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カエデ目線
どうしても、今日あったことが頭から離れない。ジャージのしたを見られたこと。ただの怪我だと嘘をついたこと。助けてくれたのにビンタしたこと。虐待であることが見抜かれたこと。助けてくれようとしたのに怒鳴ってしっまたこと。何より、きっと僕のことを本気で心配してくれた三山さんの優しい顔。でも、僕が怒鳴ってしまったから、三山さんは傷ついたかもしれない。もしかしたら、明日みんなに言いふらしているかもしれない。保健室に運んでくれたのも、先生に言われただけかも。優しい顔を向けたのも、ただの同情かも。少しでも僕に助かるかも。という希望を抱かせないでほしい。
こうやって考えるだけで泣きそうになる。今日はずっとこんな調子だ。
ぐるぐると考えていると、
「カエデくん!」
と聞き覚えのある声に名前を呼ばれた。この人はキミエさん。家が隣で家族ぐるみで仲がよく、昔はみんなで旅行に行ったりもした。この人の家はカフェを経営しており、今はキミエさんが店長さんだ。
「顔色悪いけど、大丈夫?またなんかあったか〜。店、そろそろ閉店にするから話してく?」
「、、、、うん」グスッッ
キミエさんは僕の家の事情を知っている唯一の人だ。中学生のとき、父親の怒鳴り声を聞き通報をしてくれたこともある。(聞き間違えで済まされたけど、、、)キミエさんは僕に何度も「大丈夫?」「なんかあった?」「話聞くよ」と言い続けてくれた。誰にも言わないことを条件に僕はキミエさんに今まであったことを話した。その日からキミエさんは良き相談相手でいてくれる。僕が今まであったことを話し終えたとき、キミエさんが一言目に言った言葉は、
「話してくれてありがとう。辛かったね。しんどかったね。これからは、私のことを頼ってくれていいから。」
だった。この一連の内容は、僕と、キミエさんしか知らない。僕が、「誰にも言わないで」と言ったとき、
「いいよ。でも、本当に危ないときは、私が児童相談所に電話をします。」と言ってくれた。
「で、今日は何があったの?はい、コーヒー」
キミエさんは机にコーヒーとクッキーを置き、僕の正面に座った。
「ありがと。、、、、、、、今日、クラスメイトの子にジャージの下見られた。」
「そっかぁ。その子はなんて?」
「虐待か!?だって。すっごい心配し、、て、、、グスッ、、くれて、、。でも、あいつにバレて、、ウゥ、、、怒られたくな、、、くて、、、」
「うん、ゆっくりでいいよ。」
「それで、、、ジャージ返せって怒鳴っちゃて、、。心配してくれたのに。三山さん、、、怒ったかも。」ぽろポロ
「うん。、、、そんなことないはずだよ。きっと、心からカエデくんのこと心配してくれてるはず。もし本当に怒られたら、私言って!!その子のにガツんと言ってくれるわ!!!」
「、、、ふはっ。ありがと。、、、キミエさんってたまにいうこと面白いよね。」
「そうかしらw wでも、カエデくんが笑ってくれて良かった。」
「うん。いつもありがと。今日はもう帰るね。ご飯、、作んなきゃ。」
「そう。がんばってね何かあったらいつでもいうのよ。」
「うん。あ、これコーヒーとクッキー代。」
「何言ってんの。私が勝手に呼び止めたんんだから、いいわ。もっと自分のことに使いなさい。弁護士を雇うお金とかね!!」
「ありがと。じゃあね。コーヒーご馳走様。」
キョウヘイ目線
どうしても今日あったことが頭から離れない。水戸のジャージの下に隠れた細い体。白い肌を覆うひどい傷。頑なに言わない怪我の理由。「虐待か」と聞いた時の反応。何より、ずっと辛そうだった水戸の顔。水戸に叩かれたほっぺが痛い。でも、水戸はこれよりもっと痛い。もっと辛い。もっと苦しい。あの刺々しい反応もビンタも、ジャージも、きっと水戸を傷つけるもの全てから身を守る盾なのだろう。俺は今まで幸せだった。そりゃ、高校入るのには苦労したし、友達とも喧嘩する。サッカーの練習だってめっちゃしんどい。でも、どれも自分で決めた。周りの奴らもみんなそうだ。と思っていたが違った。水戸は保健室から出たあと泣いていた。助けてほしいはずだ。俺の自己満足かもしれないが、俺は水戸を助けたい。俺は水戸を守りたい。
でも、どうすればいいんだろうか。きっとあの反応からして周りに言われたくないのかもしれない。
虐待、ギャクタイ、GYAKUTAI、ぎゃくたい、、、、こうやって考えるだけで心が痛む。
ぐるぐる考えているうちに家に着いた。
明日、あいさつをしてみようかな。
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お読みいただきありがとうございました。まだあまり、BLっぽくないですね。あと2話ほどお待ちください。水戸くんがんばれ