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無事に本も買えたから解散というなの逃走を図ろうと思ったけど、有無を言わさない程の圧が後ろからかかってきた。
「ねぇ、ナツ君良かったらお昼食べない?」
「え!?俺と!!?」
「うん、ナツ君と。お昼はもう食べちゃった?」
「まだだぜ!」
「じゃあ行こうか」
嬉しそうに言った後さりげなく俺の手を引いて歩き始めた。馨さんは当たり前かのように車道側を歩くし、誰かにぶつかりそうになったら肩を抱き寄せてきた。要するにエスコートというやつだ。
なんで俺に?と思いもしたけど馨さんは誰にでも優しいし普通のことかと黙っておいた。
どうせこの後も予定はないんだ、特に困る事もないだろう。そう思ってました…この時は
馨さんと世間話をしながらボーッと周囲を見ていた。
路地裏に入って随分と経ったと思い意識を向ければ。馨さんが止まった所は小さな喫茶店のようなお店だった。
黒と焦茶色を基調としたコーヒーのほのかな香りが包みランタンや小さなランプで机が照らされている。
俺、場違いすぎじゃね!?
馨さんは確かに今日の私服もスラっとした背丈に合っていてカッコいいけれど、隣にいるのが俺なのが随分とアウトな気がしてきてならない。
こういうのは漣とか綺麗な人と来るべきでしょ!?あとやっぱ真澄隊長とか…
俺はなんか、場違い感半端ねーよ…
そう悶々としていたらいつのまにか席に座ってたし、紅茶が置かれてた。馨さんは微笑んだ。
「四季君、大丈夫ここは鬼が経営してる喫茶店だから安心して良いよ」
何はともあれ取り敢えず勧められたまま目の前の紅茶をゆっくり喉に流し込んだ。甘くて美味しい。ほんのり香る桜の匂いは甘いのに口に入れればスッキリとした味わいは広がる。
ふと吐き出すように感嘆を落とした。
手のひらにじんわりと伝わる紅茶の温かさは心地がいい物で、ふんわり香る桜と焼き菓子の匂いが甘く溶けていく。
「…良かった、漸く四季君が笑顔になった」
安堵し眉を下げて困ったように笑った馨さん。コーヒーのカップを撫でるその指は細く大切なものに触れるようだった。
「え?」
「四季君、最近ずっと顔が強張ってたんだよ?」
「真澄隊長も心配してたぐらいだしさ」
そう笑った。
あぁ、本当に人を見る目に長けている。俺が落ち込んでたのを知っていたから声をかけたんだろう。
『きっと、他の人がそうでも、こうしてここに来るのだろう。』
自分の中で思い浮かんだ言葉に胸が痛んだ。いつの間にか自分だけだと勘違いしていたようで。苦しくなった。
喉に鉛がつっかえたように…
「このお雰囲気良いし、気に入ってたから四季君と一緒に来たかったんだ。」心底嬉しそうな顔で微笑んでいる。
向けられた笑顔が自分だけのものだったら…そう思った。思ってしまった。
そこで初めて自覚した。
俺は馨さんが好きなんだ…
優しいとこも、冷静で時に厳しく感じるところも、真剣な表情も、ふとした時に見える笑顔も。
見開いたそのタンザナイトのような綺麗な瞳も。
全部好きなんだな。これが好きってことなんだ。
彼女たちはこんな思いをしていたのか…いや俺よりも軽いかもしれないけど…
「四季君…?なんかあった?急に黙っt…」
「なんでも、ない。です」
気付いた時には涙が溢れてた。叶うはずもないならば、どうせならば気付きたくなかった。
尊敬する上司と思っていたかった。なんで、気づいたんだよ…
止めたくても止まらない涙は落ち続けて、馨さんはずっと不思議そうに不安そうに眉を顰めている。そりゃあそうだろう。
こんな餓鬼で可愛いくもない奴が急に泣き出したんだ、困惑以外の何者でもないだろ。
「ごめん…大丈夫。もう、ほんと」
袖で涙を拭き終えた後、気まずくて気まずくて逃げようとした俺の手を馨さんは掴んだ。それこそ腕が痛むほどに。痛みに顔が少し歪んだ。
「誰?」
「えっ…」
「四季君を泣かせたの?誰??」
「モブ?それとも援護部隊の子?偵察部隊??」
桃と対峙した時のように重圧のある瞳で真っ直ぐと俺を見た。
「誰かな…?教えてよ?」
「大丈夫、ちゃんした処置をするだけだからさ」
「…もう、泣かないでよ……」
さっきよりも随分と優しい声と手つきで四季の手を馨はゆっくりと撫でた。
「なんで、そんなこと言うんだよ…」
「ただの平の隊員だよ、他の人だったら勘違いするぜ…?」
四季は歪めた顔のまま、個室の部屋にその声がゆっくりと響いた。
「四季君は、勘違いしてくれないの?」
「僕は四季君が好きだよ。他の誰でもない一ノ瀬四季が」
「う、そだ」
なんで今そんな冗談を言うかもわかんないし意図もわかんないし。
でも、本当なら
「嘘じゃないよ、僕は本当に一ノ瀬四季が好き。」
だから泣かないで、そう言いながら俺の頬を優しく撫でてきた。落ちた涙を馨さんは丁寧に拭った。
「俺は、可愛くないし」
「可愛いよ」
「漣みたいに綺麗じゃねぇ」
「今日の服滅茶苦茶似合ってる、綺麗だよ」
「なんで、俺なの…」
「四季君の隣は居心地が良いから、あったかくて優しくて、楽しい。」
「馨さんって…変わってんだな、…本当」
さっきまで溢れてた涙は嘘のように乾いたし、いつの間にか俺は笑ってた。
「俺も、馨さんの隣が好き」
「優しくて誰よりもあったかい、俺はその側に居たい…」
「僕を選んでほしい、良いかな?」
タンザナイトよりも綺麗な赤の瞳で真っ直ぐ見てくる。
「おう!馨さんが俺でよければ」
どうしようか、また涙が溢れてきた。
席を立った馨さんは、俺を強く抱きしめた。
「馨さん、俺を選んでくれる?」
優しい匂いに溺れながら、俺を抱きしめてくる人に聞いた。
「うん、もう離さなくて良いなら」
「嬉しい」
溢れた涙を馨さんは拭いてくれる。
「…大好きだぜ、馨さん」
抱きつく手に力を込めた
完______。
コメント
5件
馨さんが勘違いはしてくれないの?って言った瞬間、カッコ良すぎで最高でした! あと、最初から最後までのお話の進み方が本当に良かったです!
ほわぁぁぁぁぁぁぁぁ💓💓 馨さんが怒ってるの好きだぁっ!!!!!!!! 最高すぎた😍😍😍😍😍😍
