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(例→桃、🩷)
▲
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こちらから注意させて頂きますのでご了承ください。
また、そういった方を見つけた場合は、主の方までご報告下さると助かります。
︎︎︎︎︎︎☑︎紫桃赤
il.side
「「おれが本物なの!」」
俺となつの目の前で、胸ぐらを掴みあって言い合いをする2人のらん。
摩訶不思議な現象に俺もなつも頭の整理がつかず、目の前の状況をただ眺めるばかりである。
どうしてこんなことになったのかと言うと、時は数時間前まで遡る。
_数時間前、
ちょっと仮眠してくると寝室に行ったらんを見送って1時間後、寝室からけたたましい叫び声を聞きつけ、なつと寝室まで向かった。
虫でも出たのかと一応、広告紙を丸めて、殺虫剤も備える。
ドアを開けて待ち構えていたのは、どんなにでっけぇ虫よりも目を張るものだった訳だが。
寝室を一望すると同時にどんっと軽い衝撃が走る。
え?
ベッドの上に、ゆきんこみたいに布団にくるまって顔だけ出しているらん。
俺の腹に衝撃を与えて飛びついてきたのもらん。
は?
「いるま助けてっ」
飛びついてきた方のらんがぎゅっと俺の背中に手を回し、溶けそうな程うるうるな瞳で見上げてくる。
かわいい、うん、可愛さしかないな。
喉からせりあがってくる何かをグッと呑み込み、一旦、この愛くるしい奴の頭にポンと宥めるように手を乗せる。
でもどこか違和感を感じる。普段よりわざとらしい表情のような……、
俺の気にしすぎか。
「え、っと…らん?」
「どしたのなっちゃん!」
俺に抱きついたまま、よそよそしく声を掛けてきたなつの方へと振り返る。
「これ、どゆ状況…?」
「おれもわかんない……目覚めたら前におれがおって、……ッ」
俺の背中に回された手に力が籠ったのが分かる。
「いきなりッ…、蹴っ飛ばされて…、おれ……、ッ」
俺の肩に顔を埋め鼻をすする音が聞こえる。
なつと目を合わせる。
首を横に振り、俺はあっちへ行くとジェスチャーされ、布団にくるまっている方のらんの元へ向かうなつ。
言っている事の真偽はどうあれ、どちらもらんという事に変わりはない。
俺の手元にいるらんも心配だけど、ゆきんこ状態のらんが酷く放心状態なのも気になる。ま、そっちはなつに任せるか。
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ln?.side
仮眠から目が覚めると、目の前にはおれ瓜二つの人間がおれの事をじっと見つめていた。
びっくりしすぎて声も出ないし、驚きで体が強ばって自由が効かない間にドッペルゲンガーに馬乗りになられてしまった。
ドッペルゲンガー……、見たら死ぬって言われてるよなーとか状況に似合わず、寝起きだからか呑気に考えているうちに、俺の首元に覆い被さるドッペルゲンガーの両手。
喉元を親指で力いっぱい抑え込まれ、声を出そうにも出せない。
「…ッかはッっ…」
ッさすがにやばいッ…しぬ…!
精一杯足に力を全集中させてドッペルゲンガーのおれを蹴っ飛ばした。
ベッドの下へと転がったこいつは怯えた表情でおれを見た後、思い切り叫んだ。
その叫び声を聞いて、あいつらがやって来るまでそう時間はかからなかった。
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ln.?side
目が覚めると、おれの横で寝ているおれ。
は?
ほんもの?
自分の寝顔を見たのは当たり前に初めてで、まだ夢の中かと思った。
ドッペルゲンガー?おばけ?
