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今日は念願だった、篠塚とのお泊まりデート!
ご飯も食べて、お風呂も入って、
歯磨きも終わって、あとは眠るだけ。
橋)歯磨き終わったな、こっからどする、
と自ら聞いたもののまだ寝たくはない。
ほら…お泊まりデートと言えば…定番の…
直に言葉にするのは躊躇われる、あれだ。
篠)ふふ、まさか寝るわけではないでしょうね
橋)…!
いいのだろうか。 こんな簡単に、
まだ恋人間の雰囲気は微塵もないが。
そもそも彼氏の俺がリードしないと始まらないよな。橋本!しっかりするのだ。腕の肉をちょこっとちねる。眠気覚ましの効果あり。
橋)(いてて…)
篠)なんか映画でも見ようや
篠)流石に、寝るのには早すぎるし、な
橋)(あっ、そっちか)
こっちもそっちもないが。
篠)これとかどう?(ホラー系)
橋)きゃっ…… ……や、保留かな
結構怖そうな映画だ。却下…かと思ったが
びびるかわいいしのが見れるかもしれない。
ってR18だった。俺がちびる可能性大あり。
橋)(表紙だけで怖いし寝れなくなったら…)
篠)こちらは如何?(コメディー系)
橋)ごめん。却下。
確かに一緒に見たら楽しそうだが、
ムード的に………?
篠)もういっそのことタイプロ見るか
橋)最後気になって寝れなくなるわ
篠)笑
篠)俺、最後知ってるからネタバレしていい?
橋)辞めとけ、笑
的な茶番もしつつ、
橋)しのはなんか見たいのないん?
篠)あー、おれ?
篠)おれは、これ、…とか
篠塚はお気に入りの所から、1つ選んだ。
選んだのはドドド定番の恋愛系だ。
篠)ずっと気になっててんけど、
忙しくて見れてない、やつ
篠)意外…っすか?……
敬語になった。
俺だから分かる。
これは照れてる時の表情だ。
橋)いいじゃんこれ、面白そう
あまり自己主張しない篠塚 が、
見たいと思っていた映画を
教えてくれたことが嬉しかった。
二つ返事をすると、
篠塚の顔がパーッと明るくなる。
篠)じゃ、見よ!
俺はこの顔を見る為だけに生きていると言っても過言でもないなー、なんて、リモコン操作する篠塚の横顔を見ながら思う 。
橋)
か細い声はすぐに空気中に消えた。
橋)(横顔綺麗)
既に映画は始まっていたのだが、 目線を動かす気にならず、暫く横顔を眺めていた。
橋)う゛っ…いたい
すると一瞥もくれずに頬をちねられる。
篠)
橋)(まあ…ずっと見たかったやつだもんな)
既に篠塚に触れたい欲は高まっていたのだが、
真面目に画面を一点集中している姿を見ると、
そんな気も起こらず。いつの間にか一緒に、映画に夢中になっていた。
…………触れそうで触れられない距離。
今の俺らと一緒かもしれない。
恋に悩む主人公。恋のライバル。 鈍感な彼奴。
そっと、手には暖かい感触。
自身の手には篠塚の手が重ねられていた。
瞳の中には主人公と主人公の片想い相手が。
同じ場所で、同じ時間に、同じ映画を見てる
篠塚は、何を感じて、思って考えてるのだろうか。
画面の中の二人が顔を近づけあう。 クライマックスシーンで、 篠塚がぎゅっと手を握る。
それが愛おしくて、恋人繋ぎに繋ぎかえる。
橋)あっ、
篠)(舌…入れた)
いきなりのディープキスに ふたりして見入る。
顔の向きを何度も変えて、 必死に舌を絡め合い、お互いを求め合う。口元からは 透明の糸が。
橋)(あれ、これ、そういうやつか)
最初は真っ向から純粋な、
どきどき恋愛映画だと思っていたのだが、
そうでもない…?
と思っていると、女の人の胸が顕になり、
男の人はそれにがっつき……
と実況をしていると 途中で映像が止まる。
誤タッチかと思いリモコンに手を伸ばす。
篠塚がそれを遮る。
篠)……ごめん、なんか、もういいかなって
篠)あの、眠いしっ…
橋)ああ確かに、
時計を見上げるともう深夜の1時だった。
橋)眠いならもう寝る?
篠)ああ、あいや…
篠塚は耳たぶをいじりながら言葉に言い淀む。
篠)…おれ、あの映画の女の人に、
嫉妬しちゃって……だから、寝たいわけ
では、な、い…
やっと俺は遅いながらも理解した。
我ながら鈍感すぎる。
橋)そっか、ならまだ起きよっか
橋)なに、する?なにしたい?
手をにぎにぎ 弄びながら首を傾げてみる。
篠塚の態度から、大体は予想できるのだが。
反応が可愛くて遂、意地悪してみたくなる。
篠塚は吹っ切れたのか、大きな声で
篠)きす!きす、キスが
橋)ん、わかった
小鳥が啄むような浅いキスを何度かする。
篠塚は当然物足りそうな顔で、
篠)っ〜!ちがう、…そうじゃ、ない
橋)じゃあ…教えてよ
もっと求めてくれなきゃ飴はやらない。
篠塚は顔を近付けて、深いキスを落とす。
離れぬようにか後頭部を手で抑える。
そんなことしなくても俺は逃げないのにね。
息を吸い込もうとすれば隙間から舌が入り込み
呼吸を妨害される。息も吸えないほどの激しい口付け。つい数分前に見た映画を彷彿とする。
積極的なのは嬉しくても、 リードされるのは
俺なりのプライドが許さないので、舌をもっとも深いとこに入れたり、沿わせたり、気持ちよくなれる箇所を探す。
篠)は、あぅ♡あ………っ♡♡
篠塚は目を細めて、 これ以上は良いと
でも言うように胸あたりを押して唇を離す。
透明な糸が紡がれ ぷつんと 消えた。
篠)
橋)かわいい、たいき
口元を拭って、もう一度、唇めがける。
そうすると顔を隠そうとする大輝の両腕を
片手で鷲掴みする。
篠)ぉれ、顔…ぐしゃぐしゃやから…
橋)いいの、可愛い顔みして
今日はまだまだ寝れないな。