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第一章「マフィア編」
第一話「黒のラン」
夜の街。
雨が静かに降り続いていた。
「早く帰ろう!」
少女・はるかは笑いながら振り返る。
その後ろを、無口な少年が歩いていた。
少年の名は黒のラン。
あまり笑わず、口数も少ないが、はるかにだけは少しだけ表情を見せる。
「また明日ね!」
「……ああ。」
それが二人の何気ない別れだった。
しかし、その「また明日」は訪れなかった。
⸻
その夜。
黒い車が家の前に止まる。
玄関の扉が勢いよく破られた。
黒いスーツ姿の男たちが家へとなだれ込む。
「対象を確保しろ。」
「抵抗する者は排除。」
幼い黒のランは何が起きたのか理解できなかった。
父は必死に立ち向かう。
母は黒のランをかばう。
だが、その抵抗も長くは続かなかった。
男たちは黒のランを抱え上げる。
「離せ!」
必死にもがく。
しかし、小さな体では敵わない。
遠ざかる家。
遠ざかる家族。
そして意識は闇へと沈んでいった。
⸻
目を覚ますと、そこは地下施設だった。
鉄格子。
冷たいコンクリート。
窓一つない部屋。
「目を覚ましたか。」
男が静かに話しかける。
「ここがお前の新しい家だ。」
黒のランは男を睨みつける。
「帰して……!」
男は笑った。
「帰る場所など、もうない。」
その言葉に、少年は息をのんだ。
「今日からお前は我々マフィアの一員だ。」
「生き残りたければ強くなれ。」
「弱ければ死ぬ。」
その日から、黒のランの地獄が始まった。
⸻
一方その頃。
翌朝、学校へ来たはるかは黒のランの席を見つめていた。
「……休み?」
先生も事情を知らず、不思議そうな顔をする。
その日から何日待っても、黒のランは学校へ戻ってこなかった。
はるかは小さくつぶやく。
「絶対に……また会えるよね。」
⸻
その頃、地下施設では少年が初めて戦闘訓練を受けていた。
教官が冷たく告げる。
「お前には新しい名前を与える。」
「今日からコードネームは――」
『古流斬』。
少年は何も答えなかった。
だが、その名前が後に世界を揺るがす存在になることを、この時はまだ誰も知らなかった。
――第一話「黒のラン」 完
古流斬
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柘榴とAI

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コメント
1件
読み終わりました……これは、胸にくるものがありますね。 「また明日ね」という何気ない別れが、そのまま引き裂かれてしまう切なさ。はるかの視点と、地下施設で無理やり新たな名前を与えられるランの対比が鮮やかで、もうこの先どうなってしまうのか気になって仕方ないです。そして「古流斬」というコードネーム……作者さん自身の名前を作品世界に落とし込むの、実はすごく好きな仕掛けです。続きが待ち遠しいです!