🦍視点
夜明けまでまだ時間があった。
もう少しだけ、頑張って、もっともっと。
メンバーのためにも……
「……、お仕事?」
どうやら起こしてしまったみたいだ。
暗い部屋にパソコンのブルーライトは眩しかったかな、と反省する。
「…………あれ、ぼんさん、起こしちゃいましたか?」
「んー……目、覚めちゃった。」
「……そうですか、まだ4時なんで、寝てて大丈夫ですよ。」
気を使ってくれたんだろうか。理由は話してくれなかった。
多分起こしてしまったのは自分のせいだ。
でも今しかやる時はないし。
「……ドズさんは、寝なくて、いいんですか?」
寝起きの回らない舌で必死に喋っている姿が愛らしい。
「大丈夫ですよ。今次の企画やら編集やらやってるんで。」
「でも……」
「大丈夫ですよ。ぼんさんはゆっくり寝ててください。」
酷く眠そうな目をしているのに僕の心配をしてくれる。
あなたの優しさは底なし。
僕とは大違いだ、なんて考えてしまって。
自分の表情が曇ったのが鏡を見なくてもわかった。
企画やら、っていうのは本当は少し嘘で。
エゴサーチをしては数千の褒め言葉や励ましより、
たった十数個の心無い言葉に目を向けてしまって……っていうのが現状。
貴方にはひみつ。
部屋がまた静かになった。
あなたはもう眠りについたかな。
カタカタ、タンッ。
パソコンのキーボードの単調な音が部屋に静かに響く。
自分が嫌になりながらパソコンのキーボードを鳴らし続けて……
何分ぐらいたったかな。
「ドズさん、」
少し震えたあなたの声。
「、どうしました?」
なるべく笑って。
さっきまでの曇った表情はどこかに無理やり詰め込んで。
あなたには見せない。見せたくない。
きっと心配するでしょう?
「うぅ……ひゅっ、うっ……うぇ、うっ……」
何を話すのかな、と思ったら
声を押し殺すように感情をこぼして、僕に抱きついてきた。
僕の気持ちが、バレちゃってるのかな。
消えようとしてるの、伝わっちゃったかな。
「どうしたんですか?、怖い夢でも見ましたか?、ふふ」
いつも動画で話すように茶化してみる。
笑って、なるべく笑って。
あなたが好きだと言ってくれた笑顔で、微笑んでっ……
そうでもしなきゃ、もらい泣きしてしまいそう。
「ずっと、離れないで、……ひゅっ、うぅ……っ」
ああ、伝わっちゃったのか。
僕のこの誰にも言わなかったはずの気持ちが。
バレちゃいましたか、ぼんさん。
先月同じように言われていれば、いつも通りに
「もちろん。ずっと一緒ですよ。」って言えたんですけどね。
今言ったらそれはもう立派な「嘘」になっちゃうから。
あなたにはなるべく嘘はつきたくないの。
この気持ち以外では、ね。
「……、」
返す言葉がなくて、また無理やり口角を釣り上げる。
上手く笑えてるかな。
この気持ちは、バレてしまってないかな。
貴方に心配は………もうかけちゃってるね。
自分の心の中を見られてしまったと同時に。
僕のあとを追おうとしている貴方の心が透けて見えてしまった______________________
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