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「りょうちゃんが事故に遭った、すぐ来てっ」
今にも泣きそうな元貴の声と共に知らされた
涼架が?
何で?
いつ?
不安と焦りで家の電気も消さず家を出た
タクシーに乗り込み病院名を伝え少しでも落ち着こうと震える手を握った
恋人が事故に遭った
いつもなら見る景色も街並みも、今はそんな事考えられなかった
「到着しました料金は、」
「カードで」
運転手さんに食い気味になりながらも会計を済ませ走って病室に向かう
元貴に「もう着く」と連絡を済ませ涼架がいるフロアに入った
少しすると部屋番号が元貴から送られてき、その部屋のドアを開ける
ガラガラガラ
点滴や、包帯は付いているけどベットに座る涼架が居た
生きてる
咄嗟に声を掛けた
「涼架っ」
「誰、ですか?」
「へっ?」
嘘だ、
ねぇ、嘘って言って
ドッキリでしょ?
覚えてないの?
恋人なんだよ?
「滉斗、若井滉斗だよ?」
「ごめんなさい、覚えてなくて」
元貴の方を向く本当に?と、
「コクッ」
首を縦に振った
「滉斗さんは、元貴くんが言ってたギターの人?」
「そうだよっ」
ミセスに事も忘れちゃったの?
フェーズ1が終わって綾香と高野が抜けて3人で抱き合ったことも
ニューマルを作って「やっと戻れるねっ」って話した日も
みんなで笑いながらやったレコーディングも
BFFを聴きながら元貴の思いを感じ取れた日も
全部全部
忘れちゃったの?
絶望感でいっぱいでその後の記憶はあんまりない
それからも毎日、病室に通ってLiveのDVD見たり曲聴いたり色んな思い出話したり
そしたらだんだんぎこちなかった会話もいつものように話せるようになった
記憶も少しずつ戻ってきてるけど俺が恋人だったことはいまだに覚えてないみたい、
「俺とどんな関係だったか覚えてる?」って聞いてみるけど
「メンバー?大切な人だってのは確かに覚えてるんだけど…。」
だって、記憶を失っても大切な人でいられるのは嬉しいけど、でも耐えられないよ
チュッ
「ねぇ涼架?前までこうやってたんだよ」
事故に遭うまではキスだってした
そんな事無いとわかっているけどもしかしたら、と思い惑わせてしまうけど唇を当てた
「///若井くん?」
「滉斗って呼んで、寂しいから」
「前みたいにハグしてよ」
「好きって言ってよ…。」
「俺、耐えられない」
「涼架、忘れないで?」
今まで思っていたことを口に出してしまった
今の涼架にとってはただただ不安にさせるだけなのに
ポタッ
気付けば涙が出ていた
ギュュゥ
「抱きしめさせて、グズッ」
「///」
涼架said
いつも僕のところに来てくれる若井くんとキスをして、抱きしめられた
若井くんは僕のことを知っているけど、
僕は君を知らない
でも、何だか懐かしい
この感覚は何だろう?
若井滉斗…。
滉斗?
あぁ、何で僕は忘れていたんだろう
僕の大切な人なのに
好き、なのに
「滉斗?ごめっグズッ」
「大切な人なのに忘れてたズビッ」
「涼架ッ?」
「思い出したよっ滉斗」
「グズッよがった、」
やっぱり、僕は君を知っている
大切な、
特別な、
もう、絶対に忘れない
来世でも