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ハリーはドラコのことが好きだった。彼と話すようになって、いつの間にか恋心を抱いていた。
この気持ちのせいで関係が壊れてしまうのが怖かった。この気持ちはしまっておこう…と、先程まではそう思っていた。
――事の発端は、くだらないものだ
「ねぇ、君って彼女とかいるの?」
ドラコのことを知りたくて、つい口が動いてしまった。
「なんだ急に。付き合ってる人は居ないが、ポッターこそどうなんだ?」
踏み込みすぎたかと焦ったが、案外すんなり教えてくれた。
「うん、僕も“今は”いないよ。好きな人はいるんだけどね」
ハリーは、恋バナができて内心喜んでいたが、ドラコの心情はそうでは無かった。
「さすが英雄様はモテモテなんだな。女を取っかえ引っかえか?」
ドラコは、ハリーがモテ自慢をしていると思ったのか。そんな性格じゃないと分かっているのに、思わず強く当たってしまった。
数十秒の沈黙の後、ハリーは冷静に返した。
「好きな人がいるって言ったでしょ。僕はその人としか付き合いたくない」
ハリーは、思っている以上にドラコが好きなんだと自覚した。今更、他の人を好きになれないな、とも思った。
そんなハリーを他所に、ドラコはモヤモヤしていた。
(ハリーのくせに、そいつしか嫌だって?ハリーの好きな人は誰なんだ)
ドラコはハリーのことを友達としてしか見ていない。それでも、自分に優しいハリーが自分以外の所へ行ってしまう気がして、ありもしない事を口にしてしまった。
「実は、僕は最近まで男と付き合っていたんだ。君みたいなのとは付き合えないがな」
要するに、見栄を張っただけだ。
その言葉に、ワンテンポ遅れてハリーは反応した。
「えっ、それってどういう」
「ふん、間抜け面だな。ポッター」
ぽかんとした顔のハリーを置いて、ドラコは言い過ぎた…と顔を歪ませながらどこかへ行ってしまった。
――バタン
遠くでドアが閉まる音がした。
ハリーはひとり頭を抱えていた。