ぐにーっと寝ているおれの頬っぺを抓るとん゛ん゛〜と煩わしそうにもぞもぞ動いている。実体はある。
早くどうにかしないと。
色々試行錯誤しているうちにドッペルゲンガーのおれも目が覚めた様だった。ただ、驚いて固まっているようで、チャンスだと思ったおれはこいつに馬乗りになって首を絞めた。
やるなら今しかない。
自分の体を痛めつけるのは気が引けるが致し方ない。
こうでもしないとおれは……。
ほんの一瞬、首を締めきる事以外の事を考えてしまったせいでこいつに蹴っ飛ばされてしまった。
ミスった……、
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nt.side
布団にくるまったらんの横に座り、出来る限り刺激しないように優しく声を掛ける。
そうしたのも、こいつが怯えた様子だったから。
「なつ…」
「ん?」
「あっちのおれは、多分……」
どういう原理か、分裂したらん。
初めは怯えていたにも関わらず、今はかなりイラついている様子だ。
それも、目の前でいるまの懐に入り込み、すりすりと頭をいるまの手に擦り付けイチャイチャしてる光景を見ているからか。
「なんあいつ!」
布団から出ているまとらんの元へ近づいていくらん。
「離れろッ!」
「ちょっなにすんのっ! おれのいるまなのに!」
「っはぁ!?」
「おいおまえらやめろって」
らんがらんの胸ぐらを掴みあげて怒っている。もうひとりのらんも負けじと胸ぐらを掴み返し応戦する。
てからんの口から「おれの」って聞けるとは…。わしにも言ってくれ。
俺らと同じで独占欲もそれなりにあるはずだし、嫉妬深いと思ってたけど、一切それを表に出して俺らに言わないから、そういうのは動画上のキャラなんだと思っていた。
でも今、もうひとりのらんがいるまとイチャついてんの見て怒ってるって事は、もうひとりの自分に妬いてるってことだよな。らん同士お互いに。
どっちが本物とか以前に、らんがヤキモチを焼いているという事実がまず嬉しい。
「お前はなっちゃんがついててくれたやん!」
「なつもおれのだし、いるまもおれのなの!」
「何言ってんだよこの偽物!」
「はぁ!? それはこっちのセリフだわ! この偽物!」
「「おれが本物なの!」」
…………。
どうしろってんだ…。
「むーっ、……んっ」
「……は」
「……あ、…ぇっ…」
……やばいな、ちょっと、いや、かなり。
俺は慌ててもうひとりの方のらんを抱き寄せる。
ぎゅっと、強く。目の前の光景が見えないくらいに。
「へへっ⸝⸝」
俺の手元にいるらんにマウントを取るためか、いるまに軽くキスした方のらんが照れながら誇らしげに笑う。その顔はかわいい、なんてったってらんだし。
ただ状況とタイミングを考えれば、このらんは可愛くないことをしてしまった。
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il.side
初めてらんからキスされた。
今まで恥ずかしがって、自分からしてくれるのはせいぜいハグまでがいい所だった。でもそれに不満なんて無かった。そもそも、いつまで経っても、余裕ですよってムーブはかますくせに初心で慣れないしすぐ顔真っ赤にして照れる姿が可愛かった。
「いるまぁ~、もっと♡」
猫なで声、とろんとした顔でうっとりと俺を誘うらん。
「だめっ、だめなのっ、…いるまっだめ…」
なつの腕に抱かれ涙声で必死に俺の事を制止するらん。
「ねえいるまぁ、」
俺の傍にいるらんが今までよりも更に甘ったるい声と表情で俺の下半身を撫でながら視線を交える。
「おれの中、いるまのでいっぱいにして♡」
ゴクリ。
自分でも生唾を飲むのが大いに実感できる。
「らん」
「…………ぇ」
ついに涙が溢れてしまったらんに近づきその目元にキスをする。
その行動に戸惑ったように目を瞬かせる俺らのかわいいらん。
「大丈夫、俺はおまえのもんだよ」
目元の涙を拭おうと擦ったら、目が腫れると愛に溢れよく泣くこいつに言われた事。せめてもと、頬に流れた涙を親指で拭う。
俺の親指にすりすりと頬を擦り付ける様は猫そのものだけど、向こうの猫よりも猫被り感が無くて純粋に俺好みだ。
「なっ、いるまっ! なっちゃんもだよ! なんでそいつに構うの、おれが本物で、そいつはッ!」
「どっちが本物とか偽物とか、俺らからすればどっちも可愛い俺らのらんなんだよ」
ただ、と言葉を紡ぐ。
「俺らの恋人は、純情でいつまで経ってもキスひとつ慣れん程初心で、性格は漢前のクセして俺らの事になると大胆な行動出来んくなって、夜は俺らの顔見るだけで真っ赤になんだよ」
お前みたいな淫乱と違ってな、と捨て台詞を最後に愛しいらんの方へ振り返る。
