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エクス・アルビオside
高級感のある部屋の中、カーテンを開けベッドですやすやと寝息を立てる主に声をかける。
「ヒム~?もう朝だよ~!」
「ん…今日お休み?」
「おはよう。今日は入学式だって!ほら、急いで準備して?」
「はーい…あれ、えびさんも制服?」
「うん。聞いてなかった?俺も一緒の学校だよ?」
「いっしょ…?」
そう言うと嬉しそうに微笑み洗面台へと移動する。
心臓がドキドキと激しく動き、頬が緩む。
俺は主であるイブラヒムの事が”恋愛的に”好きだ。
男同士で、主従関係であるにも関わらず好いてしまっていることに時々罪悪感を覚える
が、それ以上に従者としてイブラヒムをお世話するのはとても楽しい。
「えびさ~ん?制服どこ置いてる?」
「あ、ここだよ」
「おけ、ありがと」
幼いころに拾われてから、主従というよりは友達に近い関係で過ごしてきた。
恋人になりたいと思わなくもないが今のままでも良いと思えるくらいにはとても幸せだ。
「ヒム?着替え終わった~?」
「ん、これで合ってる?」
「おぉ~!めっちゃ似合ってるよ」
「そう?ありがと」
制服は2種類あったが、俺もイブラヒムもカーディガン型の制服を選んだ。
「…てか、俺らお揃いじゃん」
「ね!ヒムはブレザーにするかと思ってたわ!」
「そう?えびさんは…似合ってるね。カッコいい」
「え~?ホント?嬉しい」
「ん、モテそうだよ」
「ヒムこそモテるんじゃない?」
「何言ってんだバカ…」
そっぽを向き「ご飯食いに行くぞ」と悪態をつくイブラヒムの耳は赤くなっていた。
階段を降りリビングで朝ご飯を食べていた旦那様と奥様が席につき朝食をいただいていた。
「おはよ、母さん父さん。」
「おはようございます。旦那様。奥様。」
「おはよう。イブ、エクスさん」
「おはよう。今日から学校らしいな。寮生活であまり会えないが、まぁ頑張れよ。」
「「うん/はい」」
旦那様と奥様にお優しいお言葉をかけていただき朝食をすます。
準備をすませ門の前に行くとすでに黒い車が扉を開け止まっていた。
「おはようございます、エクス様。坊ちゃんはまだでしょうか?」
「おはようございます。イブラヒムはそろそろ来ると思いますよ。」
「そうですか。いつも坊ちゃんのお世話ありがとうございます。さぁ、立ってないで車にお乗りください。」
「ありがとうございます。そちらこそいつも送迎疲れてるのに毎日ありがとうございます!」
「いえいえ。私にできる事なんてこのくらいですから。それに毎日近くでエクス様が坊ちゃんを守ることで坊ちゃんも毎日安心して楽しんで暮らせておるのですから…私たち使用人も毎日エクス様には感謝しているのですよ。」
「…あ、ありがとうございますッ!」
家の使用人の方は皆優しく心の広い方ばかりだ。
「あれ?何の話してんの?」
「ヒム遅いねって話」
「…ごめんって…」
「ふふwほら、坊ちゃん、エクス様出発しますよ」
「ありがと」
「今日は入学式でしたね。旦那様も奥様も式に出られないのを残念がっていましたよ」
「!…そう?」
「はい…会社を廃業させようろするくらいにはご乱心でした」
「会社を!?」
「んふふwあの、お父様が?」
「親というものそういうものなんですよ。」
クスクスと笑うイブラヒムとにこやかに話す運転手のおかげでとても楽しく登校できた。
「エクス様、坊ちゃま、お気をつけて」
「うん。そっちも気をつけて」
「ありがとうございました!」
「えぇ…学校生活楽しんでくださいね」
そうして俺とヒムの学校生活が始まった。
コメント
1件
誤字脱字あったらこっそっり教えてください‼