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背景stprなのに何故ここまで社長に固執するのか。ハマってるからだよ。
目を覚ました時、そこは知らない天井だった。最初に思い浮かんだのはろふまおの何かの企画だったが、手と足を縛られ、猿轡をされていることで、流石にそれは違う、と打ち消す。今まで無人島に飛ばされたり砂漠に飛ばされたり知らない部屋に飛ばされたりしていたわけだが、一応事務所としてエンタメの範疇での行動を取られていた。しかし、これは明らかに犯罪行為と規定されても良いものだ。我ながら、体力には自信がある。なんとか手だけでも拘束から抜けられないものかと力を込めたが、しっかり固定しているらしく、びくともしない。仕方がないので抵抗を一旦捨て、そもそもなぜこんな状態になったのか思い出そうとした。
「……っ!」
途端、頭に割れる様な刺激が走る。これに関係することを思い出せなくされているらしい。余程刺激は強かったのか、意識さえもぼんやりしてくる。
ーーいや、違う。これは、誰かが部屋に入ってきて、何かされた、
と、振り向こうとして、意識が、途切れる。
「おい、これ絶対目覚めないってやつじゃなかったか?」
「そうだよ、ゾウをもオトす薬だよ」
「じゃあコイツ、」
「「バケモン」」
「社長もなんでこんなのを欲しがるかねぇ」
「この前のパーティーの時一目惚れしたんだってよ」
「まあ確かにツラはいいからな」
「お、お前も」
「馬鹿、んなわけねぇだろ」
「それもそうだな」
「「あはははははは」」
誰かの声が聞こえた。どこか、懐かしいような声で、浮上しようとする意識とは反対に心がそれを留めようとする。
「……」
二人、いるらしい。一方は高く、もう一方はそれより少し低い。
「……!」
呼ばれているのは、自分の名前だ。
「……ょう!」
その声の正体は。
「…はかせさん、よるみさん」
目を覚ますと、また、知らない天井と、それから同期が見えた。
「しゃちょぉ〜〜!」
「しゃちょおぇあ〜!」
「え、ちょ、二人ともぅわっ!」
勢いよく覆い被さってくる二人と一緒にベッドにのめり込む。絵面的には完全にアウトな光景だ。
「心配したんだよ〜!」
「行方不明になってたからね!」
「行方不明⁈」
ようやくここが病室だと把握し、行方不明になってたという事実を飲み込む。どうやら自分は、思ったより重大なことに巻き込まれていたらしい。
「えっと」
「心配させたからおもちゃにするよ」
「そうだ夜見もっと言え!」
「あの」
「焼肉社長の奢りでいこーよ」
「いいね」
なかなか話を聞かない二人をなんとか落ち着かせ、オフコラボの予定と食事の予定が大分入ったところで詳しい話を聞く。と、三日前に路上で倒れていたところを発見された、とのこと。行方不明になっていた期間は一週間程で、リスナーには入院と伝えてあるなど諸々の話を聞き、とりあえず自分がいない間何か騒がれる様なことはなかったと安堵する。
しかし、いかんせん行方不明になっていた間、自分に何があったのかについては、そこだけもやがかかったかの様に思い出せない。ただ、腕と足に拘束の縄目がついていることから、少なくとも安全だったわけではない、と見当をつける。
「…って、加賀美くん聞いてる?」
「えっ、あ、はい!」
「聞いてないよぉふゆき」
「ともかく!しっかり休んで元気になったら沢山奢ってもらうから!」
まずは安静にしろと言い残して去っていく二人に感謝し、折角だからと長い休暇を貰ったつもりでゆっくり自分に起きたことを考えることにした。
夜中。当番制の夜勤によりにもよって今日当たってしまった。見たいドラマは予約してあるが、できればリアルタイムで見たいと言うのがオタクと言うものだろう。ついてない、と思い、しかし最近入った患者のことを思い出し少し心が慰められる。救急車で運ばれてきた彼は、その美しい顔立ちと高い地位でナースの話題を席巻している。カルテによると、名前は加賀美ハヤト、なんとあの加賀美インダストリアルの社長である。その上イケメンであの病状。手首や足に謎の縄目はあったし、何かあるとしか思えない。
えっちな展開だったりしないかな、と看護師としてアウトなことを考えながら病棟内を懐中電灯で照らしていると、影が指すと言うのかいつの間にか件の彼の病室まできていた。寝ているかもしれない、と慎重にドアを開け、そっと彼の方を照らす。行儀良く眠っている彼の血色は、最初に来た時よりも大分良くなり、さらに綺麗になっているようだ。頬にはほんのりと紅が挿しており、正に儚げ美青年といった具合だ。その良さにやられて夜勤にあるまじきレベルで顔面をガン見したこととその後ナースステーションで加賀美インダストリアルの玩具を調べたのは決して関係ないことではなかっただろう。
夜勤のナースが去った、と分かると、今迄我慢していたものが一気に噴き出てくる。念の為、病室に何故か備え付けであったコンドームを付けて、意識を失っても分かるようにスマホの録音をオンにする。顔が紅潮していなかったか、不安になる。何故こんな状態になっているか、考える思考の余地はなかった。ただ、押し寄せてくる快楽の波に、ともすれば声を上げてしまいそうになる自分を抑えるだけで精一杯だった。性感帯、なんていう創作の中にしか存在しないと思っていたものの存在をはっきり感じ、思わず身をよじらせると、擦れた服がますます脳の中枢神経を煽ってくる。一瞬でも意識を奪われて仕舞えば、たちまち飲み込まれてしまう、と本能が理解し、それを阻害しようとしているのに、体はますますその感度を高めていく。こんなこと、入院する前には無かったからその前、捕まっていたと思われる頃に何かされたと考えるのが妥当だろう。と、そこまで考え、その続きは当然「犯人は誰なのか」となるべきなのだが、快楽に犯された中枢神経がそれを許さない。むしろ、考えたことにより一層強くなった気がするそれに、自制心は機能を失った。
気がついた時には、カーテンの外が白み始めていた。どうやら気を失っていたらしい。目線を下に移すと、しっかり果ててしまった跡がある。シーツや寝巻きに影響が無かっただけまだいいが、自分の意思と関係なくこうなるという経験は今まで無かった。正直、途中から記憶が飛んでいるので自分がどのような醜態を曝け出しているのか分からない。おそるおそる録音を開くと、衣擦れの音に混じって時折小さな声とも叫びともつかないようなものが出ているくらいだったので、安心する。しかし、自分のこんな声を聞く日が来るとは思わなかっただけに、一周回って苦笑してしまう。リスナーに見せたら、「前加賀美」タグが増えるのだろうかなんて事を考える余裕も出てきて、普段の自分に戻ってきているのを実感する。昨日のことは、とりあえず偶然の産物として片付けることにした。今は一刻も早くライバーとして復帰するために、体調回復に専念すべきだ。ーー今思えば、これは、何も解決していないと囁く本能を打ち消そうと現実から逃避していたのだろう。真逆、そのせいで自分がどんな目に遭うのかも知らずに。
ここまで書いて自分の解像度の低さに絶望したんだ。俺は……無力だ……もっと配信見て解像度上げてから出直してこよ。さーせんマジラボ!!本当に!!社長はちょっとこれを株主に書かせるってことは自分の責もあると思うから謝らない。