志希 視点
一つだけ、たった一つだけ違うこと。
らだおくんは楽衣と違って”自殺志願者”だっていうこと。
理由は運営の誰もがわからなかった。
らだおくんが話してくれなかった。
でも、ある時
rd「俺、早く死にたいんだよね」
と言ったことがあった。
その後も時々口にしている言葉だった。
初めてその言葉を聞いた時から約2ヶ月後。
らだおくんは、”飛び降り自殺”で亡くなった。
md「…あ、そうだ」
「……楽衣ってなんか悩みごとある?」
でもそれは、一つだけ違うことかもしれないしそれも同じことかもしれない。
俺は同じ誤ちを犯したくない。
rd「ん?悩み?」
「特にないかな〜…w」
md「……!」
一つだけ違うことではなかった。
俺らは楽衣に気付いてなかった。
だって今の楽衣は、凄く苦しそうにしているから。
md「…無理しないで」
「また、失いたくない」
rd「え……」
楽衣 視点
md「…無理しないで」
「また、失いたくない」
rd「え……」
”また失いたくない”
その言葉はまるで失ってしまったことがあるような言い回しだった。
志希に何か辛いことがあったのかすら分からない。
俺はただ、心の中で苦しむことしかできなかった。
その言葉に対して何もかも深く聞けなかった。
md「…じゃあ、そろそろ帰るね」
rd「あ、うん、おっけー」
「色々とありがとな」
md「どーいたしまして」
「なんかあったら俺今日は家にいるから連絡して」
rd「はーい」
md「じゃ、またね〜」
rd「ん、ばいばーい」
志希が帰った後、ベッドで寝転がって考えてみる。
ばれちゃったかな…
できるだけ皆には明るく振舞っていたくて、表面上は元気にしていた。
でも、自分でもなぜかはわからないけど、凄く消えてしまいたいような思いになる。
理由なんて自分でも分からない。
知りたいのに知ることができないような。
rd「そんなこと考えてても仕方ないか…」
「志希が言ってたらっだぁって人調べて…っ」
”らっだぁ”の名前を口に出した途端頭が痛くなる。
この人に何かあるのか?
そんなのは知らない。
rd「どりみーに連絡しないと…」
あれ…
どりみーって誰…?
…夢で出てきた人だ。
でもなんで?
rd「……ぁ」
「…思い…出したかも…」
”みどり”
”コンちゃん”
”レウ”
”きょーさん”
”らっだぁ”
…”運営”
5人とその名前。
前世のほとんどの記憶まで、全部。
皆には申し訳ないような気持ちになる。
明日、前の通り接してみよ。
𝐧𝐞𝐱𝐭𓂃◌𓈒𓐍
コメント
2件
初コメ失礼します! 主様の小説大好きです! 続き待ってます!