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――プシュッ――
「ぷはぁー…ふぅ。」
ソファーに座ると、買ってきた缶ビールを開け、勢いよく流し込む。
冷たく喉越しのいい液体が、疲れた身体に染み込んだ。
そして、テレビを付けるとぼーっと眺める。広い空間にただ一人、大して面白くない番組を見つめるだけ。
これが俺の日常。妻や息子はいるが、ここ数年、夫婦らしい会話はない。
妻は、俺が帰ってくる時間になると、二階に上がってしまう。まるで俺を避けるように。
息子も、そんな母親を見ているせいか、俺と話すことはなくなった。
いつの間にか、家族にとって俺は給料を運ぶだけの存在になってしまった。
「………」
ぼんやりした頭の中で、今日、彼女に言われた言葉が甦る。
『店長の言っていることはただの自己満足です!』
(…まさか、20も離れた娘さんに、指摘されるとはなぁ。参っちゃったよ。)
言われてみれば、確かにそうだったかもしれない。相手の事情なんか考えもしないで、いいことを言おうとしていただけの自己満足。
(きっと、俺のこういうところが妻にも愛想をつかされたんだろうなぁ。うん。明日から、しっかりあの子と向き合っていこう。)
そう、決意しながら、俺は残りのビールを一気に飲み干した。