「これ鳴海からだそうだ」
出張で第3に来ていた長谷川から渡されたのは手に収まるほどの紙で包まれた何か。少し重くて揺らすとカラカラ音が鳴る。
「…どうも、鳴海隊長にありがとうございますと伝えておいて下さい」
「わかった」
鳴海から頼まれて長谷川も苦労しているだろうに。保科は包装された何かを見ながらそう思う。開けるのは後でにしよう。
「なんやろう、これ」
本日の仕事が終わり自分の部屋で開封する。リボン結びされた紙紐を解き、紙を取る。
すると中から出てきたのは瓶に詰められた金平糖だった。ピンクや紫や青の金平糖が入っていてまるで紫陽花が咲き誇っているかのようだ。
「綺麗やな…」
つい口から感想が漏れてしまう。あまり金平糖など食べなかったのでこんなに綺麗なものを見るのは初めてだった。
瓶の蓋を外し、数粒手に取り口に入れる。噛むとふわりと甘みが広がり、シャリシャリと溶けていく。こんなにも金平糖は美味しいものだったのか?と疑問を持つほどだ。
「にしてもなんで金平糖?」
保科は首を傾げる。こういうのは普通何か感謝を伝える時にやるものだが別に何もしていない。何か別の意味があるのだろうか。
「調べてみよか」
スマホを取り出し検索欄に『金平糖 意味』と打つ。
出てきた答えは『あなたのことが好き』だった。
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