「…いるまのばか、…へんたい」
振り返った先に目に入ったのは、それこそさっき淫乱に話してやった通りおとぎ話に出てくる様な真っ赤なりんごみたいに熟れたらん。効果音でぽぽぽっと付きそうな程、俺と目が合うと更にその赤さを増した。
こうも素直に俺の言葉を呑み込んで照れてる、その事実に心の内でガッツポーズをする。心が綺麗なんだよ実際は。ファンの前では余裕ぶってイキって、胡散臭い詐欺師だけど。
「らんちゃん、偽物とイチャイチャしてたいるまなんか放っておいて俺とイチャイチャしよ」
俺にはらんの顔が見えないように隠して、らんの顔中にちゅっちゅとキスを降らしていくなつ。
「てんめっ、なつ」
「おめーはさっきまで別のらんと乳くりあってただろがよ」
「故意じゃねーわ」
「でもらんちゃん傷ついたもんねー?」
「あれは勝手にあいつが」
「んな隙作ったてめえが悪ぃよ」
ぐうの音も出ねえ。
「いるまっ、なっちゃんっ」
唐突に俺となつ纏めて、らんの暖かくて少し速い心臓の音が鮮明に聞こえる胸元へ抱きしめられる。ぎゅーっと、ぎゅーっと。
「ん゛ぅ〜〜〜っ」
次は俺の左肩、なつの右肩にぐりぐりと自分の頭を押し付け唸っている。
余程、淫乱に嫉妬したのだろうか。
以前、活動していく一環で俺とらん、すちの3人で参加したリアル会議があった。その会議は洋服やコスメを取り扱うコラボの話で、そうなると勿論女性スタッフの方が割合的に多くなるもので。俺はアパレル経験もあるし、自分でもこういったものを手掛ける事が出来る機会にかなり浮かれていた事もあって、必然的に前のめりに会議に参加していた自覚はあった。後からすちに聞いた話、俺と女性スタッフさんの距離が近かったって。俺やなつなんかもそうだけど、元からパーソナルスペースの狭い人間はいくらでもいる。だからきっとその女性スタッフさんもそうだったんだと思う。特段、腕に何かを押し当てられた訳でも、連絡先を個人的に交換する事も無かったのだから。
それを深く気にとめずにいつも通りらんと帰宅し、就寝した後なつに蹴り起こされるはめになるとは知る由もなかった。
疲れて早めに就寝した俺とは違い、湯船に浸かって嗚咽混じりに泣いているらんをなつが見つけたらしい。なんでもない、気にしないでの一点張りで頑固ならんからどうにかこうにか聞き出した内容が、俺と女性スタッフさんの距離が近くて嫉妬したと。無理やり聞き出した感は否めないが珍しくらんの口から素直にそう言ってもらえるのは、俺の事で泣くぐらい俺が好きなんだと再確認出来て嬉しかった。でも、泣いていたのは別の理由らしく、「今日みたいに並んでくっついてても綺麗だな、お似合いだなって思えるような人は他にも沢山いるのに、いるまとなつを縛ってるのはおれで、でもそんなちっちゃな事すら嫌だなんて思っちゃったら捨てられる」 そう思いながら自分の中だけで消化させる為に、泣いたら楽になるだろうって。
なつには、らんが少々思い込みの激しいところ、自己評価が表とは違って実は低いところ、俺らの気持ち最優先で自分の事は二の次なところ知ってただろって叱られた。
その時ばかりはボルトよりも速く動いたんじゃないかと自画自賛するくらい、泣いているらんの元へと駆け付け謝り倒し、いっぱいめいいっぱいドロドロのでろでろに甘やかした。俺はおまえしか眼中に無いって分からせるためにも。何がちっちゃい事だ、俺らなら少しでも邪な考えを持った奴がらんに近づこうもんなら社会的に抹殺してやろうかとまで思うくらいの事なのに。捨てられる? それは俺らがおまえより先に死んでしまった後の話な。勿論そうなったとしても地獄の果てまで離してやるかよ。あいつが天国に行こうが閻魔でも何でも頼み込んで一緒に地獄まで堕としてやる。
そんな、誰かに嫉妬したとしても断固として口にしないらんが、今日は、あれほどまでに分かりやすく嫌がって、今ではこうやって小さい子供が駄々を捏ねる時のように精一杯態度で嫌だったと伝えようとしている。
嫌だったから俺も同じように、ってならないところがこいつらしいし何より吐血しそうな程かわいい。
ふわっふわの髪を重力に従って撫でる。2、3回撫でたところで宥めようと思い、背中ぽんぽんに切り替えようとしたところ、物凄い勢いで俺の手を掴んで再びらんの頭の上に戻された。
「かっ…ゎ」
「w 声漏れてんぞ」
いやこれは素直な僕の感想です。
誰だって自分の飼ってる犬や猫が、撫でるのを止めた時にもっと撫でろなんてせがんできたら思わず心臓がぎゅんってなんだろ、おい舐めんな。
らんの場合は別のところがギュンって…………。
普段からこいつに直接かわいいなんて言葉を投げる事は、自分でも反省する程ない。全て心の内で爆発させては、こいつのいないところで発散している。
発散方法?
