⭐︎春千夜愛され
⭐︎2600文字以上
⭐︎キャラ崩壊
それでも良い方はどうぞ
【 三途視点】
夢を見た。死人との会話だ。目障りな裏切り者と俺がゴニョゴニョと話していた。俺が不良の時、隣にずっと立っていた隊長。そいつが今更何の用だ、と思いながら俺は拒まない夢の中話していたのだ。
?「最近どうだ?」
春「どうもなにも、王のために尽くしているだけですよ。」
?「そうか、お前らしい。
じゃあ、質問を変える。
今のお前は楽しいか?」
俺は夢の中ですら心臓がドキッと動いた感じがした。楽しい…にはちゃんと楽しいはずだ。でも何故か何かに縛られてる感じがした。
?「お前はマイキーに支配されすぎだ。」
春「王の悪口か?」
俺は死人に対してムカつき、咄嗟にその言葉が出た。
?「違う。
だが、お前のやりたい事、言いたい事をちゃんと言ってるのかが気になったんだ。」
春「何言ってんだよ、テメェ」
?「お前はもう少し気を楽にして王の下で働け。
お前は頑張りすぎだ。」
春「何言ってんのかさっぱりだよ!
俺が頑張ったら梵天が回るんだよ、マイキーに褒められるんだよ、それは俺にとってご褒美でしかねぇ。」
?「そうか…」
死人は少し悲しげな表情をしていた。なんでそんな顔をして俺を見つめるんだよ。まるで俺が間違えてるみたいじゃないか。やめろ、その目で俺を見るな!俺を…俺を…
春「見る…な… 」
俺は夢から目が覚めたのか、そこの景色には死人はもうおらず、いつも利用している病院の天井があった。脈拍がわかる機械音が隣で聞こえる。手はぎこちないが動かせる事は出来、俺は自分の顔を触った。そこには湿った跡があった。涙?俺が涙を流すなんていつぶりだろう。そう思うと扉が開く音がした。
蘭「三途…?」
春「…蘭か。」
蘭「三途、起きたの!?」
そこにいた蘭は走り俺に近づいた。今にも泣きそうな顔をして俺に優しく抱きつく。蘭の香水の匂い。俺は蘭の香水の匂いが好きなため、安心感を得ることができた。蘭は俺を抱きしめながら何かを言い始めた。
蘭「俺が馬鹿だった。俺がお前に仕事を押し付けたから、こんな事になったんだ。本当にごめん。こんな重症をおわせて本当に悪い。」
沢山謝られた。蘭が自分から謝るのは人生で初めて最初は少し驚き時が止まった感じがした。しかし、これは蘭のせいではないと思っている自分がいた。
春「おめぇらのせいじゃねぇよ。」
蘭「え?」
春「……あの後の仕事どうしたんだ?全部片付いたのか?」
蘭「あー、うん…俺らで全部片した。」
春「そうか。」
蘭「あ、皆んなの事呼ばないと!」
蘭は携帯を取り出し文を打って送るのか、時折爪と液晶板があたる音がした。それを眺めることしかできない俺。周りを少し見ると近くに小さな鏡があった。自分の目の下には珍しく隈もなく、顔色も良かった。他に気になる点といったら目の下は隈がない代わりに赤かった。やはりさっき俺は泣いていたのか、と思いながら俺は小さく溜息を吐いた。
蘭「直ぐに来るって。」
春「そうk 」
するとガラッと勢いよく扉を開く音が聞こえた。直ぐに来るって…直ぐに来すぎだろ。そこには、四人の幹部が立っていた。九井、鶴蝶、竜胆、そして憧れの存在であるマイキー。
竜「三途〜!」
竜胆はやはり兄弟かと再確認できるくらい蘭と同じ行動をとった。俺に抱きついたまま竜胆は離れず、強く俺の服を握っていた。九井と鶴蝶はゆっくりとそれに続いて近づいてきた。マイキーはいつの間にか隣で椅子に腰をかけていた。
マ「おい、三途。」
春「はい。」
マ「なんであの量を自分一人でやろうとした。」
春「それは…」
俺はそこで喋る口を止めた。俺の中では回答は一つ決めていた。でもそれを口に出すとマイキーに捨てられるかもと思ったからだ。いや、それを言わなくても捨てられるかもとも思った。俺は冷や汗をかいてるのが自分の顔を鏡やらで見なくてもわかった。
マ「言わないと俺らはここから出ていかねぇぞ?」
九「…俺とお前が一回すれ違った時覚えてるか?その時、お前の顔ヤバかったんだぞ。顔色は悪いし、隈も酷い。俺らは本当に心配してるんだ。だから頼む、正直に言ってくれ。」
鶴「お前が何を言っても俺らはちゃんと最後まで話を聞く。小さな事でも、大きな事でも俺らはお前の理由をちゃんと受け止める。」
蘭「さっき「おめぇらのせいじゃねぇ」って言ったよね。俺は正直、その理由だけ知れればいいの。ゆっくりで良いからさ、教えて欲しい。」
竜「一応、俺はお前よりも年上だし話はちゃんと聞きたい。それに三途は梵天では欠かせない存在なの。だからお願い…少しずつで良いから教えて。」
マ「今お前がどう思ってんのか、どう行動したいのか、俺らには全くわからない。だから知りたいんだ。三途、そんな辛そうな顔の理由を教えて。もうお前のそんな顔見たくないんだよ。」
俺は今にも泣きそうだった。皆んなが俺の事をこんなにも考えていたなんて知りもしなかった。俺は何かに解放されたかのように口を開き、途切れ途切れに喋り始めた。
春「俺、No.2だからさ…こんぐらいの仕事量、やらないとって…『完璧』にさ…出来て当たり前だって思って…皆んなに迷惑かけたくないし…でも、ちゃんとらやらないとさ、捨てられると思って……でも、今回の件、最終的に皆んなに…迷惑かけちゃって………全部自分のせいで…ごめん…」
皆んな俺の話を黙って真剣に聞いてくれた。するとマイキーが俺の頭を撫でた。突然の出来事でつい俺はえ?と間抜けな声を出してしまった。
マ「お前の事なんて捨てるわけないだろ」
春「え、で、でも…こんなに大勢の幹部に迷惑かけて」
マ「そんなに俺らは頼らないか?」
春「ちがっ…」
マ「俺らの事は沢山頼って良い、だからそんなに一人で溜め込もうとするな。完璧じゃなくても俺らは三途の事捨てたくないくらい好きなんだから。」
春「へ?」
思いもよらない言葉だった。皆んな俺の事を好きだなんて、夢かと思った。皆んなの顔を見て本当だと確認した。ヤバい、涙出そう。
マ「三途、もう我慢するな。
今お前がやめたほうが良いのは我慢する事。」
蘭「だいじょーぶ、俺らは笑ったりしないよ。」
マイキーと蘭の言葉で俺は我慢していた涙が溢れた。顔は流石に見せたくなく、顔を隠した。皆んな無理に見ようとせず、俺を励ましながら俺が泣き止むまで待っていてくれた。そうか、わかった。俺の居場所はやっぱりここか。一番落ち着く。一番信用できる。一番楽しい。全てを満たしてくれる場所だ。
?「居場所が見つかって良かったな、三途。」
コメント
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?はムーチョかな? 最っ高でした!春千夜救われて良かったですね!いちこめ!