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目黒のファンだ。




「目黒さんに、あなたは相応しくない。すぐ離れてください。でないと週刊誌に言います。写真も渡します」




写真は、渡辺やラウールもいるはずのものを切り取ったもの。

目黒の隣りに阿部が立っている。

ただそれだけの写真。

脅しになんか使えないような写真。

だが、阿部は怖がってしまった。



今、急いで辞めさせても、スタッフだったというだけで、信憑性がある。下手に関わらない方がいい。

阿部は、目黒のそばに行かなくなった。

目黒が静かに怒っている。

渡辺には分かる。電話をかける。

岩本にどうしたらいいか聞いている。



岩本は、自分たちみたいに、知らん顔してるのがいいんじゃないかなと言う。渡辺は目黒にそれを伝える。



渡辺ーだそうだ。

目黒ー今、ほとんどそんな状態だけど?

渡辺ー怒るな、様子を見てみないと。



目黒と阿部は目も合わさなくなった。ただ目黒の家に阿部が行くので、そんなに寂しくないし、阿部は、今のところ問題ない。

目黒が阿部を見つめたり話したり出来ないのが気に入らない。



3通目がきた。



「最近、目も合わさなくなりましたね。別れたんですか? もしそうなら、証拠を見せてください。 そうですね、渡辺さんかラウールさんとキスしてもらえますか?」



渡辺ー何考えてんだ!

目黒ー翔太くん。

渡辺ー阿部を何だと思ってるんだ!

阿部ー翔太・・。

渡辺ーそれに、俺たちにキスしたら、今度はそれの写真撮って、新しく脅しに使う。

目黒ーそうだね。

阿部ーどうしたらいい?

渡辺ー何もしなくていい。



岩本が事務所に相談した。

阿部の名前は出さず、それでも、メンバーの1人がスタッフから不当な圧力をかけられている。どうにかしてほしいと。



事務ー仕事中すまなかったね。

女性ーいえ。

事務ー君が、グループのあるメンバーを脅してるという話が出ている。どうだね?

女性ーし、知りません。

事務ー全く?

女性ー・・はい。

事務ーもし、話が本当なら、というか、そのメンバーに近しい人からの相談があったんだけど?

女性ーわ、私は何も・・。

事務ー分かった、仕事に戻ってください。

女性ー失礼します。



事務の人は、脅してるねと岩本に言う。事務所はどうしますか?と聞く。次に何が行動起こせば辞めてもらうと言う。岩本は分かりましたと電話を切る。

渡辺にLINEで報告する。渡辺は目黒にそのLINEを見せる。



目黒ー次まで待たなきゃいけないの⁈

渡辺ーだから、怒るな。

目黒ー阿部ちゃん、食事の量が減ったんだけど!

渡辺ーん〜、お前がそのスタッフに話してこい。阿部を虐めるなって。何かしたら辞めてもらうって。

目黒ー言ってくる。



目黒と女性スタッフの話は分からないが、スタッフは辞めていった。

目黒が阿部に「もう大丈夫」と言う。阿部は泣いた。



阿部ーなんて言ったの?

目黒ー阿部ちゃんは知らなくていい。

阿部ーだって!

目黒ーいい、もう終わったことだし。知らない方がいいこともある。



腑に落ちない阿部だが、目黒は言わなかった。

平和な毎日が戻って来た。

阿部は目黒たちの中で会話することもある。

目が合えば微笑み合うこともある。



渡辺ー何言ったんだ?

目黒ー彼女、ホントは阿部ちゃんのファンなんだ。

渡辺ーえっ?

目黒ー悪いけど渡せないし、別れるつもりないから。諦めてって。

渡辺ーなんて?

目黒ーよく分かりましたねって。

渡辺ーお前は?

目黒ー持ち物に緑が多いし、封筒も、淡いグリーンだったし。俺に何も言って来ないし。

渡辺ーで?どうした?

目黒ー阿部ちゃん、幸せなんですね?って。俺が大事にしてるからって言ったら、いつまでも幸せにしてあげてくださいって。

渡辺ー悪い人じゃなかったんだな。

目黒ー俺が康二に撮ってもらっていつも持ってる阿部ちゃんの写真あげた。

渡辺ー喜んでたか?

目黒ープライベートな写真だからね、大事にしますだって。

渡辺ー阿部に言った?

目黒ー言わない。自分のファンがしたことだと知ったら悲しむから。

渡辺ーじゃあ、絶対言うな?俺も言わない。

目黒ーん。お礼言っといて?

渡辺ーん?

目黒ー事務所に言ってくれてありがと。

渡辺ー言っとく。


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