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さて、屋敷生活にもなれてきて1ヶ月
僕はまだ部屋の場所を把握しきれていない
初日にクルトが教えてくれた事もあるが1回でこの広い屋敷を把握するのは至難の業だろう
それにしても退屈だ
こんな広い屋敷、僕には全然分からない
かろうじて分かるのは食堂と部屋くらい
仕様がない、探検でもするか…
色々と分かってきたぞ、食堂、風呂場、洗面所、トイレ、数々の部屋
さらに興味深い部屋を見つけた
図書室だ
そこはもう凄かった。僕らの部屋より大きくて部屋いっぱいに本が棚に収納されていた。
一番上の棚には物凄く長い梯子が必須だな
そう僕が目を輝かせていると……
〔どうかなさいましたか?〕
僕は慌てて振り返った
「だっ誰?!」
〔申し遅れました、私はここの管理人兼アキト様の専属執事でございます。ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありません。〕
ニヒルな笑み、青みがかった黒髪、高い身長、あぁなるほど…顔の隠れていない執事やコック、メイドは役職持ちか…、
ん?しかし専属執事はクルトだったような
「ねぇ、僕の専属はクルトじゃなかったの?」
〔ん?あぁいえいえ、クルト様はアヤト様、アキト様、クーリー様の3人の専属でございます。アキト様個人専属の執事は私なのです。〕
ほほう…クルトは僕らの執事だったのか…
そういえば初めて会った時にそんなん言ってたな
僕記憶うろ覚えだけど
「へぇ…名前は?」
〔はい、私の名前はラッセル・アビントンでございます。私の事はどうか、セルとお呼び下さい〕
「……分かった、よろしくセル。」
〔よろしくお願い致します〕
あ、てかセルってここの管理人兼僕の専属執事って言ってたな
どんな本があるか聞いてみよ
「ねぇセル」
〔はい、どうかされましたか?〕
「ここにはどんな本があるの?」
〔……良いですよ、今から本の場所をお教え致しましょう〕
「!ありがとう、!」
〔いえいえ〕
正直に言おう
めっっっっっちゃ楽しかった
何ぶん僕は転生者と言っても9つなので読めない所もある。ここ日本じゃないからなおさらって所もある
だから読めない所はセルに教えてもらった
なんなら読み聞かせもしてくれた
教え方がめっちゃ上手かった
〔アキト様、今日はここまでに致しましょうか〕
なんだって?嘘だろおい (口調迷子)
まだまだセルのお話聞きたいのに
「もう終わりなの…?」
とりま上目遣い、僕顔が良いから攻撃力高めのはず
〔ぅぐ、〕
よっしゃ効いてる
もう1パンチ
「お願いセル、ねぇ……ラッセル、?」
本名攻撃
これでイケたはずだ
〔ッ…しかし昼食があるのでそろそろお終いにしなければなりませんよ、!〕
クソッ!ここで執事の本領発揮すなや!
「ねぇ、あと1つだけ……僕、セルのお勉強好きだからさ…?」
〔うっ……はぁ…仕方ありませんね…〕
っしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
勝ったわ、やったわ
「やった!ありがとうセル!」
僕がセルの足に抱き着く
てか今思い出したんだがセルめっちゃ背高いな
僕の頭膝くらいだよ、やば…
多分背丈は190くらいなんじゃないか?
〔ッ…やはりいけません…お時間は守らないとならないとお教えなさられたでしょう。〕
「えぇ…!?」
嘘ぉ!。゚(゚´Д`゚)゚。
〔あとアキト様、急に抱きつかれてはいけませんよ、私が転けてアキト様に怪我があったらどうするのですか……〕
「大丈夫だよ、セル!」
「僕は死なないから!」
〔……ッ〕
一瞬セルの顔が曇った
とても悲しそうな顔だった
本当に一瞬、眉間にシワを寄せて、眉が下がってて、何かを飲み込んだような顔…
「セル…?」
〔ッ…大丈夫ですよ、アキト様。さぁ、食堂へ行きましょうか。〕
「ぇ…うん」
そう言って僕を片手で抱き上げると長い長い廊下をツカツカと歩いて行った
カチッと音がしてセルの手元を見たら金色の懐中時計を開いていた
すると
〔ッ…すみませんアキト様、クルト様より昼食の準備が整っていると知らせが来ましたので少々飛ばしますよ…!〕
え?なんだって?
