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「ねぇ知ってる?ここの学校の屋上で世界で一番綺麗な景色が見えるんだって」
ふと声をかけられた。
後ろを向いた。
不思議なことに、誰も居なかった。
僕は何をしようとしたか。その瞬間に忘れてしまった。
手があの世とこの世を繋ぐ防護壁にくっついて、彼方の方へ行けそうにない。
そうか。
僕は。
自殺しようとしたんだ。
でも。なんで?
思い出せない。
そもそも
あの声は誰だ?
なんでここに僕以外の人がいる?
居るはずないんだ。
居るわけがないんだ。
僕がみんな殺したんだから。
時は戻る。
「南栄君。」
ふと、声をかけられた。
このクラスで一番と言っていいほど顔面が整っている女子生徒。
幽驘戯さんだ。
僕は声が出なかった。
見惚れて出なかった。
「南栄君?」
「あ。はい。」
思わず無難な返事をしてしまった。
幽驘戯さんは不思議な顔で僕を見つめている
「ごめんね。南栄君。日直日誌持ってる?」
彼女は僕に聞いた
ああ。と言って渡す
「ありがとう」
「ううん。」
けどその後気づいた
彼女は今日、日直ではないはずだ。
後ろで女の子達が笑っている
ちょこちょこ、悪口が聞こえてくる。
僕は何にもできなかった。
怖かったから。
そんな自分を後から憎んだ。
ある日、幽驘戯さんが泣いてるところを見てしまった
「幽驘戯さん。」
勇気を振り絞って言ってみた
彼女は驚いた表情で振り向いた
「南…栄君。」
よくみたら所々血がついてて、濡れていた
ああ。いじめられてるんだなぁ。と僕は感じた
僕はハンカチを渡した
彼女は笑顔で受け取ってありがとうと呟き去っていった
僕は恋に堕ちた
だがその恋も虚しく、来週に終わっていた
彼女は屋上で自殺したらしい。
彼女だけが支えだった僕は、
いつのまにか壊れてたらしい
気付けば
クラスみんな倒れていた
血まみれで
僕の手も真っ赤だった
真っ白なはずのシャツは血に染まっていた
僕は無意識に屋上への扉を開けた
風が吹き抜ける
心地よい
ずっとここにいたい
僕はそっと生命線と言っていいほどの柵に手をかけた
「ねぇ知ってる?ここの学校の屋上で世界で一番綺麗な景色が見えるんだって」
ふと声をかけられた。
後ろを向いた。
不思議なことに、誰も居なかった。
僕は何をしようとしたか。その瞬間に忘れてしまった。
彼女の声だった。
あぁ
会いたい
会いたい
ごめんね
僕が弱いから
役立たずだから
ごめんねごめんね
「ごめんね」
僕の体は空を駆けた
見える景色はとても
とても綺麗だった
【世界で一番綺麗な景色】終わり