テラーノベル
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彼女が死んでから何日経っただろう。フラワーが部屋にこもってから何日経っただろう。
だけど、数日経てばみんなは普段と同じように過ごすようになっていた。人が死ぬことなんて日常茶飯事だった。日常に小さな穴が空いただけだった。小さな穴が…………。
私は洗面台の鏡に写っている自分と向き合っている。私の顔は水で濡れていた。
あの時私は何故……何故泣けなかった?何故目が痛くなった……?私はそのことで数日悩まされ続けている。今、とても気分が悪い。
私は1人で自分の部屋に向かった。目の前がぐにゃぐにゃして、歩きにくい。目の前にあるものが全て渦巻のように吸い込まれてゆくような気がする。私が見ていないところで大量の目が、大量の視線が私を見つめているような気がする、吐き気が止まらない。
私は自分の部屋のドアを軽く閉めた。見慣れたようで見慣れてない部屋が広がる。私はすぐにベッドへダイブした、体がボヨンと跳ね、また体がベッドへめり込む。
前は楽しいと思えたのに……、ただ単にベッドに飛び込んだだけじゃない…何が楽しかったんだっけ。
部屋を見つめているとある違和感に気づいた、部屋の地面を目で見渡すとあの時何故か部屋にあった“縄”がなくなっていた。
私は戸惑いを隠せなかった、勝手に私の前に現れたのだから次は勝手に目の前に消えたのだろうか……。それとも……考えたくはないがルビーが盗ったという可能性がある。
このホテルの部屋は鍵が付いていない、だから誰でも出入りすることが可能なのだ、だからルビーが勝手に入って………。
ジリリリリリリリ
「何!?」
私は電話の音で顔を素早く上げた、音が鳴っていたのは元々ここにあった黒電話だった。
「な……なんでなっているの……?誰から……。」
私は恐る恐るその電話の所へと歩いてゆく、もうこの時代には黒電話はないはず……。何故か私の心臓はドクドクと激しく動いていた。
近づいてみたが普通の黒電話のようにしか見えない。何秒待っても鳴り止まない黒電話に、段々と私はその電話の音が耳障りになってきた。耳元でベルの音が何度も何度も鳴り響く。ああ、早く………….
「黙ってよ!!」
私はその怒りと無意識に受話器を取り上げ、受話器に直接大声で叫んだ。
私はハッとした、受話器をとってしまったことに驚きを隠せず体は動かないままだった。
受話器からは……何か音がしている……?なんだろう……。そう不思議で仕方なく、受話器を耳元に当ててみた。
「ちょっと急に叫ばないでください!」
「えっ……!?す、すみません………」
受話器からは謎の男の声が聞こえた。この男性が私に電話をかけてきたのだ。この黒電話に……。
「もう本当にやめてくださいよ……僕もビックリしちゃいました……あはは。」
「あ、あの!誰なんですか?急に掛けてきて……!」
「名は後でです!僕は貴方……バブルさんでしたよね?バブルさんに伝えたいことがあってここに電話をしました!」
「伝えたいこと……?重大な話じゃないなら私は迷惑電話として切りますから……。」
「そうですか?バブルさんにとってはとても重大な事だと思うのですが……。」
「何ですか?早く言ってください……。」
「貴方の目の前に突然現れたあの“紙”のことなのですが……。」
私は瞳孔がギュッと小さくなったのを感じた。背後にあるゴミ箱に顔を無理やり向けた。
「じゃあね!ブック!また明日〜早く寝るんだよ〜!」
「そっちもだよアイシー!早く寝ないと絶対昼くらいに眠くなるんだから〜〜!」
彼女の笑い声が遠ざかってゆく、水色でキラキラ光る背中が小さくなっていった。廊下にいるのはあたしだけになった。電気のチカチカとした音が一人でになっている。
あたしも部屋に戻らないと………。でもその前に………。
私は階段を降りてロビーを通り、大きな扉を両手でゆっくり開けた。目の前に夜空が広がった。 涼しい風が自分の体にスーッと通りかかる。
「とっても綺麗!これが気になってて庭に出てみたかったんだよね!庭から外には出れないみたいだけど…。」
ブックは庭の芝生へ座った。芝生は少し冷えていて手が少し冷んやりしてゆくのを感じた。
ふぅ…と一息をついた、右へ視線を寄せると本来花が植えてある荒れた土があった。
「はあ…ルビー…どうして……。」
私は埋められた所を冷たく見つめた、光を照らしてくれる彼女が突然消えてしまった。ルビーは絶対は自殺をする子ではないと思っている。多分誰かに殺されたんだ……でも……ここで殺す人なんて居ないに決まってる!!
私は三角座りで足の上に手を添えた。外の木達がそよそよと揺れている、ここには誰も居ない……。
「ただ…あたしは幸せに過ごしたかっただけなのに………。」
彼女がそう呟いた瞬間だった。彼女の目の前に大きな影がゆっくりと大きくなってゆくことを、彼女は気づかなかった。
ガチンッッ
「え……?」
視界が斜めになって、ついには横になってしまった。気づいた頃には遅かった、頭に激痛が走り彼女を躊躇なく襲った。肌が芝生にベッタリとつき、誰かの足元が見えた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
彼女が叫んでいる頃にも何度も何度も固いナニカで頭を叩き続けられた。誰かに殴られている…。彼女の血が花火のように飛び散るのが彼女自身でもわかった。頭が凹んでゆく……頭蓋骨を破壊し皮膚が完全に破れ、血まみれになった。その叩かれている衝撃で右目の眼球が飛び出し、数メートル先へ飛んでゆくのがわかった。飛んで行った印に、彼女の血で荒い線が引かれて飛んでいくのを彼女は見た。
そう、頭蓋骨の破片が彼女脳の中に入ってしまった。その骨は彼女の脳を傷つけてあらゆる所から血がふつふつと溢れ出してきた。油のような、黄色いゼリーのようなものがゆっくりと吹き出し、異臭で周りが包まれた。彼女の頭から前頭葉が1、2本垂れ出ていて、風でゆらりと揺れ、テカテカと月の光を反射した。
「だ……誰!?おえ゛ッッ!」
彼女は突然吐血し、血飛沫が芝生に細かく広がった。
「ただ………殴っているだけ。」
「あ゛あ゛ぁ゛…………。」
彼女は息絶えた。自分の血の海に浸りながら静かに眠った。
カランッ…………
彼女の隣には彼方此方凹んだスコップが投げ捨てられた。
庭全体に体が引きずられる音が鳴り響いただろう、薔薇色に光る液体が伸びて行きながら……。
コメント
2件
まさかブックも死ぬとは……アイスキューブの反応が気になりすぎてやばいです😳😳やっぱフラワーみたいになるのかな🥹🥹まじで超衝撃展開めっちゃ好きです😭😭😭😭😭 いやこいつは死なないだろ🤔って思ったキャラがすごいやられ方していきそうで…👀👀 バブルの部屋の縄がないのがルビーを手にかけたみたいな感じで…ほんとこういう系のAUまじで好きなのでありがたいです🙏🙏