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蒼月
2,930
社の小説書いてた
90
fw不安症(後半)
【 fw side 】
コンコンとドアをノックされる音が、静かな部屋に響き渡った。
誰が、誰が来たのか。頭がふわふわする。またこの感覚との入れ替わりで襲ってくる未知の不安の前に、今はまだこの感覚に浸っておかなければ。
コンコン。コンコンコンコン。
🥂✨️『……ッ"っ、』
相手が諦めて帰る様子もない。しかし俺も無視を貫く。
一一一一ガチャリ。
……?何故。玄関の鍵が開けられる音がした。
侵入者かと一瞬不穏な考えが頭を過ぎるが、それはすぐに去っていった。
🥂✨️『……かい、だ…っ…』
玄関の鍵を俺以外に開けられる人物と言えば、それは合鍵を渡した恋人の存在しかいない。
ドタドタと廊下を走ってくる音が聞こえる。
一一バン !
リビングの扉が勢いよく開け放たれる。
🌞「ッは、ッは……アニキ……不破さんっ…!」
名前を呼ばれてゆっくりと顔を上げる。俺の目線の先には、息を切らして立ち尽くしている恋人の姿、甲斐田がいた。
ガバッ。俺の方へ駆け寄ってくると、そのまま勢いよく抱き締められる。
🌞「ッ”、……!ッよかった、遅れてごめんなさい、不破さんッ"…!」
甲斐田の声はひどく安堵したような、それでいて少し苦しげな含みのある様子を出していて。
…あぁ、そうか。薬でふわふわとした頭の中、もしかすると俺は甲斐田のことを呼び出してしまったのかもしれない。
🥂✨️『……かいだァ…、なんで、… 』
それでも口に出さずにはいられなかった。なんで。どうして。
🌞「…ッ、なんで、って…。不破さんが僕のことを呼んでくれて、教えてくれたから、ッ…!」
甲斐田の瞳が少しだけ潤んでいて、また抱き締められる力がぎゅうっ、と強められる。
🌞「…また、辛かった、?」
恋人からの抱擁が強くなったことを感じ取りながら、それでも抱きしめ返すことができなかった。それをする勇気も、資格もなかった。
🥂キラ『…かい…、ッ晴、はるッ…ごめん、また俺ッ……、!』
堰を切ったように言葉が溢れ出してくる。視界が涙で滲んだ。
🥂✨️『どうしても、頭ん中ぐるぐる、ッして…、また、また同じことッ……、!』
嗚咽を漏らしてしまう。呼吸が荒くなって、肩を上下させながら口を動かす。
一一-ぽん、と背中を優しく叩かれた。
🌞「……うん、不破さんはまた頑張りすぎちゃったんですね…?」
抱擁が1度優しく解かれた。晴と正面から向き合う形になる。その瞳は、また涙が溢れ出してしまうほどに優しく、慈愛に満ちていて。思わず目を背けたくなってしまうほどの眩しさだった。
やっぱり、自分には勿体ない。
🌞「大丈夫、大丈夫……。不破さんは自分のペースで頑張っていこ、?」
耳元で優しく甘く囁かれる。背中はぽんほんと叩かれ続けていて。
🥂✨️『はる、…俺は、俺は…… 』
ピシャリ。口元に人差し指を当てられた。
🌞『…違う、ダメな子なんかじゃないよ?』
俺の言おうとしていたことを、先回りして否定される。
動かそうとしていた口が、返す言葉を見失って黙り込んでしまった。
🌞「辛い時は、僕がそばに居ます。難しいのは分かってるけど……一人で抱え込まないで?」
ぽろり。また涙が零れた。普段収まっていた嗚咽が漏れ始めてしまって。
今度は俺の方から、がばりと晴の方へ抱きつきにいった。
優しく受け止められる。俺はその腕の中で、ずっとずっと泣いていた。
やっぱりこの温もりが、薬なんかよりも。何よりも遥かに自分を落ち着かせてくれていたのだ。
コメント
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巡さん、第4話読みました…! もう、不破さんが自分を責めてるところから甲斐田くんが駆けつける流れが、心臓ぎゅってなりました。「ダメな子なんかじゃないよ」って先回りして否定してくれる甲斐田くん、神すぎる…🥺💧 薬より恋人の温もりの方が効くって分かってるのに、素直に甘えられない不破さんのもどかしさもリアルで、最後に抱きつきにいくシーンで涙腺崩壊しました。重いけど、ちゃんと救いがある話が好きです。次も楽しみにしてます🌙