セルがそう言うと物凄い速さで走った
多分セルは体幹が凄まじいんだろう
フォームは崩さず僕が過度に揺れないようにしっかりと抱きかかえているんだから
「 (早いなぁ〜……) 」
そして間も無く食堂の扉の前まで来た
〔ハァッ、あっ!お怪我はございませんかアキト様〕
「え、あ、うん、大丈夫」
〔ではお食事にしましょうか〕
ギィィィィィと音を鳴らして扉が開くと
「おや、アキト…遅かったじゃないか」
【遅いぞ、もう食おうかと思った。】
そこには僕の愛すべき家族がいた。
愛する兄さんとクーリー、待っててくれたんだ
「ん、アキトを抱いているそこの執事は?」
と、兄さんがセルの事を聞いた
〔はい、申し遅れました。私アキト様の専属執事に任命されました。ラッセル・アビントンと申します〕
「あぁ、なるほどそう言う事。アキトの所にも来たのか」
あれ?兄さんにも来たのかな?
「?兄さんにも?」
【俺にも】
「へぇ〜クーリーにも!」
「ちょうど横にいるのが私の専属だ」
【俺の横にいるのも俺の専属】
と2人共横にいる執事を指差した
すると灰色のロングヘアーの男と朱色の髪の男がペコリと頭を下げた
「へぇ〜名前は!」
「そういう訳だ。自己紹介しなさい、2人共」
〈はい、私の名前はリック・ギャルブレイスと申します。この度アヤト様の専属執事に任命されました〉
リック・ギャルブレイス…、か
彼は長い長い灰色の髪と紫色の綺麗な瞳を持った男だ。目の下には軽くクマができている。大丈夫かな
〈どうぞ、リックとお呼び下さい〉
「よろしく!リック!」
またペコリと頭を下げた、どことなく兄さんに似ている気がする
何と言うか…ドライ…?って感じ
【おい、次お前】
《あっ!はい!俺の名前はベレニス・ゲイルです!この度クーリー様の専属執事に任命されました!》
なんだが元気な人
彼は朱色の髪と猫のような瞳孔の目を持った中性的な顔を持った男、でも声は爽やかでハツラツとした元気な男の子の声がした。男の子と言っても声だけなので顔以外はただの長身細マッチョだ。
クーリーとは気が合いそうだ(笑)
【お前なんか失礼な事考えただろ】
「そんな事無いよ〜(;´∀`)」
【絶対嘘じゃん】
《あっ!俺の事はベリーって呼んでくださいね!》
ベリーか〜、可愛いお名前だ
「あぁ…よろしく、」
「よろしくベリー!」
【まぁそんなトコだ】
【アキトんトコのセルもよろしく、そろそろ食おうぜ。そうそう喋っていても行儀悪い】
「お前、変わったね。1ヶ月前くらいまで行儀なんて関係ねぇとか言ってそうだったのに」
【そうか?まぁ…こんなモンなんじゃねぇか、】
実を言うと、僕らはこの1ヶ月間とても忙しかった
突然現れた現貴族、その対応に追われていた
あと僕らは平民、ましてやクーリーなんか精霊だ。
これから貴族界の上流階級で生きていく為にもマナーや佇まい、社交ダンス、色々な事を叩き込まれた
僕らはなんとか持ち堪えたがクーリーは前と違って随分と気が抜けている
よほど堪えたようだ
これは結構なだめてあげないとダメそうみたい
幸い一通り講習は終わっているので言わば僕達は今日から無期限オフだ。オフである。
「ご飯食べたら一緒にお部屋行こっか、2人共」
そう言いながらセルが引いた椅子に腰をかける
【え、】
「なんでまた…それに今日は…」
「何も無いでしょ!だから今日は部屋でのんびりしよっか!」
「しかし…、」
「ね!お願い!僕2人と一緒にいたいよぉ〜…、」
「……今日だけだぞ」
「ぁははっ!やった〜!」
久しぶりに見た兄の微笑みに僕も自然と笑みがこぼれる
「喜ぶのは後にして、早く食べなさい」
兄に言われて僕は一口、また一口と食べて行く
今日もマイクのご飯は美味しい
このお魚、なんでこんなに美味しいんだろう
そう白身魚を食べながら思う
【アヤト、口にソースついてるぞ】
「あ、本当だ(笑)」
いつもはしない兄の失態に笑ってしまう
【ったく、お前はこの家の当主なんだぞ】
そう、当主は兄さんだ
なぜなら一番上だから
年齢で言うとクーリーの方が何倍も上だろうけど人間の生活では兄さんの方が先輩だ。
まぁ、そう文句を垂れたクーリーが手で兄の口のソースを拭うと兄はくすぐったそうに言った
「別にクーリーが当主でも良かったんだぞ、私はまだ色々と経験不足でもあるし」
【そうかよ、でも俺は堅っ苦しいのは苦手だからな】
【当主なってくれてありがとよ】
「あまり嬉しく無い言葉だな」
【ンな事言うなって】
クーリーがいつもの調子に戻ってきているみたいだ
良かった良かった