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#13
side omr
金曜日の放課後。
下校の支度をしていると、若井が何気ない口調で言った。
wki「…今日、泊まってかない?」
ほんの数秒、時が止まった気がした。
教室のざわめきも、窓の外の夕日も、全部がぼやける。
「…え、…う、うん」と返した声は、自分でも情けないくらい小さかった。
けれど若井は、ほんの少し口角を上げて「じゃあ、後で」と言っただけだった。
一度家に帰る道すがら、さっきのやり取りが何度も頭の中で反芻される。
もしかしたら、今日は_。
その予感だけで胸の奥がくすぐったくて、呼吸が浅くなる。
家に帰るとすぐ、鞄を置き、泊まりの荷物を詰め始めた。
着替え、洗面用具、_そして、心と身体の準備。
omr「…一応…念のため、ね?」
何も知らないまま、ただ流されるのは怖い_そう思った。
だから、手は自然に滑り落ち、下へ。
触れるのは自分の秘口。
彼の名前を心の中で呼んだ瞬間、息が詰まる。
わずかな刺激に、喉がひくりと鳴り、肩が小さく震えた。
頭の中では、もう彼の声が聞こえている。
_想像なのに、耳元が熱くなる。
指先が確かめるたび、緊張は別の熱にすり替わっていく。
やがて、深く息を吐き、背中からベッドに沈み込んだ。
胸の奥に残ったざわめきだけが、長く、静かに揺れていた。
side wki
玄関のチャイムが鳴った瞬間、心臓が一段と大きく脈打った。
扉を開けると、そこには、少しだけ息を弾ませた元貴が立っていた。
omr「おじゃまします…」
控えめな声と同時に、夜の冷たい空気が部屋に流れ込む。
wki「寒かったろ。…あがれよ」
上着を受け取りながら、指先がほんの一瞬触れた。
その短い接触で、言葉にできない熱が喉元までせり上がってくる。
___
リビングに入って、とりあえず用意しておいた飲み物をテーブルに置いた。
緊張を解きほぐすように、映画を流す。
ラブコメで、軽く笑えるものを選んだはずなのに、俺たちはしばらく画面を見ても頭に入っていなかった。
omr「……思ったより普通の部屋だね」
wki「普通ってなんだよ」
omr「もっとこう……本とか、楽器とか、並んでるかと思った」
wki「置いたら置いたで散らかるからな」
そんな他愛もない会話で、少しずつ空気が和らいでいく。
元貴がクスクス笑うたび、俺の胸はじんわり熱を帯びていった。
映画を半分ほど流し終えた頃、ふと沈黙が訪れた。
ソファで並んで座る距離が、いつもより近い。
互いの膝がかすかに触れそうで、気づけば元貴の横顔ばかりを見ていた。
___
wki「……お風呂、先入る?」
俺が切り出すと、元貴は一瞬驚いたように目を瞬かせた。
omr「うん……じゃあ、お先に」
バスルームに消えていく背中を見送りながら、俺は唾を飲み込む。
しばらくして出てきた元貴は、髪をタオルで軽く拭いたまま、淡いグレーの部屋着に着替えていた。
肌にまだ湯気が残っているみたいで、頬は桜色に染まっていて。
その姿に、まともに目を合わせられなかった。
俺は逃げるようにバスルームに入り、熱いシャワーを浴びる。
「落ち着け」そう繰り返しても、どうしても胸が高鳴って仕方がない。
___
夜も更けて、ベッドに並んで横になる。
「寝ようか」と言ったのは俺の方だったが、元貴は布団の中で小さな声を漏らした。
omr「ねぇ……寝ちゃうの?」
振り返った瞬間、暗闇に慣れた目が彼の表情を映し出す。
どこか照れたように笑っていて、けれど、その瞳は真っ直ぐ俺を見ていた。
omr「……実は、俺… 」
少し間を置いて、元貴は唇を噛み、恥ずかしそうに言った。
omr「ちゃんと……慣らしてきたから」
頭の中が真っ白になった。
心臓が暴れるように鳴り、言葉が出てこない。
あまりにも可愛くて、そして真剣で、壊れそうに愛おしかった。
wki「な…ぇ ……なんで、そんな……」
声が震える。俺は元貴を抱きしめた。
wki「元貴…可愛い……」
耳元で囁くと、元貴は布団に顔を埋めて、声にならない笑い声をもらした。
互いに視線を絡めたまま、唇が自然に触れ合う。
浅く、深く、何度も重ねて。
指先で彼の頬をなぞれば、体温が指に染み込んでくる。
wki「……ほんとに、いいの?」
omr「うん……若井とだから」
その一言で、堰を切ったように心が溶けた。
けれど、初めての夜は思うようには進まなかった。
元貴の言葉通り、準備をしてきたからこそ受け入れてくれたが、俺がどうしても浅いところまでしかできなかった。
wki「……痛くない?」
omr「うん、大丈夫……でも、へんな感じ」
恥ずかしそうに笑う顔が、たまらなく愛しい。
もっと深く触れたかった。
けれど、 焦らず、確かめるように、重ねて、結んでいく。
指先で髪を梳き、頬を撫で、名前を何度も呼ぶ。
互いの鼓動が重なり、浅いところでも、確かに繋がっていることがわかる。
omr「……ひ、滉斗…っ…」
震える声で呼ばれた瞬間、胸がいっぱいになった。
wki「元貴…俺、今めっちゃ幸せ…」
omr「…うん、俺も」
耳元で囁き返しながら、彼を抱きしめ続けた。
夜はゆっくりと更けていった。
深くはなかったかもしれない。
でも、その分、何度も何度も確かめ合った。
愛しさと恥ずかしさ、そして幸せが、布団の中でとけ合って。
初めての夜は、不完全で、だけど確かなものだった。
胸の中の寝顔を見ながら「元貴を一生大切にする」そう強く誓った。
うわぁ〜ちょっと駄作だなぁ
まだ続きますよ
コメント
6件
遅くなったぁ!おっふ( ˆᴘˆ ) 最高すぎる👍
駄作というより、神作ですね😲 最高です😆