持ってるぬいぐるみを握り潰す。
前にその現場をみこととこさめに見られてドン引かれたけど、まあ、しゃーない。
「むーっ」
「なあにらんちゃん」
今度はなつの手も掴んで自分の頭に乗っけてる。
裏ではらんに対してあっまと目眩がする程のなつの声色も、今日は一段と甘く酔いそうだ。
「ぬげよぉ…」
「は?」
「なんて?」
脱げよ?
そんな大胆な事言わんだろこいつ。
「脱げっ服っ、おれがやる」
「はぁ? ちょ、」
「どしたらんw 支離滅裂やけ落ち着け」
脱げって言ったり、おれが脱がすって言ったり…。
どうしたまじで。
そうこう思ってる間にもらんの両手は俺の服の裾を掴み上に引っ張り上げる。
「なんか恥ぃ」
「お前には非があるから大人しくらんの好きなようにされてろw」
裾から外気が侵入してきて気持ちわりい。らんっていっつもこんな感じなんか。
俺の露になった腹筋をまじまじと見つめるらん。
鍛えてるし、それなりに自身はあるがこうもじっくり好きな奴に見られると別のところが反応しそうだ。
「んーーむっ、」
「…なにしてんの」
「んんん?………うっっす、つかん」
俺の腹にちゅむっと口付けられ、くすぐったい感覚。
しばらく口をつけ離さないから声をかけたら、冷めた声色のひと言。
「キスマ付けたいん?」
「ちがっ⸝⸝…ぅ…こともなくもないこともない……」
ぽしょぽしょと唇を尖らせ目線は左下、胸の前で人差し指同士をとんとんとくっつける。ほんまにこいつ嘘下手やな。誤魔化し下手。
「かぁわよらん」
「ぅ、ぅるさ⸝⸝」
俺となつの間に跨っていたらんの服の裾から手を侵入させ、らんの薄い腹を撫でるなつ。
「なっちゃ、…こしょばい…からっ⸝⸝」
「らん、キスマってえのはさ、こう付けるんだよ」
侵入させた手で服をたくし上げ、らんがさっき俺にしていた事と同じように同じ箇所に吸い付く。くすぐったいのか甘い吐息が漏れている。
らんの扇情的な様子を見て思い出したように後方に振り返る。
あいつ、淫乱の姿はもうない。足音や扉を開く音もしなかったし、それならこっち側を見ていたなつが気づくだろうし自然消滅したのだろうか。
ま、二度と目にする事は無いだろうしいいか。
今は目の前の美味そうなご馳走にありつこう。
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ln?.side
「ちっ」
目の前で大好きな2人からの寵愛を一身に受けるおれを見て舌打ちが漏れた。
せっかくおれがあいつに成り代われるチャンスだったのになあ~。
でも流石に、好きな人からのあの目は、ちょっと、キちゃうなぁ~…。
淫乱、なんて言われちゃった。おれもお前が好きならんだってーの…。
あいつのこと楽にしてやろうと思ったのに。
おれが生まれた理由、あいつなら分かってるよな?
