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記憶喪失と診断されてから1週間が経った。
事情を知った両親からは大泣きで心配されたが今までと変わらず接してくれている。
「舞踏会?!!それってシンデレラが王子と再開する時にやってたパーティーのことっしょ!無理無理無理無理!絶対𝐍𝐎𝐓𝐇𝐈𝐍𝐆だから!! 」
「シンデレラ?とやらは存じ上げませんがパーティーという意味では合ってますね。社交界です。これは強制参加なので逃げることは出来ません」
そして今、アタシは学園で行われる舞踏会への招待状を貰って焦っていた。なぜなら 壊滅的 に踊れないからだ。
(体育の創作ダンスでHIPHOP踊ったのに「テーマは南アフリカですか?」って聞かれるくらいだし)
「終わってんだよ!アタシはよー!!ダンスも勉強も出来ねぇんだよチクショー!」
それまでアタシの髪を解いていたシーナの手がピタリと止み鏡に映るアタシにピシャリと一喝。
「お嬢様!自暴自棄になってはいけません!練習あるのみです!それに明日から学園に復帰するんです。やつれた様な顔されてはご友人方がさらに心配しますよ!」
「あー…学園…。完全に忘れてた」
(このダラダラ生活も今日までか~~)
「さぁ、お嬢様夜更かしは美容の大敵ですよ!ぐっすり寝て明日に備えましょう!」
(雨だ!豪雨で進路を無くせば学園なんて行かなくて済むのでは?!お願いです神様!雨を!お恵みをー!!)
翌朝、雲一つない晴天に対しアタシの顔面は雨模様に包まれていた。
(ふざっけん⤵な⤴︎︎!もう神も仏も信じないからな!!馬鹿バーカ!!!)
「暫くは寮生活か…寂しいなぁ」
「あっちでも頑張りなさい」
「お父様!お母様!」
見送りに来てくれた両親はアタシを温かく送り出してくれた。
「お嬢様、馬車の用意が出来ました。それでは行きましょうか」
「うん。お父様、お母様、それでは行ってきます!」
家から学校まで約三時間。その道中大きな山を越える為足場ががたつき馬車は大きく揺れる。
「う……吐きそ…」
「もう少しで山道を抜けます。あと少しの辛抱ですよ」
(耐えろ…耐えろ自分…あと少……し)
窓にもたれかかって一点に集中していたとき、山道を抜け切ったのか窓から太陽の日が射し込む。
外を見るとそこには一面広い湖が広がっており、馬車はその上の橋を渡っていた。
日に照らされた水面が輝いて見える。先程の酷い酔いが一気に無くなって気持ちがスっと軽くなるのを感じる。
「お嬢様あのお城が今向かっている学園です。そしてこの橋の門を抜けると城下町が広がっております」
「城下町!食べ物とかある?」
「城下町には食べ物から服、異国の品まで様々な物が売られております。ここは海が近いので交易の場としても有名なのです」
「”も”って他にも何か有名なの?」
「お嬢様が通われる学園でございます。この聖アレスティアン学園は代々この国の王族の継承者や国家の貴族そして異国の地から来る王子や姫が通われるのです」
「つまり、超エリート校ってこと………?」
「はい」
「無理です!!帰る!!帰らせて下さい!!」
「あ、もうすぐ学園に着きますよー」
シーナが淡々と話す横でアタシは先程より、一層吐き気を催した。
(アタシの学力じゃすぐに退学させられるに決まってるし!マジごめんお父様お母様!!)
シーナは頑なに降りないアタシを馬車から引きずり下ろした。
「さ!お嬢様行きますよ!
ほら、背筋を伸ばして下さい。折角の制服姿が映えませんよ!」
確かにこの学園の制服はシックで且つ洗礼された黒をメインに裾のふちには赤の刺繍が施されている。
(前に行ってた学校より可愛いじゃん)
そして特徴的なのはこのケープ。留め具のボタンが金の紋章になっている。これがさらにエリート感を引き出すのだ。
「見て下さいお嬢様。あの石像の方がこの学園の理事長であるエドワルド・クロウ理事長でございます」
(お固そうな老人だ)
「それでは中へ。荷物は全て私が寮へ持って行きますのでお嬢様は先に教室へ向かって下さい」
「え!?場所分かんないよ」
「鷹のエンブレムがお嬢様の所属するクラスです。鷹を探して下さいませ」
「ちょっ!待ってシーナ!!」
それだけ言うとシーナは馬車に乗り別邸の寮へと行ってしまった。
「はぁ…探すか」
暫く学園内を歩き回るが鷹のエンブレムは見つからない。
すれ違う生徒に声を掛けるか迷うが喋るとボロが出そうでなかなか話しかけられずにいた。
そんな時一人の青年が話しかけてくれた。
「あの、もしかしてリゲルド嬢ですか?」
「はい。そうです」
返した言葉にその青年の表情はパッと明るくなった。
「お久しぶりです!僕リゲルド嬢と同じクラスのヒース・グロリスです!先生から事故で記憶喪失になったとお聞きしました。夏期休暇の間に大変でしたね」
教室まで案内されている間ヒースはシオンとの関係を話してくれた。
クラスメイトのヒースは学級委員長でよくシオンと勉学の話をしていたそうだ。
「ねぇヒース、アタシ記憶無くしちゃって皆の前でどう振る舞ってたか分からないんだ」
「そうですね〜、前のリゲルド嬢は聡明且つ静かな方でした」
「やっぱそうなんだー…アタシと真反対じゃん!」
「今のリゲルド嬢は明るくて表情が豊かになったからですかね。前までは男性を前にすると無表情を貫いていたのに。先程お会いした時雰囲気がまるで別人に見えました」
(実際中身は別人だからね)
「ヒースにもそうだったの?」
「もちろん僕にもそうでしたよ」
(なるほどシオンは男嫌いだったのか。新しい情報GET!!)