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呪い

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呪い

1 - その日まで

♥

203

2024年12月29日

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ゆあです!

お久しぶりです。学業が忙しく(これを言ってみたかった)あまり小説を書く時間が無くて投稿出来ずにいました。

しかも続編の方ではなく短編を投稿するという……本当にすみません、!

乱太・薬物の過剰摂取・太宰の病み等、かなり読む人を分ける小説になりました、、それでも見下さる方のみお願いします!

それではどうぞ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ︎︎私の視界に、彼が写った。珍しく翡翠が露わになっていたので、直ぐに彼だと判った。いつもの糸目が、開いている。その翡翠には私が写っている。

「なにしてるの」

 ︎︎冷たい声が降ってくる。嗚呼、私に向けられた言葉。私の為に発されている声。嬉しい。

「いつも通り、です」

 ︎︎そう微笑んで見せると彼の眉が寄ったから、悲しそうに、寄ったから。違う、違うんです。私は貴方にそんな顔をさせるつもりはなくて、嗚呼、そう、貴方にそんな顔をさせてしまうから、死ななければならないと思って。

「⋯⋯違法薬物は駄目だよ。君は、探偵社員だから。あと過剰摂取もお勧めしない。何処で手に入れたのか知らないけど、危ない事はよしてよ」

 ︎︎ごめんなさい、そう口にしたつもりなのだけれど、音にならなかったらしい。静寂が痛い。痛い痛い痛い痛い痛い。

 ︎︎死ななければ。矢張り私は彼の重りにしかならない。嗚呼、可哀想な人。私なんかを気にかけて、苦しんで。昔もいたなぁ、こういう人。そう、その時は愚かだと思ったのだった。私に哀れみを向けるなんて、愚か。結局そういう人は、私を庇うだの、私を自殺の原因にするだのして、死んでいったのだ。愚か。愚かだ。なんと愚か。そんな人間は、死にやすいのだよ。馬鹿だね。

 ︎︎でも彼には、思わないなぁ。なんでかなぁ。彼は愚かでは無い。彼は優しい人。嗚呼、優しいのだ。どうして、どうして。

「吐いた方がいいかな。嘔吐薬、与謝野さんに貰ってたのがあるんだ。ちょっと待ってて。取ってくる」

 ︎︎そう言って彼は出ていった。あれ、あれ、なんで。私を置いて。酷い、酷い酷い酷い。そうやっていつも置いていく。嗚呼、酷い人。酷い。でも、いいや。あの人には幸せになって欲しいのだ。

 ︎︎しあわせ、しあわせに。

 ︎︎私といると、不幸になるもの!

 ︎︎あれ、言語化するとこんなに辛いのか。私といると幸せになれない。嗚呼、悲しい、悲しい。どうして私ばっかり。嗚呼神よ、なぜ私にばかり試練を?なんて、あはは、宗教の真似事。ははは、ふふ、つまらない。つまらないつまらないつまらない、悲しい。

 ︎︎うわああん、と、泣いてる。私が。何故だろう。自分の体で起きている事がまるでどこか遠くで上映されている映画のようで、気持ちが悪い。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。ぼろぼろと、大粒の涙が頬を伝っていく。嗚呼、きちんと自分の体で起きている事だった、と認識すると共に、言い表せようの無い悪寒が走った。汚い。こんな、汚い。涙腺など無ければ良いのに。自分の体から何かが出るのは嫌だ。汚いそれが、美しい周りのもの達まで汚してしまいそうだから。純白を、真っ黒に塗り替えてしまう。私の、私の所為で。

 ︎︎白が、黒に。

 ︎︎白が、黒になる?この蛍光ピンクの世界で?はは、可笑しい!この世界には白も黒もない!!あるのは蛍光色のピンク色!嗚呼、目が痛い。蛍光色、ピンク、痛い、目が、痛い。目が目が目が目が目が目が目が目が目が目が。

 ︎︎がちゃん、と、音が鳴る。そっちに痛む目を渋々向けると、そこには美しい翡翠があった。

「ごめん。何処に置いてたか忘れちゃって時間がかかった。お前がさ、僕の部屋から勝手に持ち出すかもと思って、分かりにくい所に隠しておいたんだ。万が一の保険で⋯⋯。否、お前がそんな事するって思ってる訳じゃなくてね、本当に、保険で」

 ︎︎翡翠の瞳を持つ優しくて酷い彼が、帰ってきた。嬉しい。何か言っているようだけれど、聞こえない。彼の声が小さいのか?否、そんな筈はないか。じゃあ、私の耳が可笑しいのか。はは。気持ち悪い。この身体は、私は、気持ち悪くて汚い部分しかない。嗚呼、はやく、早く、死ななければ。

「ねぇ」

 ︎︎声を、振り絞る。

「貴方は、どうして私に構うのですか」

「そんなの、お前が⋯⋯」

 ︎︎また、苦しそうな悲しそうな顔。私の質問が良くなかったのだろうか。私が、私が悪い。彼にこんな顔をさせているのは私。私が、彼に。嬉しい。あ、違う、嗚呼、最低だ。こんな、こんな事で喜ぶなんて。酷い、酷い人間。⋯⋯人間?私が?乱歩さんと、探偵社の皆と同じ人間か?否、そんな筈はない。私は彼等のようにはなれない。嗚呼、元はと言えば私が敦くんを守って、育てているつもりだったのだけれど。今では彼の方が余程「善い人間」だ。鏡花ちゃんも、ポートマフィアを抜けたところは私と同じなのにもうすっかり任務をこなして。善い、人間になって。あれ、私は、私はなんなのだろう。

 ︎︎そして私はまたうわああんと声を上げて泣いた。うわああん!うわああん!うわああん!これではまるで母親を呼び求める赤子のよう。みっともない。⋯⋯でもまぁ、良い。私は人間じゃあ、無いものね。

 ︎︎敷きっぱなしの布団の上にぺたんと座りうわああんと泣き続ける私に、何かが近付いてきて、ふわふわと、頭を撫でた。

「⋯⋯泣かないでよ。僕、こういうの判らないんだけど」

 ︎︎それは、翡翠の彼だった。嗚呼、乱歩さん。私の蛍光ピンクの世界で唯一別の色を持つ者。

︎︎うわああん!うわああん!う、うぅ、ぅ。

︎︎泣き声も上げられなくなって、ぼぅっとして、数分後に、

「ごめんなさい」

と彼に言った。なんとか音になった私の声に、彼はまた悲しそうな顔をした。嗚呼、本当に、申し訳ない。

「もう、なるべく、辞めてね」

 ︎︎はい、そう口にしたけれど、音にはならなかった。

︎︎ ︎︎彼を、解放しなければ。私という害悪な呪いから、彼を。そうは思うのだけれど、もう、手放せなくなってしまった。手放したくなくなってしまった。

 ︎︎ごめんなさい、いつか私が死ぬその日まで、どうか、どうか、私の呪いに耐え抜いて。そう、願うばかりである。


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ここまで。誤字脱字等ございましたらすみません🙇‍♀️

ずるずると、いつまでも、苦しみながら、彼等は一緒にいると思います。

なんかとても暗いお話でごめんなさいඉ ̫ඉ

それではまた次の話で!

この作品はいかがでしたか?

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