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鷹槻れん

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宇津Q
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#初めて
それから二人は無事にお遊戯会の時間に間に合った。
並んで座って舞台上にいる詩音を見守っていると詩音が二人の姿を見つけ、満面の笑みを浮かべて嬉しそうに大きな声で歌い始める。
その姿に和葉は頬を緩め、湊もまた詩音の一生懸命な姿を微笑ましそうに見つめていた。
やがてお遊戯会が終わり園児たちが保護者の元へ駆けてくる。
その中でも一際元気よく走ってきたのは詩音で、
「おにーちゃん! ママ!」
嬉しそうな声を上げながら二人の元へ駆け寄って来た。
「しおん、ちゃんとうたえたよ!」
「うん。凄く上手だったね」
「詩音ちゃんが一番上手だったよ」
「えへへ」
二人に褒められた詩音は照れくさそうに笑う。
「それじゃあ、これからお昼食べに行こうか」
湊がそう声を掛けると詩音の瞳が輝いた。
「詩音、何食べたい?」
「えっとねぇ……」
尋ねられた詩音は小さな手を顎に当て少しだけ考えたあとでパッと顔を上げた。
「おすし!」
「お寿司か」
「うん!」
「それじゃあ、お寿司食べに行こうか」
「うん!」
湊の見合いは夕方からなので、時間の許す限り和葉や詩音との時間を優先することに。
詩音の希望通り回転寿司店へ向かうも店内はかなり混雑していた。
「いっぱいいるね」
「そうだな。少し待つことになりそうだ」
「詩音、待てる?」
和葉が尋ねると詩音は「うん」と小さく頷いたものの、待ち時間が長くなるにつれて詩音の表情には少しずつ退屈そうな色が浮かび始めた。
けれどそんな詩音の様子に気付いた湊は店内にあるポスターを一緒に眺めたり話しかけたりして何とか機嫌を取っていく。
「詩音ちゃんはどのお寿司が好きかな?」
「えーっとね、マグロとサーモン。あとね、たまごもすき!」
「そうか、それじゃあ沢山食べないとな」
「うん。おにーちゃんは?」
「俺も詩音ちゃんと一緒でマグロが好きだな」
「そうなんだ? おいしーもんね!」
そんなやり取りを続けているうちに詩音もすっかり機嫌を直し、ようやく三人の順番が来る。
「やっとだね!」
席に案内された詩音は嬉しそうに声を上げた。
「ああ。いっぱい食べような」
「うん!」
席に着いて食べたいものを中心に注文していくと、詩音が嬉しそうにお寿司を頬張る姿を和葉や湊は微笑ましく眺めていた。
食事を終えた三人はそのまま買い物へ行き、日用品などを購入し必要なものを揃えてからマンションへ戻ってから少し経った頃、疲れて眠ってしまった詩音をベッドに寝かせてひと息吐いているところにインターホンの音が鳴り響いた。
訪ねて来たのは黒髪短髪で二十代前半くらいの青年だった。
「悪いな。急に頼んで」
「いえ、お気になさらず」
湊の知り合いらしく、部屋へ招き入れながらそんな会話を交わす二人。
和葉は突然現れた青年を見て少し戸惑った様子で尋ねる。
「湊さん、この方は?」
「コイツは――佐武 千宙。俺の秘書、佐武 真宙の弟だ」
「初めまして。佐武 千宙です」
紹介された千宙が丁寧に頭を下げたので、和葉も慌てて会釈を返した。
「初めまして、瀬戸 和葉です。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
湊は二人の様子を確認すると和葉に向き直る。
「俺が見合いで出掛けてる間、千宙に留守を任せようと思ってる」
「え……?」
「信頼出来る奴だから安心してくれ。それに千宙は保育士の資格を持ってるから詩音ちゃんのことも任せられる」
「そうなんですね……わざわざすみません……」
「気にするな」
「でも……」
「俺がいない間、お前たちだけを残していくのは不安だから、安心できる奴に任せる、それだけだ」
「……ありがとうございます」
そのとき、目を覚ましてしまったのか詩音が部屋から出てきてリビングへやって来た。
「おにーちゃん、だれ?」
見知らぬ人を前に目を擦りながら問いかける詩音。
すると千宙は詩音と同じ目線になるようにしゃがみ込んだ。
「僕は佐武 千宙だよ。よろしくね」
「おにーちゃんの、おともだち?」
「そうよ、お兄ちゃんが出掛けてる間はママとこの千宙お兄ちゃんとお留守番しようね」
「うん!」
湊の知り合いと分かったからなのか詩音は嬉しそうに頷いたので、その様子を見た湊は安堵の息を吐いた。
「それじゃあ俺はそろそろ出掛けるから、後のことは頼む。実家に寄ってから戻るから帰りは少し遅くなるかもしれない」
「分かりました。任せてください」
「和葉も、困ったことがあれば何でも千宙に言ってくれ」
「分かったわ。湊さん……」
「ん?」
「夜、私の方からも話したいことがあるから…………」
「……わかった。なるべく早く帰るようにするよ」
和葉の話したいこと、それは何なのか。
気になりつつも支度を整えた湊は三人に見送られて家を出て行った。
コメント
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うわあ、今回の話はほっこりした日常と不穏な伏線が混ざっててじわじわ来たわ…。詩音がお遊戯会でニコニコ歌ってるシーン、想像しただけで胸が温かくなったし、回転寿司で「マグロとサーモンとたまご!」って言ってるの可愛すぎるだろ! でも最後の和葉の「話したいこと」がめっちゃ気になる…。湊の見合いの話、やっぱり波乱の予感しかしねえ。千宙っていう新しいキャラも保育士資格持ちで信頼できそうだけど、和葉の表情が思い浮かんで切なくなる。続きが待ち遠しい🔥