独りの夜はなんとなく、心が重くなる…気がする。
世界に独りぼっちで、支えてくれる人が1人もいなくて…なんて、ネガな思考が支配してくる。
夜だってキラキラ明るいというのに。
星がたくさん散らばっていて、一つ一つに名前がついていて、お月様だってあんなに大きくて、あそこでウサギさんが餅つきをしているはずなのに。
なのに、ここは。
あの遠い遠い空とは違って、ここは薄暗く、じめっとした空気があるのみだった。
ふと、snsを見る。
『不破くん今日もカッコいい』
『不破さんの配信楽しかった!』
『不破ガチ恋です』
自分から見に行ったくせに耐えきれなくなって、俺はスマホを枕に向かって思いっきり投げつけた。
「…はぁ」
俺が一番…この世で一番、ふわっちのこと好きなのに。
俺以外の人が騒ぐなよ。
ふわっちのこと考えてんなよ。
それが許されるのは…ふわっちのこといっぱい考えてていいのは、俺だけでしょ?
ねぇ、ふわっち…そうだよね??
どんなリスナーより、他のライバーさんより、俺が一番ふわっちのこと知ってるもんね…?
俺だけが、トクベツでしょ。
なのにどうして他の奴らがふわっちのこと想ってるの…? 駄目だよ。俺のふわっちだもん。
あぁ、本格的に気分が沈んできたようだ。
ブカブカの上着から覗く茶色くなった右手首。 いいの、ふわっち…?俺、またやっちゃうよ??
ふわっちを独り占めさせてくれないなら、無理矢理でも繋ぎ止めてしまえばいい。
本当は痛いからやりたくないけど、これをするとふわっちが見てくれる。
俺のことだけを考えてくれる。 だから、やめられないのだ。
「…はやく帰ってきてね、ふわっち…?」
カーテンの隙間から月が、薄暗い部屋に白い光を注いでいた。
何度も傷をつけた手首がまた新しい傷をつけて、そこから滴る液体が月明かりを反射した。
早く帰ってきて、俺を心配してほしい。怒ってほしい。
もうこんなことしないでねって、抱き締めてほしいだけなんだ。
ふわっちからの愛がほしいだけなんだよ… 優しいふわっちならきっと、こんな俺なんかのことも少しは愛おしいと思ってくれるでしょ。悲しんでくれるでしょ…。
ごめん、ごめんなさい。 こんな駄目人間で。
ライバーが愛されるのは当たり前のことだ。
リスナーさんが推しを想うのだって当たり前のことで、そんなことに腹を立てちゃいけないのに。 心がいうことを聞かないんだ。独占欲にまみれた心が、独り占めしたがってむずむずする。
他の人が少しでもふわっちのことを考えていると、チクチクして、涙が出てくるのだ。
嫌だ、この人は俺のだよ…って。
誰にも渡したくなくて、俺だけのふわっちでいてほしくて。
だけど、本当にめんどくさいやつで申し訳ないんだけど、ふわっちからの俺への愛はいらないんだ。
こんなに愛してほしいのに、いざ愛されると、こんな俺のことなんかを好きになる人認定をしてしまって嫌いになってしまいそうで怖いから、愛は一方通行がちょうどいい。
ごめんね…。ごめん。こんなやつでごめん。
だけど、俺だって本当は、、
愛されてみたいよ。
コメント
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普段のaknからは想像もできないような、潜在的な病み…いいですね😇