誕生日おめでとう、自分。
今年はいくつになったっけ?
そんなのどうでもいいや。
私は適当な数立てられたロウソクに火を灯し、もう一度「誕生日おめでとう、自分」と呟く。そして、静かに揺れる小さな火にふぅっと息を吹きかける。
しばらく放心していた私は、ケーキを食べなければならないことに気が付き、甘い香りを振りまくそれを口に運んだ。
「…味、しない」
ふいに零した言葉と共に、涙が静かに頬を伝ってゆく。次第に涙は粒を膨らませ溢れ落ちてゆく。
「貴方がいなきゃ…全然幸せじゃないよ…」
付き合ってから初めて迎える私の誕生日、2人にとって特別な日。そんな日があとひと月後に迫るというとき、貴方は私に唐突な別れを告げた。
誰よりも愛した貴方。
この別れは、私が受け止めるにはあまりにも重すぎたみたい。
私の心はくしゃりと潰れてしまった。
何をするにもやる気が起きない。何を食べても味がしない。何を見ても面白くない。
貴方がいない日々は、色を失ったモノクロの世界。光さえも差し込まない。
冷たい喪失感と、強い悲しみ、それと、未だ捨てきれない貴方への醜い愛… 今の私に残るのはそれだけなの。
私の記憶の片隅にはいつも貴方がいる。
私が大好きだった向日葵のような素敵な笑顔、私にだけ見せてくれる知らない顔、私にだけ聞かせてくれる甘く優しい声…全てが怖いくらいに染み付いている。
『もう一度だけ愛してほしい』
私は記憶を探る度に強くそう望んでしまう。
けど、これは汚れのない、ただひたすら純粋に貴方を想う気持ち。
私は貴方を心の底から愛しています…
もう一度私の日々に彩りを、純然たる輝きをちょうだい…
私はいつまでもただ一途に貴方を想い続けるから…
これは、純真無垢な私の恋。
「ねぇ、聞いて…私、今日で20歳になったよ…」
コメント
6件
おたおめですん。 なんかエモいっすね。 20歳かぁ…コトノハちゃんは20歳なったら僕とお酒飲みましょね👍✨
おめでとう!ある節目になったら自分のことを大事にしてくれていた人、自分が大切に思っていた人のことを思い出す気持ちわかります!そしてあの時の感動をもう一度感じたいな。とか…幸運を願います いい一年に! 長文失礼しました