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ズサッ…
💛「さすが鬼舞って感じ…ッ」
蜂楽がニヤリと口角をあげる。
その笑みに、疲れがにじんでる気がした。
……ほんの少し、焦りも混じってたかもな。
💛「潔…、腕上げたんじゃない?」
💚「そうかもなッ!」
カキンッ
金属音が夜の街に響き渡る。
パチパチと燃え盛る劫火の中で。
💚「ケリつかねぇな…、ッ」
かれこれ小一時間ほど2人で
刀を交わしている。
さすがの鬼にも体力の限界というのは
あるわけで、それもずっと剣を振っているなら
尚更疲れる。正直、もう帰りたい。
💛「潔、息切れすごいけど?」
💚「それはお前もだろ?」
2人で睨み合う。
額からは滝のように汗が出ている。
胸が押しつぶされているような感覚で、
息がしにくい。
もうそろそろ本当に限界だ。
そんなことを考えていると、
目の端がキラキラと光った。
金属が軋む音…?
あぁ、なるほどな_____。
💚「蜂楽、また会おうぜ」
💛「逃げんの…潔」
まさか。俺はそう言って
蜂楽に背を向ける。
💚「タイミング…ってもんがあるだろ?」
逃げた、って思われても仕方ない。
あいつとの決着が、どこに繋がるのかも。
胸のざわつきはまだ掴めていない。
俺はビルの中の階段を登る。
最上階に着くと、すぐに
下の様子を見る。
蜂楽は……どうやら仲間に
報告をしているようだった。
刀を持っていた手が痙攣している。
💚「体力つけねーとなぁ〜…」
空中に話しかける。
空の異様なほどの美しさが、
俺の焦燥を逆に煽るみたいでイラついた。
🩷「潔、お疲れ様」
💚「黒名!!さっきはありがとな、
助かったよ」
そういうと黒名は「ふんす!」と
鼻息を立てて、腕を組んだ。
🩷「命令命令〜」
ギザギザの歯を見せて、にっこりと黒名は笑った。
その笑顔を見た瞬間、胸の中が黒い
“ナニか”でモヤがかかる。
黒名のいたずらっぽい笑顔。
……ったく、やっぱモールスはお前かよ。
戦いの最中、金属音に紛れて響いたあの合図。
あれで十分だった。
タイミングを見極めろって――
……お前の“助け舟”、案外わかりやすいんだよな。
💚「……疲れた!帰ろうぜ!」
🩷「だなだな」
黒名が先に歩き出す。
俺もそのあとをふらっと追う。
火の粉の匂いが鼻の奥で鮮明に
残っている。
🩷「今日の俺、輝いてたよな?」
💚「あぁもううるせぇ……」
しょうがねぇなって思いながら、
でも内心、少し救われていた。
黙って歩いてると、肩が少しだけ触れた。
黒名がクスクス笑う。
つられて、俺も笑ってた。
……変な帰り道だったけど、
なんか、悪くなかった。
でも、まだ足りねぇ。
まだ……
終われねぇ。
次は、俺が全部ぶっ壊す。
あいつとの勝負も。
このモヤモヤも。
俺の弱さも──全部だ。
心の中で炎が爆ぜた。
第5話 炎