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妖怪とか幽霊とか出てくるパロです
ニキ→烏天狗「」
しろせんせー→人『』
同居中
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「ボビー?頼まれた物買ってきたよー」
『あ、にき、毎回すまんな』
「いいってことよ。それより今度の打ち合わせ夜まで続きそうやけん、リモートでいい?」
『おう、それで頼む。助かるわ』
「ひょーふぁーい」
『早速食いながら喋んな』
「ごめんごめん笑」
今日もニキに買い物をしてもらい、普通の人にはする必要のない気を遣わせてしまっている。
なんでこうなっているのか
簡単に言うと
昔、怖い体験をしたから。
お陰で俺は夜になると家から出られない。日中でさえ誰かと一緒じゃないと外に行けない。
じゃあ何があったのか。
そんなこともう考えたくもない。
「ボビー」
冬。12月に入り、一気に冷え込んだとある薄暗い夕方。寒さで最近外に出ていないせいで冷蔵庫が空っぽだったためコンビニへ出かけた帰り。人気のない道でそう呼ばれた気がした。
ニキか?と思いつつ振り向こうとすると、
チリン
と鈴の音が聞こえた。
いつもなら気にせずすぐ振り返るが違和感を覚え、途中で振り返るのをやめた
今考えてもいい判断だったが、もっと早く気づければどれだけ良かっただろう。
途中で振り返るのをやめたせいでまた前を向いて歩き出すには不自然で、だからと言ってそのまま振り向くのは本能が危険だと言っている気がしてこの場から動けなかった。
「ボビー?」
もう一度そう呼ばれる
今度は分かる。声はニキであるものの俺を呼んでいるのはニキじゃない。俺の思考と体の動きは完全に一致し、振り向くという選択肢は完全に消えた。
どうする?逃げるか?
少しぼんやりとしていた頭を総動員させ、考える。前に1度今みたいな不思議な感覚に襲われた時は逃げたら酷い目に会ったのを覚えてる。どうしようも出来ず、お祓いをしに有名なところに行ったら俺を見るなり、家ではできない。と門前払いされ、紹介された所は山の奥地すぎるわ、作業に3日かかるわ、ものすごい金額を請求されるわ散々な目に遭った。結構苦い思い出だ。
どうするかと考えているうちにも得体の知れない存在から名前を呼ばれる。心做しか、怒っているようにも聞こえる。
まずい。早く何かせんと。
そうや、にき、 ニキに電話すれば、
「無視しないでよ」
『ひっ』
今度は耳元ではっきりと言われた。声もニキの声ではなく、低くノイズのかかったような声に変わっていた。
あからさまに状況が悪化している。
怖い、こわい、ニキ、早くたすけ、、、
「ははは、やっぱり見えてる」
え?
完全に聞いた事のない、低い男性の声
気づけば俺は激しい頭痛に襲われていた
なんで?何が起こったんや?
俺逃げとらんし、振り向いてもないのに
「見えてる、見ェてる!俺の事分ヵアる奴だ」
頭痛がより激しくなる
聞きたくもないし、見たくもないのに得体の知れない奴は痛みでその場にしゃがみ込んでしまった俺を覗き込んでくる
そっちから目合わせに来るとか反則やろ
逃げても駄目、振り向いても駄目、立ち止まっても駄目とかどうすれば良かったんや
そう考えている内にも頭の痛みはどんどん強くなってきて、耳鳴りも聞こえてくる
頭、痛い
これ、結構、やば、、い
ダメ、や、、この、まま、やったら、、俺、
「ボビー」
後ろでそう呼ばれた気がした
それを合図に頭痛と耳鳴りが治まった。
化け物は一瞬嫌そうな顔をして、俺の後ろのやつを睨んだと思ったら、いつの間にか消えていた。
痛みが引くと共に徐々に意識が薄れていく中、大きな羽の生えた人影を見た気がした。
カランカラン
下駄で歩く音は静かな街に思った以上に響く
下駄って意外と五月蝿いんだな
ボビーが起きたら困るし、今真夜中でみんな寝てるし、飛ぶか
「寒っ」
やっぱり寒い。これだから冬に飛ぶのは嫌なんだよな。ボビーが風邪ひいたら困るんだけど。
いや、それはそれで見てみたいかも
風邪ひいたら看病すればいいだけだし
そんな事を呑気に考えてる内に家に着いた。
やっぱり飛ぶと早くていいな。
徒歩だったら3時間以上かかる所に飛ばされてた訳だし、飛べなかったらもう詰みだよな。
良かったー、俺天狗で。
まだ地味に邪気が残っていたため、簡単に清めてから、ボビーを布団に寝かせる。
雑魚の癖に、俺のボビちゃんに手ぇ出すとか、頭悪すぎだろ。
まじでイライラする
てか一応虫除けはしてたつもりなんだけどなぁ。 俺の術結構雑だから、破られたっぽい
感覚でやるんじゃなくてちゃんと勉強しとけばよかった、いや、面倒臭いからいいや。
『に、き…?』
「あ、おはよう、ボビー」
『にき、よかったニキや』
「どっか痛いとことかない?」
『たぶん、ない』
「そ、ならいいや。
ボビーまだ眠いでしょ、寝ときな」
『ん、そうするわ』
「ボビー?寝た?」
『…』
「ごめん、怖い思いさせて」
ボビーは元々そういう奴に好かれやすい体質だ。俺もそのうちの1人だし。
でも今回のことはたぶん、俺のせい
俺が勝手にボビーのこと守りたくてボビーに手出しされないように得意でもない術を勝手に張ったから、普通のやつよりもタチの悪いやつが寄ってきたんだと思う。
ボビー元々怖いの苦手なのに、トラウマになっちゃっただろうな。
「ほんとごめん」
後悔で歪んだ顔なんてボビーに見せれないな
やっぱりトラウマになってたみたいであの日以来、ボビーは1人じゃ外に出られなくなった
元はと言えば俺のせいなんだからボビーの代わりに色々してあげるのは当たり前
一応俺が天狗だってことは伏せて、霊が見えるし、お祓いもできる特異体質ということにして、事の顛末をボビーに話はしたけど、
ボビーは優しいから。
あれから1年以上経っているのに未だに申し訳なさそうな顔をされるのが心苦しい。
だけど、
まぁ
ボビーがあの日の夢を見る度、俺の部屋に来て、
『俺、ニキがおらんと生きてけん』
って言ってくれるなら、案外よかったのかもしれない。なんて、ボビーが知ったら、
怒って逃げちゃうかな。
絶縁するとか言われるかも。
それとも、
それでも”ニキしかいない” って言ってくれるかなぁ。
全部包み隠さず言うのも面白そうだけど、
今はボビーとの2人っきりの時間を楽しまないとな。
強硬手段に出なくても、ボビーを俺のものにできた訳だし、術張っといてよかった。
やっぱり俺は運がいいな。
この先何があっても絶対離さないよ