「旦那よ。早く死んでくれないかしら。」
…………………聞き耳をたてるつもりは無かった。彼女の口調から通話の相手は仕事関係者。でも敬語じゃないから取引先ではない。かと言って首領でもない。となると幹部か部下か。
俺のために何もかもを捨てた凜々。自他ともに認める何に対してもだらしない俺を愛してくれた。でも、そろそろ面倒になるよな……..。
「えぇ、全力を尽くすわ。では失礼するわね。」
そう言って、スマホを片手に部屋から出てきた凜々と目が合った。少し目を見開いたが、すぐにいつものように俺に微笑む。
「武臣さんお疲れ様。」
夫婦仲は良好だと思ってた。でも、そう思ってたのは俺だけ。いつも温厚な彼女が、早く死んで欲しいと願うほどには冷めていたのだ。結婚してわずか2年半。仕事が忙しいことを理由に避けていたこともある。凜々だって、最近は俺と話す暇すらないほどに忙しい。
「……………死んで、ほしいのか?」
「え?あぁ、聞こえてたの。そうね。出来ることなら今すぐにでも。…………..首領には秘密ね。」
と、凜々は口に人差し指を当てて笑った。
𝙴𝙽𝙳
補足】
目に見えるものが真実とは限らない。
凜々さんの通話相手はご想像にお任せします。下は通話内容(一部抜粋)です。
「武臣さんの仕事はいつ頃終わるのかしら。」
「あー、結構かかるんじゃねぇの?何で?」
「最近武臣さんが忙しそうにしてるから話しかけづらいのよ。それと昨日の取引先の○○さん、武臣さんに色目使っちゃって。」
「嫁は私よ、ってか?前から思ってたけどほんっとに独占欲強いよな、凜々って。」
「そうよ。武臣さんはわ、た、し、の、旦那よ。早く死んでくれないかしら。あのブス。」
「女って怖ぇな。もう少し耐えろよー。あれでもまだ使える女だからな。まぁ、ボスがあの女の処分は凜々に任せるって言ってっから。な?」
「えぇ、全力を尽くすわ。では失礼するわね。」
自分で言うのもなんだけど、こういう系大事なとこだけ聞いてないのほんっとにもどかしい。
あと、今のままじゃ武臣くん可哀想なだけだし長編でハピエンにしたいな……………🤔
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