〜痛みが僕を僕にするから〜
・敦くんが微病み気味
・探偵社の皆敦くんを大切に思ってる
・自傷表現あり
・多分ハッピーエンド(需要があったらバットも書く)
・トラウマなど、
・院長先生が死んでしまって…って感じで始まります
以上が地雷な方はback推奨です()
院長先生が死んだ。
そう告げられた時に、僕はいったい何を思ったんだろう。悲しくて嬉しくてそれでもって苦しかったような。嵐と快晴が交互に心を襲うような。何とも言えないものだった気がする。 そんな時、太宰さんの一言に押されて、僕は、其の感情を落涙で流し出した。悲しかったからなのか、嬉しかったのか、生理的に出たものなのか。どちらにせよそれで僕が開放されることはない。
院長先生の行動は全て僕を守るものだったと聞いた。
それでも、あの人の優しさがあの行動に組み込まれていたとして、それを快く受け取ることは、人間には、少なくとも僕には無理だった。今だって僕の中に苦しい記憶として染み付いている。否、染み付いていると言うより、刻まれている。
父親を亡くしたら泣くものだ。
とあの人が教えてくれた。
あの人が言うのだから、院長先生は僕にとって父親だったのだろう。“父親だった”と言ったが、それは今も。今後も一生切り離せない事実であった。父親の愛情。それにイコールで結びつくものがたったひとつだけある。
虐待。
暴力と言うべきか、否、それ以上。全ての苦しかった思い出を虐待と言いくるめた。院長先生、つまり父親にとって愛情は虐待で、全て僕の為だった。皮肉なものだと思う。其れを愛情と理解しなければならない事も、事実それが苦でしかなかった事にも。
そんな院長先生も死んだのだ。
暗いものが晴れたと思った。でも今はもっと深い闇にいるようで。
院長先生の、唯一の父の愛情を今はもう一度確かめたいと思った。
院長先生が呉れた痛みが僕を僕に育ててくれたのだから。
最近は、夜になっても寝付けないことが多い。案外負担にはならない。孤児院では毎日のようにそうだったから、慣れてしまったのだろうか。これもきっとあの人のお陰。あの人のせいなのだろう。
今日もまた寝付けないから、夜中に布団から抜け出した。なんだか思い出すなぁ、夜中にこっそり茶漬けを食べた時も、こんなふうに冷えた夜だったっけ。
否、僕は孤児院で布団に入ったことなんて無かったから、今はだいぶ幸せだろう。
今日、いつもと違うのは、ベッドから出た、ということだ。寝付けなくてもずっとベッドの中で目を閉じる、ということはせず、今日は少し部屋をうろついてみた。
痛みがあれば寝れるかも。
そんな馬鹿げたことを考えたのは、かつて孤児院にいた時、院長先生に痛みを強く与えられた日のみ気絶するように眠れたからであった。
今考えれば、それはただの貧血だろう。
それでも今は、寝たいというより、もう一度院長先生に与えられた痛みを思い出してそこにある愛情を確かめたかった。
愛情に飢える子供はよく親に縋り付くものだと思う。どんな形であろうとそれを求めてしまったのかもしれない。
僕は手早く包丁を腕に振り落として何度もそれを繰り返した。
………、痛い、痛いなぁ、嗚呼、やっぱ、痛いだけじゃないか。
腕がグロテスクな音を立てて切り刻まれる。
ザクザクと、まるで腕から出ている音のようには思えない。それでも今はそこから流れる暖かい血液に浸っていたかった。
ほんの少し、あの頃を思い出せる気がする。思い出そうとしなくても、ずっとそこにある記憶だけれど、その痛みと苦しみを改めて理解する。そして、あの頃と少し違ったのは、そこにある父親の愛情というものを少し掴めるような気がしたことだった。
どくどくと、流れる血液は止まらない。
僕はそのまま眠りについた。
朝になり、ちゅんちゅんと外から鳥の鳴き声が聞こえる。どうやら久しぶりに眠ることが出来たようだった。
久しぶりに寝たからか、気分は良い気がしたけど、また体の別のところが重いように感じた。
虎の治癒能力で傷は回復しているけれど血液までは戻っていないようで、貧血ながらも、僕は探偵社に足を運んだ。
1話、長かったかもですが、終了です!
次は探偵社に行くのでちょっと暖かい話になるかも?いや、もう少し落としておくか(やめときなさい)
結構病んじゃってたかもしれないけど、わたし的にこういうのめちゃ好きで、同士さんとかいたら嬉しいです…、
それでは、次の章も続き頑張って考えるので、♡押してくれたら嬉しいです泣
ここまで見てくださってありがとうございます!
それでは!
NEXT♡200
コメント
1件
同士です