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「ねぇ」
学校からの帰り道、知らない女の子がにっこり笑って言った。
「今日の帰り道、振り返ったら死んじゃうよ」
何言ってんだろう。
変わった子なのかな?
目の前でにこにこ笑う女の子は、私より背が高い。
「どういうこと?」
「それはね…ん、知らん方がいいよ多分」
「なんで振り返ったらダメなのか教えてよ!」
「そこまでは私の管轄じゃないから。ばいばーい」
「ちょっと!ま…」
女の子は陽炎みたいに一瞬で揺らいで消えた。
何であんなこと言うんだろう。
最低。
それに、私これが初めてじゃないし。
こないだは、大人の男の人だったけど。
飼ってる猫のミーコ、死んじゃうよって。
きっとあの人がやったんだよ。
私は歩き出した。
「あの、すみません。駅ってどっちですか?」
あっちです、と答えようとして、振り返っちゃダメだと気づいて無視をした。
後ろに立ってる人は、悔しそうに舌打ちを…
悔しそうに?
私のこと振り向かせようとしてたわけ?
さいってー。
私は振り返らない。
「これ、落としましたよ」
「お嬢ちゃん、アイスでも食べていかない?」
「髪の毛に何か付いてるよ」
振り返らない。
絶対振り返んない。
どうしてだろう。
いつもこんなに声なんてかけられないのに。
それに、街には誰もいない。
前には誰もいないのに、通り過ぎたら声がする。
私は走る。
もう何も見ない。
何も聞かない。
走って走って、やっとお家が見えた。
もう安心だ!
今日のご飯はハンバーグなの。
「あれ、帰ってくるの早いね〜」
後ろから、大好きなお姉ちゃんの声がした。
「お姉ちゃん!」
あっ
【報告】
9月24日 午後6時32分7秒ごろ。
女児の失踪確認。
個体名 上田由紀
小学6年生女児
帰宅途中にUMAに襲われ、行方不明
縺ソ縺九£の管轄内だが、個体名『上田由紀』には忠告済みのためマニュアルに則り、不問に処す
今回の事件により、対象は親しい人間の声を操る能力を持つことを確認
警戒レベル3から4に引き上げることを検討する
個体名 カエリミチ
初観測日 2012年10月25日
警戒レベル 4
今回初めて収容に成功する
重要収容施設に収容完了
職員が立ち入る時は2人1組で行うことを義務化