目の前の光景に、
俺は、驚きを隠せなかった。
日帝(パ…パラオ…?)
(何故、此処に…いや、それよりも、、)
……駄目だ。混乱して、頭が回らない。
いや、落ち着け、冷静に考えろ。
パラオに記憶があるとは、限らないだろう。
あの子は、前世でも、凄く良い子だった。
きっと、大丈夫、大丈夫だ。
ただ、通り過ぎるだけでいい。
何も考えるな。
気にせず歩け、はやく。
そう思っているのと裏腹に、
足は、小刻みに震え、
呼吸は浅くなってゆく。
…まずい
非常にまずい、!!
パラオが近付いてくる。
それだけで、期待と不安にかけられてしまう。
もしかして、記憶があったら、、
もう、孤独じゃなくなるのではないか、?
だが、俺と関わったら…
きっと、パラオの人生を壊してしまう。
それは、嫌だ、絶対に、嫌だ、!
…あ
目が、あった。
あちらも、気づいた。
その途端、疑うような眼をする。
まて、このようすは、
”記憶があるのではないか”
パラオ「…ないち?」
…その途端、身体が動いた。
パラオがいる方向と、
反対の方向に向かって走る。
日帝「ッ!!」(逃げろ、はやく!!)
捕まってはならない。
絶対に。
捕まってしまっては、
今までの努力が無駄になる、!
せっかく、
彼奴らが幸せに暮らせる時代が来たのだ。
だから、俺みたいなやつが、
壊してしまわぬように、と
必死に今まで、やってきたのに、、!
パラオ「ッないち!!、待ってよ!!!」
「待って」
その言葉に、後ろを振り向きたくなる。
だが、駄目だ。
…まずい、疲れてきている。
今世では、まともに運動していない。
それでも太らないのは、
飯を食っていないからだろう。
というか、食えないのだ。
なんたって、銭が足りない。
呼吸が乱れると同時に、
足の回転が遅れてゆく。
まずいぞ、…追いつかれてしまう。
パラオ「はぁッ、…つ、捕まえたッ… 」
日帝「ッ離せ!!」
パラオ「嫌だ、いやだ!、絶対離さない!!」
日帝「ッ…頼むから!」
パラオ「…だって、離したら、」
「もう二度と、会えないんでしょ、?」
日帝「…当たり前だッ!」
パラオ「ッなんで、なんでよッ!?」
「ないちは、僕らのこと嫌いなの!?」
日帝「…僕ら?、それは、誰のこと、…」
待て、まさか
パラオ「誰って、ナチスさんとか、海とか」
日帝「は、」
パラオ「勿論、記憶もあるよ、!」
「ないちのこと、皆ちゃんと理解してる。」
日帝「だから、なんだ。」
パラオ「だから、僕らと一緒に、、」
日帝「幸せになろうとでも言うのか、?」
パラオ「…そうだよ」
「ねぇ、ないち。”一生の約束”しよ?」
日帝「、!…それ、覚えてるのか」
パラオ「当たり前だよ。」
「ないちが教えてくれたこと、忘れる訳ない」
日帝「、そうか」
パラオ「ねぇ、ないち。約束して、?」
「僕らと一緒に、幸せになるって。」
日帝「…」
嗚呼、このまま流れに身を任せてしまいたい。
でも、いいのだろうか。
俺が、壊してしまわないだろうか。
パラオ「今のないちに、」
「僕らの人生を壊すほどの力はないでしょ?」
日帝「…心を、読めるのか」
パラオ「いや?、そんな顔してたよ」
俺も、幸せに、なれるのだろうか
許してくれるだろうか。
もう、孤独では無いのだろうか。
日帝「…約束、してもいいか」
パラオ「!、もちろん!!」
日帝「……これから、よろしく頼む。」
パラオ「!、うん!!」
嬉しい。
今世で、初めての感情。
とても、心地が良いなぁ。
コメント
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続き楽しみです(´ᴖωᴖ`)