういって道を案内して帰らせるのがリイムの日常にもなっていた。
🎶〜
「何この音?」
「この音、おじいちゃんが近くだ!」
「ちょっとなんで私まで!?」
男子はリイムを抱きかかえ、音の鳴る方向へと向かった。
おじいちゃんはいつもの丘の上で縦笛を奏でていた。
♪〜〜♪,♪〜♪〜,♪🎶♪♪,♪〜〜♪,
♪♪♪♪,♪🎶♪♪,♪〜♪♪,♪〜〜〜
(上の音符しか使えないため”〜”で音を伸ばしてる。ちなみに曲全体のうち一部の演奏)
男子はおじいちゃんに気づかれてはいないが、その背後でおじいちゃんの奏でる音楽を聴いていた。もちろん、リイムもそのそばで。
空いっぱいに星空が広がる時に、人里離れた丘の上で奏でられる音楽は、銀河という一種の牢屋を抜け出して、広がって響くように感じられた。
(なんだかすごい…眠くなった。)
演奏を終えたおじいちゃんが後ろを向くと、眠ってしまった男子とリイムがいるのを見つけた。
「ふふ😊。」
(回想終了)
「あの時の音、なんだったかな〜。」
リイムは当時の記憶を探りながら、ピアノロールに前足を置いた。
そして、音を思い出し、ピアノロールの鍵盤を前足で押して、演奏を始めた。
♪〜〜♪,♪〜♪〜,♪🎶♪♪,♪〜〜♪,
♪♪♪♪,♪🎶♪♪,♪〜♪♪,♪〜〜〜
演奏を終えたリイムは、パソコンの方に目を向けた。その時、画面の何本もの線に黒丸がたくさん並んでいた。
実は、最後にキーボードを叩いた時にピアノロールによる音符入力機能が作動したのだった。
冷や汗をかきはじめたリイムは、そそくさと部屋を出た。その時、ロモンが帰宅した。
「ただいまー。」
「ひぃ!あ〜おかえり〜。」
「遅くなってごめん。どうだった?」
「あぁぁぜんんぜんだいじじょうぶだっったよよ〜。」
リイムの焦りを抑えきれない様子に、ロモンは少し違和感を感じたが、気にせず昼ごはんの準備に向かった。
「は〜⤵。結局師匠いなかったな〜。」
昼ごはんの後、ロモンは作業部屋に入った。そこで、パソコンに既に旋律が記入されているのを見つけた。ロモンは疑問に思いながらも、一度その音楽を聴いてみた。
♪〜〜♪,♪〜♪〜,♪🎶♪♪,♪〜〜♪,
♪♪♪♪,♪🎶♪♪,♪〜♪♪,♪〜〜〜
「全く馴染みのある感じじゃないけどすごい浮遊感のある宇宙っぽい雰囲気だ。ドア開けっぱなしだったからおそらくリイムがやったんだろう。」
ロモンはその旋律に合った編成と和音、リズムを加え、再度確認した後にコピー機で印刷した。
後にロモンはすぐに家を出て、依頼主に渡しに行った。
〜おまけ〜
およそ1ヶ月後、さっそく作った曲の発表が行われたので、ロモンはリイムを猫用ケースに入れて発表ホールへ向かった。
〜演奏後〜
「素晴らしいわ!」「お見事だ!」
ホール内は称賛の声で早くもいっぱいになってしまった。
ロモンは猫用ケースの小さい窓を開け、手を入れてリイムを撫で撫でした。
「今回は良いところをほとんど取られちゃったな〜。今回のご飯は豪華になるぞリイム!」
既に撫でられて寝てしまったリイムの顔は、いつもより笑顔がはっきりしていた。
〜続く〜
コメント
1件
リイムがピアノロールを触って音を出すシーン、すごく可愛かったです!知らないものに興味津々で、しかも無意識に作曲までしちゃうところが彼女らしいというか。宇宙での思い出と音楽が結びつくラストも、ほっこりしました。ロモンに内緒でこっそり名演奏を届ける感じ、良いですね。続きが楽しみです!