次はまた別の方法考えるか。
今日を諦めたおれの意識はふっと苦痛もなく途切れた。
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no.side
赤ん坊がご飯を食べた後、消化を助ける為に抱っこする様に、
なつもまた、自分といるまのモノをたくさん食べたらんをあやす様に抱っこしていた。
「お腹いっぱい?」
「…当分いらん」
それは無理だとらんの背中をぽんぽんしながらなつが笑う。
「ごめん……おれのせいで面倒事に……」
「なんでらんが謝んだよ」
「多分、あいつが出てきたの、おれのせいだもん」
どうしてそんな事が分かるんだよと頭にハテナを浮かべる下のみ衣類を纏い珍しく上半身赤い斑点だらけの男達。
「おれの……内心なんだよ、多分」
「ないしん?」
「…おれが心の内で思ってることの、具現化?みたいなの」
んな事有り得るのかと思う2人も、実際現実に起こり得た事なのだから納得せざるを得ない。何より、オーバーTシャツの隙間から見えるお餅のような素肌には全身無数の赤い斑点に彩られた本人が言うのだから。
「おれ、いるまとなつにはもっといい人いると思ってるしね、」
まだそれ言うか、と頭を抱えるいるまを見つつ、頑張って何かを伝えようとしてくれているらんを大人しく見守るなつ。
「2人が他の人を選ぶならおれ、…やだけど、でも2人の事応援する。でも、自分に2人を横取りされるのは許せんかったから…、自分勝手に自我出して無理やり誘って…ごめんなさい…」
なつの手をもにゅもにゅと揉んで気を紛らわせながら、いたたまれなさそうにもしょもしょ話すらん。
「今日のらん可愛かったなー、な、いるま?」
「おん。あ、でも、勘違いすんなよ。べつに俺らは毎回おまえに頑張ってもらいたい訳じゃないからな」
「たまには自分勝手に俺らに甘えていんじゃねーの」
自分勝手、なつもいるまも到底そんな事思っていないが、ここで訂正するとまたらんの謙遜が始まるから敢えて訂正はしない。この方が素直に聞く耳を持つことを知っているから。
「あいつがおまえのもうひとつの思考って事は、…普段から俺らの事独り占めしたいと思ってるってことで合ってる?w」
いるまが意地悪く揶揄うように囁くから、ボンッとらんが沸騰した。
「だッ⸝⸝…っわりぃかょ…」
「んーにゃ全然?w」
「はぁかわいー…、らんそれ冗談拭きにかわいいからやめれ」
「はっ!?⸝⸝ なっちゃんなんで!?」
「らんが悪ぃ」
「手加減したれよw」
「いるま呑気すぎっ、ちょ、なっ…ちゃんっ」
抱っこしていたらんの腰をぐいっと自分の方へ抱き寄せ、鎖骨辺りへ何度もキスを落とすなつ。
そんななつの唇を両手で押さえられ、もう限界か? とらんの顔を見上げると、
恥ずかしそうに、それでいて自分に向けられる愛情を慈しむように大きい目を垂れさせて微笑む。
「なっちゃんもいるまも、もうひとりのおれの事も愛してあげてね」
あいつはおれの溜め込んできた負の感情で、おれを助ける為に生まれた存在だから。
そう優しい声色で告ぐらんはまるで聖母の様だった。
その言葉に優しく頭を撫でるいるま、続けて鎖骨から首へとキスを落としていくなつ。どちらとも言葉にはしない、それでもその行動が肯定と取れたらんは嬉しそうに2人の愛撫を受け入れる。
「ん?」
なつの愛撫がらんの首元まで達した時、なつが疑問符を上げる。
「なんか、赤ない? うっすいけど、気づかんかった」
らんの喉仏付近を親指で擦るように確かめる。
「あ、それね。あいつに首締められてさーw びっくりしてあいつの事蹴っ飛ばしちゃったんだよね。いきなり蹴っ飛ばされたらびっくりするわな、めっちゃ怯えてたしw」
首締められて、その言葉を聞いた瞬間2人の身体がピシッと石のように固まった。
そんな2人の事など露知らず、自分の事そっちのけでもうひとりの自分の事ばかり心配するような口ぶりにほとほと呆れる。
こいつはそんな奴だとそこは甘んじて受け入れよう。
「「やっぱあいつの事は愛せねえわ」」
「なんで!?」
めちゃめちゃ愛情深いのにそれを押し殺しちゃう桃さん非常に愛( ᷄ᾥ ᷅ ︎🫶🏻)𝑩𝑰𝑮 𝑳𝑶𝑽𝑬______💓
ℯ𝓃𝒹☕︎︎𓂃 𓈒𓏸
コメント
8件
マジで好きですッ😭 もう最初から最後まで癖にぶっ刺さりました!!🫶 やっぱべびるさんの作品最高です!!!!