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『おい、死んだら削ぐと言ったぞ』
「リヴァイ………兵長…」
自由の翼をはためかせて
飛んできてくれた
『…立てるか』
すっと差し出された右手に
さすがに悪いと思って
遠慮して自力で立とうとする
「大丈夫ですよ、お気遣いなく…っ!?」
足に力が入らずふっとよろけてしまう
『ちっ、何がお気遣いなくだ』
舌打ちをしながらも
がっちり腕で支えてくれる
「ご、ごめんなさい…」
『怪我人は黙って運ばれてろ』
軽々しくお姫様抱っこをされ
あまりの羞恥心に抵抗しようとするも
体のあちこちが痛くて諦めた
リヴァイ兵長の怪我人という言葉に
ハンジさんの姿が脳裏に走った
「…は、ハンジさんは…」
『クソメガネが死ぬわけねぇだろ』
『腕脱臼しただけだ、すぐ治る』
あぁ、あの時…
「ごめん……なさい」
「私の不注意で…」
『あぁそうだな』
「………」
ズバッと言われて出る言葉がない
『だがお前だけのせいじゃねぇだろ』
『奇行種が五体もいりゃ
3人なんかじゃ太刀打ち出来ねぇ』
『逃げないとはハンジも
切羽詰まってたんだろ』
リヴァイ兵長の庇う言葉に素直に
ありがとうございますとは言えなくて
自分を下げようとする
「……でも、サキが…サキが………っ…」
『何でもかんでも
お前のせいにすんじゃねぇよ』
『誰もてめぇなんか責めて
得する訳ねぇだろ』
『さっさと前向いて歩けクソガキが』
粗暴な言い方だけど中身は
暖かくてつい笑みがこぼれた
「……ふふっ…優しいですね…」
『………言ってろ』
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救護隊の荷馬車まで兵長はお姫様抱っこで運んでくれた
そこにはハンジさんの姿もあった
『ナツキ…!…良かった…』
「ハンジさん………ごめん…なさい…」
「ごめんなさい………ぃっ……」
『ナツキ…』
ドコッ
「いっ!!」
急に兵長におでこを小突かれる
いたた、とおでこを擦りながらちらっと上を見れば眉間に皺を寄せた兵長の顔があった
『さっき俺が言ったこと無しにしてしんみりしてんじゃねぇ』
『さっさと医療班に診てもらえ』
「…ありがとうございます!」
元気よくお礼を言えば
そんだけ威勢がいいなら大丈夫だなと
やや乱暴に荷馬車に降ろされた
『おい、そこの医療班のやつこいつを
診てやってくれ』
『はっ!了解しました』
そっと寄ってくる医療班の人が、血の出ている部分を手際よく治療していくのを横目で見る
荷馬車のガラガラという振動と、ハンジさんの姿が見れたことで緊張が解け静かに眠りについた
目を閉じたナツキを見てハンジは話しかける
『全くほんとに素直じゃないねリヴァイは』
『…何がだ』
『何も?』
『ちっ、俺は配置に戻るぞ』
『ナツキは私が見てるから大丈夫だよ』
『…あぁ、次こそ守れよ』
『ははっ、守れなきゃ私が削がれるからね』
何回もの戦慄をくぐり抜け
ぶつかり合ってきた彼らの友情は
一言では表しきれないほど大きくなっていた
不器用な彼の言葉の裏を簡単に暴けるほどに
壁が見えた、その頃にはナツキの
体には多くの包帯が巻かれていた
『痛々しいね……』
『………はぁ…』
ハンジのついたため息は青い色に溶けて
雨がほろりと、
色を滲ませた
━━━━━━━━━━━━━━━
「ん…」
周りの雑音でふと目が覚める
もう壁にはついただろうか
ガラガラとした振動を感じ
まだ荷馬車の上なのだと気づく
そっと体を起こそうとする
「いっ…」
『ナツキ…!
まだ起き上がっちゃダメだよ』
『ほら、もうすぐ着くよ』
前を見れば壁がすぐそこに見えた
やっと帰ってきた…と表情筋が緩む
ゴゴゴ…と開く壁
中には大勢の人がいる
いつもの事だ
こうやって見られるのは
『また何の成果も無しに帰ってきたよ』
『税金取りめ』
『いつになれば安心して暮らせるのかしら』
『おいおい、少なすぎだろ』
『人だけ減らしてなんの意味があるのかしら』
睨みつけられ陰口を言われ時には
石や砂を投げつけられ
いつも通り
けど
今回は彼女の死を意味が無いように言われて
無性に腹が立って悔しくて、悲しかった
「巨人すら…巨人すら見たことがないくせに」
「何が税金取りだ………ふざけるな」
私たちの努力も、意志も知らないくせに
知ったような口を聞かないで
やめて
彼女の意志を踏みにじらないで
やめて、
『ナツキ…』
『ありがとう』
そう言ってハンジさんはそっと怪我に
響かないよう包むように抱き締めてくれた
何に対してありがとう、と言ったのかは
分からなかったがとても暖かかった
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どうも主こと有栖です
やっぱりこっち(ノベル)の方が時間掛からないからいいなぁ
チャットの方だと何時間も掛かるから書いてる暇なくて…
ほんと投稿頻度遅くて申し訳ない…
明日頑張って書こうと思います
気長に待ってもらえれば嬉しいです
それではばいちゃ!
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#07 ベンジャミンのように
ベンジャミン▼
融通のきく仲間
✲*゚(あんま役には立たない)雑学 ✲*゚
融通という言葉は
「とどこおらずに通づること」
「上手く運ぶようにすること」
という意味です
「表裏の関係にあるものが実は一体である」
という意味もあるそうです。
「融通」という漢字は「融けて通る」
⬇
水が融けあい流れる様子
とイメージすると
言葉の意味合いがわかりやすい(そうです)
私はこの表現がすごく気に入ったので
載せてみました
気になったら皆さんも調べてみては?