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歌パロ
『妄想疾患■ガール』
hrfw(ほぼfw)
歌舞伎町にて─────────────
その町の一角には、「Persona」という知る人ぞ知る有名なホストクラブがあった。そこにはナンバーワンを目指す青年──不破湊がいた。
身なりを整え、言葉遣いや接し方も研究し尽くし、Personaに訪れる姫たちは、みな彼のトリコとなっていった。さらに同性からの人気もあり、彼を嫌うものは少ない。
これは、そんな彼が心の内に秘めている⬛︎の話だ───。
🥂✨───────────────
いつも通り出勤したつもりだった。普段より来る姫は少なかったように思うけど、来てくれる子には盛大に愛を囁く。
しかし、たまたま休憩室に下がった時、そこにいた後輩から声をかけられた。
「湊先輩。この間湊さんの担当の子が、湊さんがシフトない日に来て、〇〇のこと指名してたんすよ。ちょっと気をつけた方がいいかもっせ」
何より先に怒りが来たが、彼にぶつけたところで何も解決しない。「分かった」と伝え、また表に戻る。
別にあの子が居なくなっただけで、自分の営業実績に大きな問題が出てくることは無い。彼女はいわゆる細客、と言われるやつだったから。
それでもやっぱり「選んでもらえなかった」という感情が胸を疼く。
どうせ俺なんて、でもだって……。
そう勝手に決めつけて、この夜の世界で生きていく。
好きでもない姫に好かれたってめんどくさいし。姫一人一人の行動や言動に一喜一憂していたら、生きてはいけない。
自宅に帰り、ツイッターを開く。いつも使う垢ではなく、裏垢の、仲のいい人しかいないようなアカウントで発信するネガティブツイート。限定公開にし、怒りや嫉妬、悲しみを込めた言葉を放つ。
裏垢を閉じ、いつも「不破湊」として情報を流す本垢を見る。言葉巧みに描き綴られた文字が目に反射する。 でも裏ではあんなくだらないツイートを繰り返して、ネットで雄弁な俺もヲタクなのだろう。
ジャケットを脱ぎ捨て、ベッドに仰向けで寝転がる。気づけば手はベルトに伸びていて、カチャカチャと音を立てて外され、下着をスラックスと一緒に下ろす。
自分のモノは触らず、ナカに指を突っ込む。反対の手で突起物を触り、自分でしごいていく。眠くても、ナカを掻き乱す指は止まらなかった。
「ん……んぁッ…/////♡……っ、はる♡……あぁぁ……////…イくイく……イく……イッちゃう、はるぅ……あぁぁぁ♡」
想い人──甲斐田晴に入れられている想像をするだけで、簡単に中指でイった。
指を引き抜き、白い白濁液が両手にまとわりついた。これを見れば、いつも同僚で抜く自分に嫌気がさしているのに、いつの日かやめられなくなった。
こんなことしたって彼に好きになってもらえる訳じゃない。恋人になってもらえるわけじゃない。彼にはもっとお似合いな人がいて、それは俺でもないし、きっと男ですらない。
分かってる……分かってるけど
ほんとは認めてもらいタイ。
「……ぐすっ……っ…あぁ……っ、すき…」
東京女子のように拗らせて、ネットの裏垢に珍しくたくさんの書き込みをする。認めて貰えない辛い気持ちを、吐いては投稿、吐いては投稿を繰り返す。
吐いたことですっきりしたように感じた。しかし未だに心の中で渦巻く感情に耐えられず、もう一度ナカに指を突っ込む。
そうして何度もイっているうちに、劣等感は消えていった。他人と比べた所で、自分は自分で他人は他人。
俺はホストだ。人ひとり落とせないで、ナンバーワンとは言えない。例えそれが男であっても。同僚であっても。俺に興味が無くても。
年上だけど後輩の甲斐田。人懐っこくていじられキャラで、酒の飲み方やLINEの返し方を俺に全部聞いてきて、「不破さんすごいっすね!」って何度も言ってくれて。言われ慣れたこの言葉が、あいつだけはなんだか違く聞こえた。
幾度となく好きって言いかけた。その度に飲み込むことがどれほど辛かったか。躊躇せずに愛を囁くこの俺が、言えない屈辱にどれほど打ちのめされたか。
俺がちゃんとリードするから、俺が上でも下でもいいから、俺のした技でイって欲しい。
なんて沢山考えてはみても、結局俺には彼のシッポは掴めない。しかしそんな俺を追いかける姫たちも、俺のシッポは掴めない。
四方八方で起きるいたちごっこ。
それが俺と彼と姫での間で起きている
───────妄想疾患なのだ。
コメント
5件
相変わらずお上手で...😖最高でした😭見習いたいです!今回もめちゃくちゃよかったです!!ずっと応援してます!🥰
うっひょ、神じゃん。え?